第6話 薬師ジゼルと首長ジーウェイ登場!

 そんなこんなで村人たちをなだめつつ、東の森から一度出ることにした。

 まだ昼前なのに4体も魔物を狩ることが出来たので、みんなウキウキしている。

 あと少しで森の出口というところだった……。


「きゃぁあ!」


「!」

「叫び声!?」


 全員が声の方を向き、迎撃体制に入った。

 さすが、魔物を狩り慣れている人たちだ。


「イオ!助けるぞ!」

「にゃ!」


 その魔物は木々をなぎ倒しながら出てきた。

 2メートルの猿のような魔物だ。


「デカい!」

「にゃにゃにゃん!」


 ピョンピョンと身軽に木々を飛び移り、素早さのスキルで魔物をかわす。


「にゃ!」


 魔物の腹に、思い切り蹴りを食らわせる。


 ゴンッ


 魔物が倒れた。


「ぱっくんちょ!」


 イオがスキルを奪う。

 倒れたままの格好で魔物が腕を伸ばす。


「イオ!避けろ」

「にゃ!」

「俺にまかせろ」


 イオが身をかわすと同時に、馬のすがたをしたタイタンが、スキルを使った。

 後ろ脚で立ち上がり、前脚を地面に力強く叩きつける。


 ドンッ


 魔物がいる地面だけが大きく揺れる。


「すごい揺れだ!それをピンポイントに!」

「タイタンのスキルは地震です」


 フェイジュンが得意気に答えた。

 かなりのダメージをくらったようで、さっきイオが蹴ったお腹の部分が、ボロボロと崩れた。

 ……中に人がいる!?


