第17話公式戦予選開始

会場に到着した、颯は、受付を済ませて、

ドライバーミーティングルームに向かった。

すると、既に颯を除く全ドライバーが、集合していた。

「おはよございます、皆さん、早いですね」

「おう、颯、遅かったな、後、30分で、ミーティング開始だぞ」

相羽先輩から、軽く、注意を受けて、すみませんと謝り席に着いた。

すると、隣の席の女性ドライバーから、話し掛けられた。

「君、緊張して、遅れたの? あっ、自己紹介まだ、だったね、

私は、一華いちか、スチュアート・一華、

イギリス人の父と日本人の母のハーフなの気軽に一華って呼んで下さい、新人さん」

「ぼくは、鎗場 やりば はやてです、よろしくお願いします、一華さん」

「さん、付けは、嫌いだから、呼び捨てでお願いします」

「じゃあ、一華、よろしくお願いします」

「うん、よろしくね、颯さん」

日本人の女性には、あまりモテない颯だったが、ハーフの一華のタイプには、

ドストライクだった。

「緊張はしていないよ、一華、ただ、昨日は、レースに必要なパーツ類の補充にショップ巡りをしていたから、少し寝坊しただけだよ」

「ふ~ん、そうなのね、じゃあ、今も、眠気が有るのかな?」

「多少は、残っているよ、そろそろ、ミーティング開始するんじゃあ無い」

颯が、そう言うと、昨日の新派 判断治郎がミーティングルームに入って来て、

予選時の注意事項に、予選を何らかの理由で放棄した者は、

失格処分と追加された事を参加ドライバーに通告するように協会からの連絡を告げた。

各ドライバーは、ミーティングが終わり、

全ドライバーが一斉にドライバールームに移動を開始した。

移動中

「ふふふ、颯さん、早速対策を立てられてしまいましたね」

「う~ん、ぼくは、そんなつもりでやったじゃあ無いのだけど」

「へぇ~、故意じゃあ無いのね」

一華は、昨日の行為が、故意じゃ無いと知って驚きを隠せないでいた。

「うん、実は、昨日の練習走行で思った以上にバッテリーの消費が早くて、

それで、練習走行を切り上げたんだよ」

「へっ?じゃあ、昨日の練習走行を早々に切り上げた理由ってのは、

ただのバッテリー切れだったの、てっきり、

コースレイアウトをもう、覚えたから、それで、切り上げたと思ったよ」

「それもある、けど、復帰組だから、間違えて、

マンガンを持って来ちゃったのだよね、昨日の練習走行の時、

画面にマシンの状況情報の所にバッテリーの部分が赤く表示され、その後、バッテリー残量のパーセントが表示されて、残りが5パーセントと表示されて、

替えのバッテリーを持って来なかったから、そのまま、切り上げた」

颯の答えに呆れる、一華だった。

「じゃあ、今日は、大丈夫なんでしょう?」

一華が、颯に当然の疑問を聞いた、すると、颯は、

「大丈夫だよ、昨日、あれから、模型屋等を巡りして、

公式バッテリーを数個を確保したよ、今日は、ちゃんと持ってきているよ」

「なら、安心して、今日は戦えるね、手加減は無しね」

一華からの宣戦布告に颯の答えは。

「当然、ぼくも、今日は、ある程度は、全力を出すよ」

「へっ?全くのMY初心者じゃあ無かったのね?」

「ぼくは、復帰組だから、ある程度のレギレーションとかは、知っているよ」

「じゃあ、VR時代の前のリアル専用コースで走らせていた時代ですよね?」

「そうだよ、だから、新しいレギレーションが追加されたけど、

車検だけは、変更されて無くて良かったよ」

「そうなんだ、あぁ、だから、マシンの状態が、車検に適している状態なのね」

一華は、颯のマシンが、一目で車検をパス出来る状態で持って来ている謎が解けた。

二人が、話しながら移動していると、

ある部屋の前に全ドライバーがピットボックスを持って一列に並んでいた。

「なあ、一華、あの部屋って、車検場しゃけんじょうなのか?」

