第13話 王国の会議と神獣伝説

 ――レオが特訓を受けているその頃……。


 王国では国王、宰相などの役職持ちと四大名家の会議が行なわれていた。

 ギスギスとした空気の中、議題は騎馬族についてだ。


「ノルマを増やしても騎馬族は達成してくる。これではただの戦闘訓練だ」


 土スキルの名家が話す。


「しかし騎馬族の力は確実に削がれている。

 もっと騎馬族の力を削がないと、何をしてくるか分からない」

「そんなもの、簡単だ。我々が制圧すればよい」


 水スキルの名家が話した内容に、炎スキルの名家が声をかぶせてきた。


「魔物退治と騎馬族の戦力削減が、もともとの政策だ!騎馬族と商売をするものもいる。

 そちらはすぐに武力で解決しようとするが、反発が強くなると思わないのか!」

「反発?庶民の反発など知らん。知ったところで、四大名家に逆らえるものがいるとでも?

 ノルマなど回りくどいことをせずに、簡単な方法をとればいいのだ」

「やれやれ、王国は絶大です。

 なぜ騎馬族ごときに、悩まなければならないのか」


 風スキルの名家の問いに、土スキルの名家が答える。


「あなたはお若いから知らないだろうが、奴らに黒髪の一族がいる」

「黒髪の一族?」

「いにしえに、神獣から直接魔術を得た一族だ」

「やれやれ、神獣ですか」

「そうだ!我が息子、アルベルトの守護獣ビーストからスキルを奪ったのは、おそらく神獣だ」

「厄災を司る、忌まわしき存在が現れたと……?」

「神獣は街の外に逃げた。愚かなあいつのせいでな」


 炎スキルの名家が、水スキルの名家をにらみつける。


「スキルを持たない守護獣ビーストが神獣なわけが無いだろう!」

「それは分からんぞ?黒髪の一族と出会ったなら、新しく力を持つかもしれん」

「寝ぼけたことを」

「双方、落ち着きなさい」


 今まで静かに聞いていた王さまが突然口を挟んだ。


「神獣が現れたのなら、我が国の脅威だ。すぐに手を打たねばなるまい」

「ですが、確定ではありません」

「確定したときには遅いのだ」

「陛下に賛成ですな。騎馬族に優しくする道理はない」

「途中、魔物に襲われたらどうする?」

「魔物など魔術師も使えば敵ではあるまい」


 長く長く話し合いが続いた。

 しんと静まった会議室に国王の声が響く。


騎馬族殲滅せんめつを命じる」






 むかしむかし、まだ人々が魔術も守護獣ビーストも持たなかったころ。

 国同士の争いが絶えませんでした。

 多くの家々が焼かれ、土は痩せ、水は枯れました。

 荒れ地を吹きすさぶ風は、体を痛めつけるようです。

 人々は飢え苦しみました。


 神さまは天からその様子を眺め、とても心を痛めました。

 苦しむ人々のために、神さまから使わされたのが、神獣さまです。

 神獣さまは荒れ地を潤し、人々の傷を癒やしたのです。


 これを疎ましく思ったのは、とある国の王さまでした。

 王さまは、自分の国以外が豊かになることが、許せませんでした。

 ある日、王さまは神獣さまを招きました。


「神獣さま。あなたの力を、私に貸してはくれませんか?」


 神獣さまは答えました。


「あなたはとてもお強いです。

 私の力を使わなくても、偉大なお国をつくれるでしょう。」


 王さまはとても怒りました。


「私の頼みを聞かないなんて、なにごとだ!お前なんか殺してやる!」

「あなたのお心に従いましょう。

 ただし、私を殺せばこの国は魔物に襲われ、国を治めることも、ままならないでしょう」


 王さまの命令で、神獣さまは殺されてしまいました。

 死んでしまった神獣さまは、国の外に捨てられました。


 哀れに思った人々が、神獣さまの体を土に埋めました。

 神獣さまのお墓を、人々が守ります。

 そのうち、人々は風を操ったり、火を起こすことができるようになりました。

 人々はそれを魔術と名付け、魔術師と呼ばれる人が生まれました。


 噂を聞きつけた王さまは、人々を殺しました。

 神獣さまの墓を壊し、誰も近づけないようにしました。

 ある日、生き延びた魔術師が、みんな同じ夢を見ました。


「この模様を描いて祈りなさい。そうすればあなたを助けてくれるでしょう」


 魔術師たちは、模様を描いて祈りました。

 そうすると不思議な力をもつ守護獣ビーストが現れました。

 魔術師たちは、守護獣ビーストたちと国を作り、幸せにくらしました。

 王さまは大きな国を作りましたが、魔物に殺されて死んでしまいました。


 さて、悪い王さまは神さまに裁かれました。

 あなたたちにも、怖いことが起きないように、神獣さまのおまじないを教えてあげましょうね。

 そのおまじないは、―――――。




 ◆◆◆

 短い繋ぎ回です



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