第12話 アルベルトの狂気とレオの特訓とラッキースケベ

 ――レオとイオが牛肉にメロメロになっていたその頃のアルベルトは……。



 炎の名家の廊下を、二人の使用人が食事をのせたワゴンを押している。

 歩きながら話し始めた。


「アルベルトさまは、また本を読んでらっしゃるのかしら?」

「なんでも魔術に関する本らしいわ」

「魔術師をめざすのかしら?

 魔力は持ってらっしゃらないでしょう?」

「守護獣と魔力はちがうから、スキル以外の何かを探されているんじゃない?」

「魔術の本から?」

「だって、守護獣のスキルがなくなってから、ずっと幽閉されてらっしゃるじゃない……」

「スキルがないから、外には出せないものね」

「だから、本は旦那さまが渡しているそうよ」

「最近は魔物討伐はしなくてもよくなったから。

 色々と旦那さまも、アルベルトさまのために動いてるのかしらね」

「でも、うちと水の名家が、ギスギスしてるらしいわ。

 この間の議会でも、ずっと言い争いをしてたって」

「それ本当に?」

「旦那さまの機嫌が悪い時があったでしょ?従者と執事がグチっていたから本当よ」

「四大名家が争うなんて物騒ね。田舎に戻ろうかしら」

「そうね。……さて、アルベルトさまは今日のご飯を、召し上がって下さるかしら?」


 そう言って、使用人はアルベルトの部屋をノックした。


「アルベルト様、ご飯をお持ちしました」

「魔術……魔物……神の使い……」


 アルベルトは使用人のことなど気づかない。

 使用人はいつもの場所に食事を乗せると、一礼して部屋を出ていった。


 アルベルトは部屋で、ブツブツと何かを唱えながら本を読んでいる。

 げっそりとやつれた顔は、アルベルトだとすぐに分からないくらいだ。


「魔術……魔物……神の使い……守護獣ビースト……」


 何度も同じ言葉を繰り返し、何かを探すようにページをめくっている。

 その本のタイトルは“口語伝承集 騎馬族の魔術と神獣伝説”






「わぁ!お、おはようございます。レオさん大丈夫ですか?」

「やだ!イオちゃんたら、レオくんのお顔にしがみついて寝てますの?」

「おはよう……。顔にしがみつかれたのは、初めてだ」

「うにゃむにゃ……」


 朝のあいさつもそこそこに、朝ごはんを食べた。

 首領のテントへ呼ばれる。


「私が仲良い首領たちにレオ総督そうとくのことをお伝えしよう。どの村もラカータ村より遠い。

 スキルで伝達するが、返事もいれると一週間ほどかかるだろう」

「ありがとうございます」

「その間、ハリブにいるといい。私がお前を鍛えてやろう」


 そうやって俺自身の特訓が始まった。

 村の少し外れで首領と向き合う。

 魔物狩りでも思ったが、戦いの場で向き合うとやはりオーラが違う。

 少しでもスキを見せれば、あっという間にやられてしまう凄みがあった。


「戦うのは守護獣ビーストだ。しかし複数の魔物や、不測の事態などあるじに危険があるときは多い。

 あるじが強ければ守護獣ビーストの負担が減る。また、あるじにも自信がつくから、より冷静に戦況を判断できるようになる」

「なるほど。そういう考えはありませんでした。貴族もある程度は武術を習いますが、形式的なものです。

 騎馬族のような、実践的なものではありません。始めてみたとき感動しました」


 それから俺は、首領に逃げ方、受け身や棒術、騎馬族式の格闘術を習った。

 基本ができたら、すぐに対人訓練。

 リーベラさんが相手だ。


「弱いなぁ!首領に習ってこれ!?」


 結果は一撃で沈んだ。


「くそ!もう一回お願いします」

「レオ総督そうとくは、やっぱり負けず嫌いだね。

 いいよ。いくらでも相手にしてやる!」


 一日目は一撃も入れられずに全敗した。

 女性だからと、手加減したら全力でこられた。

 最後は手加減してないけど、あっさりとヤラれてしまった。


 二日目、三日目とこなすうちに、知識を身体が覚えてくれるのを感じる。

 五日目には、初勝利できた。


「久々に見に来たが、レオ総督そうとくだいぶ上達したな」

「首領!ありがとうございます!

 リーベラさんの動きも分かってきました」

「ちっ!」


 リーベラさんが舌打ちした。女性が舌打ちしたのを初めて見たので驚いた。


「お、リーベラ。負け惜しみか?

 レオ総督そうとくに負けるなんてなまってるなぁ」

「違います!レオ!もう一回やるよ!」

「は、はい!」


 向かい合ったら、すぐに訓練の始まりだ。

 リーベラさんは素早い。あっという間に距離をつめて、足元を掬おうとする。

 避けて、背後にまわった。


「クソッ」


 リーベラさんは体勢が崩れているので、踏ん張っている軸足を狙って攻撃。


「ここだ!」


 一撃いれる。入ったが、リーベラさんはしなやかな身体を活かして逃げる。

 ようやく、リーベラさんを追い詰めた。


「トドメだ!」


 俺の一撃で頭からたおれるリーベラさん。


「危ない!」


 とっさにリーベラさんの体を反転させる。

 俺が下敷きになるような形で倒れた。


「レオ総督そうとくの勝ち!ずいぶんと役得だな」


 ニヤニヤ声で首領が判定してくれる。

 俺はリーベラさんの下敷きになったが、ちょっと、その……おっぱいにちょうど顔を埋めるカタチになってしまった。


「ふがふが」


 柔らかくて暖かい感触に、全ての意識を持っていかれる。

 ダメだ、イオと首領が見ている。

 おおお落ち着け落ち着け落ち着け……ない!


「ふがー!」

「うるさいな!どけるから待ちな!」


 リーベラさんの大きすぎる声で耳がキーンとした。


「ご主人もおっぱい好きにゃ?イオも大好きにゃ!」

「い、いいから!回復スキルを頼む」


 イオがスキルを使ってくれる。


「あたしまで回復してもらって悪いな」

「いいのにゃ」

「リーベラ、サービスが足りないんじゃないか?」


 首領がリーベラさんをからかっている。

 顔を真っ赤にしてリーベラさんが言い返した。


「うるさぁぁぁい!!!」



 ◆◆◆


 読んでいただきありがとうございました。 

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