第18話決勝前

無事に予選を終えた。全ドライバーは、ミーティングルームにて、

ドライバー同士雑談をしていた。

「颯さん、何なのですか?あの走り、第1左コーナーで、

いきなり残像だけを消える、あの走りは、一体何なのですか」

初音ミクは、予選を終えた颯にあの走りについて、問い詰めていた。

「あの走りですか?あの走りは、ぼくが、自分で編み出した、

走行法ですけど、それが、何か問題でも?」

「颯さん、あの走りで、新人のレーサーとは、到底思えないですよ、

本当に新人のレーサーなんですよね?」

「う~ん、ぼくは、一応新人のレーサーに入るのかな、ただ、

プロレーサー試験の年齢制限が大幅に拡大されたから、試験を受けて合格したよ、アマチュアレーサー時代は、アーケード版で鍛えていたよ、

その時に今の走行法を編み出したのだよ」

颯の説明を受けて、初音ミクは、納得したのだった。

「その時、アーケード版で使用していたマシンのシャーシは、スーパー1と言う時代遅れのシャーシを使用していなかったかい?」

その話を聞いていた、マリンブルーのスポーツ刈りが二人の会話に入ってきた。

「はい、そうです、昔組んで、改造等はしていない、ドノーマルのマシンをその時に見つけまして、レストアとチューニング等をしまして、アーケード版で連勝していました、えっと、あなたは?」

「自己紹介まだ、だったね、ボクは、【水原 海】《みずはら かい》です、気楽にカイって読んで下さい、颯さん、初音ミクさん」

「よろしくお願いします、カイさん」

「よろしくお願いします、カイ先輩」

颯と初音ミクは、突然、会話に入ってきた、カイに驚いたが、

気さくな先輩レーサーだったので、すぐに打ち解けた。

「ひょっとして、その時のマシンが、今日、持って来たマシンなのかい?」

カイは、確信を得る答えを、颯に尋ねた。

すると、颯は、

「はい、そうですよ、当時と同じでは無いですが、当時にアーケード版で使用していた、マシンです」

颯の説明に納得と言う答えにたどりついたカイは。

「やはり、君だったのか」

「やはりって、何がです、カイ先輩」

カイ一人だけ、納得していて、颯と初音ミクは、二人共?を浮かべている。

「颯さん、貴方が、アーケード版を使用していた時、貴方に5連続挑んで、全敗させられたマインです、覚えていませんか?」

「マイン?アーケード版?すみません、当時のぼくは、確かにアーケード版で腕を磨いていました、ただ、当時対戦相手が、多くて、個人個人までは、覚えていません、すみません、カイ先輩」

颯の説明にショックを受けるカイだが、同時に当時の雪辱を果たす事に燃えだしていた。

「覚えていないとは、良い度胸だね、決勝は、ボクが、優勝して、君に今までの雪辱を果たすから、覚悟してろよな」

カイは、颯にそう啖呵を切る、すると颯が

「受けて立ちましょう、まぁ、今度もぼくが、勝って、優勝しますけど」

啖呵返しにカイと颯の間には、火花が散る、その様子を見ていた、

初音ミクは、オドオドしながら、二人を見るのである。

そうこうしていると、審判判定員が入ってきた。

「初めまして、今回のレースの審判判定員をさせていただきます、

【橋間 知広】《はしま ちひろ》です。公平で平等の判定をいたしますので、安心して、フェアな、レースをしてください」

橋間 知広のレーサー達への自己紹介を終えて、各レーサーからは、

様々な反応を見せている。

ある者は、喜び。

また、ある者は、煙たがる表情を見せた者もいた。

新人の二人の反応は。

初音ミクは、初めての同性の審判判定員にホッとすろ。

鎗場 颯は、ヴァーチャルレースが開発される前の専用コースで、大会が開催されていた時に車検場に居たアルバイトでその場に居た、美少女で男女問わず、レーサー達から人気者が有った、その彼女が、高校卒業と同時に、

レーサーズ模型のレース管理部門に入社したのだった。

その事を、颯は、SNSで知ったのだった。

知広が、颯の事を見つけると、颯の近くに移動して来た。

「お久しぶりですね、無敗の皇帝むはいのエンペラーこと、鎗場 颯さん」

知広の発言に他のドライバーに衝撃波が広がった。

「チーちゃん、久しぶり、ぼくの引退レース、以来だね」

「その、呼び名は、相変わらずですね、当時も、今も、貴方だけですよ、

颯さん」

二人は、親しげに話していると。

颯の後ろに座って居た、ブルーのツインテールの幼顔の小悪魔系の女性が、

二人の会話に入ってきた。

「ちょっと、二人に聞きたいのだけど、無敗のエンペラーって確か、

専用コースでレースが開催されていた時、四つの大きいレース大会を制覇して何年も維持していたのでしょう、それが、こんなオジさんに近い歳のお兄さんな訳が無いでしょう、あっ、アタシは、【スチュアート・仁野】《すちゅあーと・にの》ね、よろしく」

