カエル王女
ナカムラ
カエル王女
昔々、ある国の王女サリーは、王に、隣国の王子ロバートと結婚するように命を受けた。
王女には、自信がなかった。
なぜなら、王女は、カエルのような容姿をしていたから。
「私は、本当に醜い。太っていて、背も低く顔も美しくない。しかも、髪の毛も、サラサラしているどころか、くせが強く毎日、髪型に困るほどだ。この私が、結婚ですって…。私は、カエルのようだ。私は、カエルといっても可愛いアマガエルでは、なく、イボガエルのようなのだ。王子ロバートは、とても、素敵な容姿をしていると噂だわ。私には、無理よ。一体…どうすれば…。」
王女サリーは、しばらく考えた。
「そうだわ。王子に文を送りましょう。飾らずに素直な言葉で。」
王女は、文を送り、王子ロバートは、王女の文に感嘆した。
「なんと、美しい心の持ち主だろう。私の文は、拙いが、大丈夫だろうか。」
2人は、何回も文を送りあった。
すると、ついに王子から
「結婚して欲しい。」という文が、届いた。
王は、すぐに婚礼の儀を挙げた。
王女サリーは、恐れていた。私のようなカエルのような女、実際に会ったら逃げ出してしまうわ。
王女は、王子ロバートに会うと、余りに、端麗な容姿に驚いた。
王子ロバートは、金色の美しい髪をたなびかせ、澄みきった空のような目をして、スラッとした長身だった。
王女は、肩を落とした。絶対に王子は、私のことなど好きになってくれるはずもない。
周りの人々も、2人の余りの容姿の違いに、陰口をたたいた。
「あんな醜い王女を、あんな美しい王子様が受け入れるわけもないわ。この結婚は、破談ね。ふふっ。」
ところが、王子ロバートは、王女サリーに膝まずいてキスをした。
「やっと、会えました。貴方に会うことを楽しみにしていました。」
王女サリーは、戸惑った。
「私なんかに、そんな……」
王子ロバートは、サリーに笑って言った。
「貴方ほど、美しい人は、いませんよ。」
王女サリーと王子ロバートの婚礼は、盛大に行われた。
完
カエル王女 ナカムラ @nakamuramitsue
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