「そうだよ、あの部屋で、練習走行を除く公式戦全て、

あの部屋の車検場に予選前に全ドライバーのマシンは、

車検をパス出来ないとレースに参加出来ないのよ、じゃあ、私達も並んで、一緒に車検に合格しましょう」

一華は、颯と一緒にその列に並ぶ

二人は、仲良く、車検場に入り、検査員にマシンをチェックさせるためにマシンを係の人に預けて、色々調べて無事に車検に、二人とも合格して、

検査員から、颯に車検について注意事項が告げられた、その内容が、

車検は、予選前に1回と決勝前に1回の計2回で、予選と決勝は、

同じセッティングのみで、交換できるのは、バッテリーのみっと告げられた。

その上、予選は、公式バッテリーの指定は無いが、

決勝は、公式バッテリーのアルカリバッテリーを支給のみ使用出来ると告げられた。

「無事に車検に二人共クリアして、良かったね」

「本当だよ、久しぶりだから、レギレーションが、あまり変わって無くて良かったよ」

復帰の颯は、事前にネットでレギレーションをチェックしていたのだった。

「各ドライバーは、コクピットスペースに着席して、スタンバイしてください」

アナウンスが流れ、一華と颯は、急いでコクピットスペースに行きマシンをセットした。

「さぁ、各ドライバーの準備が終わったようだ、新人の二人から、

予選走行を開始して下さい」

そう、アナウンスされて、勢いよくパドックから、飛び出した。

「さて、タイムアタックモードで走りますか」

「昨日の練習走行の時、彼の走りは、如何なものなのでしょうか?」

二台は、ピットロードから、コース本線に入り、第1左コーナーに入った瞬間、

先頭を走っていた、颯のマシンが、残像だけを残して消えた。

「えっ?何が、起きたの、さっきまで、颯さんのマシンが、走っていたのに、

いきなり消えた、コースアウトの気配も無いですし、一体何処に」

初音ミクは、プチパニックに落ちていた。

【メインビジョンを見ていた観客の反応】

「なんだ、何が、起きたんだ」

「分からない、今、第1左コーナーに入った瞬間消えた、カメラの故障じゃあ無いのか?」

「でも、ロードマップを見ろよ、あの新人野郎は、もう第5右バンクに入る所って反応しているぞ」

「本当だ、もう、あんな所に」

(お兄ちゃん、昨日の練習走行の時は、思いっきり、手を抜いていたね、

けど、次のレースからは、厳しくなるよ、頑張ってね)

真宙は、静かに、心の中で、颯の事を応援していた。

【ドライバー視点】

「何が、起きたんだ、今、颯のマシンが、左第1コーナーに入った瞬間消えた」

「まさか、あいつがか、でも、確信出来るまでには、まだ確証が足りないよ~」

「嘘だろう、新人の颯が、ゴーストアウト出来る訳が無い」

先輩レーサー達から、どよめきが広がった。

(規定ポイントに新人の颯選手が通過いたしましたので、昨シーズンのランキング順でのスタートでお願いします)

「今シーズンに入った新人は、かなりの実力を持っているに違いない」

先輩レーサー達も、徐々にスタートして、無事に全ドライバーが予選を終えた。

決勝ポジションは、エリンス・シュペーマンがポールポジション、

2番手が、水原 海。

3番手が、鎗場 颯。

4番手が、スチュアート・六花。

5番手が、相羽 淳。

6番手が、初音ミク。

7番手が、スチュアート・四葉。

8番手が、赤熱 茜。

9番手が、スチュアート・一華。

10番手が、スチュアート・仁野。

11番手が、スチュアート・三九。

12番手が、スチュアート・五紀。

と、このような結果になった。

100分間のマシンのメンテナンスをして、

全員がマシンの車検に合格して、保管スペースにマシンを預け、

全ドライバーがミーティングルームに行かない限り、決勝は、行われない。

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