スチュアート・仁野が、二人の会話に割り込んできた。

知広が、こう言った。

「仁野さん、さっき、僕が、しゃべった事は、体験談であり、事実ですよ、無敗の皇帝とは、彼の通り名ですよ、彼が現役時代は、春、夏、秋、冬のジャパンカップが開催されると、毎回、颯さんは、参加して、優勝をかっさらって行きましたよ、おかげで颯さんの事を知っているレーサー達は、参戦を辞めて引退する選手が多く居ましたよ、颯さんが、引退した途端に、これまで、参加しなかった選手や引退したはずの選手が復帰しましたね~」

「チーちゃん、競技人口が多い事は良いことでしょう、SNSで、【給料がupしたとか、ボーナスが増額した~】って喜びを載せるのを読んだよ」

「キャー、それは、言わないで、裏アカだから、てか、なんでそこまで知っているの、まさか、ストーカーなのですか?」

知広が、誰も知らないはずの裏アカに颯が、知っている事に嫌悪感を抱いた。

「違うよ、引退レースの時にチーちゃんから、貰った名刺の裏に3種類のQRコードが貼って有って、それぞれをスキャンしたら、1つは、営業用のアカウント

2つ目は、裏アカ、3つ目は、プライベート用ってのが、それぞれ内容的に判断したよ」

「あっ」

知広は、記憶を急いで思い出す。

「確かに、颯さんにあげた、【プライベート用】の名刺をあげた」

「チーちゃんて、しっかり者に見えるけど、抜けている所が時々見られるのだよ」

引退レース当時、知広は、彼氏探しをしていた、

当時、知広は、大学生恋人が欲しい世代、知広に彼氏が居たかというと、

サークルのマドンナとなっていたため、交際を申し込んでくる男性は、居なかった、

その為、知広は、当時バイト先の車検場の美人なお姉さんをしていた時、気になる男性レーサー達にプライベートと仕事用の名刺を分けてこっそりと渡していたのだった。

「あの名刺は、一枚しか、作っていなくて、運命的衝撃が走った人に渡すと決めていたから、それが、颯さんだったのよ」

知広から、この話を聞いた、颯は。

「チーちゃん、ごめん、ぼく、もう彼女がいるんだよ、ごめんね」

「・・・・・」

颯の言葉に知広は、大きなショックを受けて、固まった。

「チーちゃん、チーちゃん、おーい、ダメだ、かなりの衝撃だったみたい」

颯の言葉も知広の耳に入っていなかった。

すると、様子を見に来た、主任審判判定員が入ってきた。

「結構、ミーティングが長引いているけど、何か問題でも?ってチーちゃん、何固まっているのよ、しかも、絶望的表情して、チーちゃん、おーい」

ミーティングルームに入ってきた、人物に全ドライバーが、気が付いた。

「あっ、都さん、実は、チーちゃんの片想い実らなかったみたいで」

「それで、この状況ね、しょうがない、あたしが、代わりに、説明をするわ、

新人の二人には、初めまして、主任審判判定員の白黒 しろくろ みやこです。

今回のレースは、予選とコースを変えて、ハイスピードテクニカルオフロードコースになっています、詳しく説明しますと、まず、スタート地点がある、メインストレートが、350m有ります、その直後の左のデジタルコーナーがあり、その直後、傾斜角度40°の左バンクスロープを登ります、この登りと降りは、サンドエリアのオフロードとなります、このバンクスロープの間は、芝セクションとなっています、バンクスロープを降りたら、デジタルウェーブとウェーブのセクションが連結しており、その直後右の90°コーナーが待ち構えております、そこを通過すると、傾斜角度60°のサンドブリッジを渡ります、ブリッジを降りたら右のデジタルコーナーを抜けて直ぐに100Rの右コーナーを迎えます、直後180°左S字コーナーを越えて、バックストレートを越えて、最終コーナーをクリアして、再びメインストレートの戻って、ゴールとなります、規定周回数は、ピット無しの35周です、以上が今回のコースです。何か質問は、無いですか?」

都の説明にドライバー全員納得していて質問は、出なかった。

「では、全ドライバーは、ドライバールームに移動して下さい」

説明を終えて、全員ドライバールームに行き、各々マシンをセットして、

スタートを全ドライバーが待っていた。

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