「人が出てきた!?」

「強い魔物は人も食べます」


 フェイジュンが冷静に答える。

 間髪入れずに村人の守護獣ビーストが引き寄せスキルを使った。

 判断が早いと感心してしまう。

 食べられていた人がこちらへ引っ張られる。


「よっと」


 うまい具合にキャッチ出来た。

 騎馬族の服を着た、栗毛の髪の女の人だった。


「うっ……」

「大丈夫か?」


 女の人の目がうっすらと開いた。


「レオさん、こちらが安全です!」


 コクンとうなずいて安全地帯へ女の人を運んだ。


「トドメにゃ!」


 イオが、ボンッと大きな火炎弾を繰り出すと魔物はコアになった。


「すごく大きいコアだ」


 俺のこぶしより大きなコアがキラキラと輝く。

 それをフェイジュンの持つ封印袋に入れた。

 村人たちは歓声を上げる。


「凄い!あんな強い魔物を倒せるなんて!」

「あれは俺たちだけじゃ、無理だったな」

「助けた子が怪我をしてるぞ!回復スキル持ちはいるか?」

「はいにゃ!」


 イオが回復させた。

 いくつスキルを持ってるのか、後で確認しなければ。


「神獣さま!」

「「「ははぁーっ!」」」


 再びひざまづく村人たちを無視して助けた人へ向かう。


「大丈夫か?俺はレオ」

「ありがとうございます。わたしはジゼルと申しますわ」

「ジゼルさま!何故ここへ?」

「ん?フェイジュンは知り合いなのか?」

「ジゼルさまは、もともと王国の方です。

 今は薬草で薬を作って、私たちや他の騎馬族を助けてくださいます」

「お薬をお宿代にしてるだけですの。

 今日は薬草摘みに来たのですが、うっかり食べられてしまって……お恥ずかしい……」

「うっかりって……」

「本当です。大変なことなんですから!ジゼルさま気をつけて下さい!」


 のほほんと笑うジゼル。うーん、なんとなく見覚えがある。


「ジゼルは貴族じゃないか?俺、会ったことがある気がする」

「はい、元貴族ですわ。守護獣ビーストが子守唄のスキルなので、お家を追い出されてしまいましたの。

 あなたも王国のかたですか?」

「俺も元ラスキン家の者だ。追い出されたのはジゼルと同じ理由かな」


 俺たちの会話を聞いて、フェイジュンがプリプリと怒る。


「たかがスキルで追い出すなんて!王国は家族を何だと思っているんですか!」

「フェイジュンさん落ち着いて。貴族の世界はそういうものなの」


 まあまあ、とジゼルがフェイジュンをなだめた。

 フェイジュンは一呼吸おいて、ジゼルと向き合う。


「私たちは一度村へ戻ります。ジゼルさまもご一緒しませんか?」

「そうですわね。魔物に襲われたので、しばらく安全なところで休みたいですわ」


 森を抜けて隊列を作る。


「タイタンに四人は無理ですね」


 俺たちをみて、フェイジュンがうーん、とうなる。


「イオは筋力増強スキルがあるにゃ!ご主人はイオが運ぶにゃ」


 そう言って軽々と俺を持ち上げてみせる。


「うわわっ!恥ずかしい!イオ、降ろしてくれ!」

「いやにゃ。このまま村まで行くにゃ!」

「さすが神獣さま!」

「レオ君いいぞ〜!」

「ヒューヒュー!」


 村人たちは完全に面白がっていた。

 ちくしょう。




 そんなこんなで村へ戻ると人が増えている。ざわざわと活気づいていて賑やかだ。


「遠くに魔物狩りに行っていた人たちが、帰ってきたようです」

「姉さん!」


 白馬に乗って黒髪の少年が走ってきた。


「ジーウェイ!無事で良かった」


 白馬から降りた少年はフェイジュンに微笑んだ。


「姉さんこそ、怪我もなくて良かった」

「レオさん。こちらは私の弟で、村の首領のジーウェイです」

「はじめまして。ジーウェイと言います。これは守護獣ビーストのヘレネです」

「はじめまして、レオだ。こっちは守護獣ビーストのイオ。

 俺と同じ年に見えるのに首領!? 騎馬族はすごいな!」

「いえ、僕は父が亡くなったので、取り急ぎの首領です。

 本当は大人たちから決めるべきなんですが、魔物狩りのせいで余裕がなくて……」

「いやいや、俺よりしっかりしてるよ」


 俺が感心していると、ふくよかなおばさんが羊と一緒にあらわれた。


「はい、レオくんのお洋服が出来たわよ。今のは汚れているでしょ?

 お風呂も出来たからお着替えなさいな。おばさんの守護獣ビーストは布を出せるの」

「あ、ありがとうございます」

「あらあら、いいのよ〜。イオちゃんが魔物を5体も倒したんですって?

 神獣さまは違うわねぇ」


 ニコニコと笑っておばさんは去っていった。

 恐るべし、おばさんの情報網。


「風呂もあるんだ」

「貴族のお風呂みたいにお湯は使えませんわ。

 でも蒸し風呂も気持ちいいですわよ」


 ジゼルが教えてくれる。


「村によっては温泉もありますわよ」

「温泉も!……俺には知らないことだらけだ」

「私も最初はそうでしたわ。でも慣れると貴族の暮らしより楽ですのよ。

私はあまり貴族に向いていませんでしたので……今が一番楽しいですわ」

「貴族の暮らしか……俺も王国には戻りたくないな」


 俺は、自分が王国に疑問を持ちだしたことを実感した。



 イオのスキル

 ・炎   ★★★

 ・素早さ ★☆☆

 ・回復  ★☆☆

 ・筋力増強★★☆

 ・??? ★★★


 タイタンのスキル(フェイジュンの守護獣ビースト

 ・地震 ★★★


 ヘレネのスキル(ジーウェイの守護獣ビースト

 ・防御 ★★★


 ヒマリアのスキル(ジゼルの守護獣ビースト

 ・子守唄 ★☆☆



 ◆◆◆

 なんかもう、名前があるキャラのスキルを載せました



 読んでいただきありがとうございました。 

 続きが気になる!イオかわいい!ムサいのより女の子を増やせ!と思われましたら、

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