第15話公式戦練習走行

ドライバールームに着くと、作業スペースとコクピットスペースが、一区画ずつ有りその数は、参戦ドライバー全員分の数が有る、先輩レーサーは、場所が決まっているため、そそくさと席に着いた。新人レーサーの二人は、空いている席に案内されていた。

席に着いた、新人レーサーの二人は、マシンの最終チェックをして、マシンを操作用のケーブルを後ろに繋ぎ、スイッチをONにいれて接続状態をチェックして、オールグリーンの表示がされて、走行開始を待つだけだった。

「全員、メンテナンスを終えて、スタンバイ出来ましたね、申し遅れました、私、

今回のレースの審判判定員をさせていただきます、

新派 判断治郎しんぱ はんだんじろうです、よろしくお願いします、では、

今回のコースを簡単に説明させていただきます、コースのタイプは、

スピードタイプです、ただし、途中には、スロープやバンク、強風ゾーン、

デジタルコーナーが有ります、マシンの耐久度には、気をつけて下さい」

新派 判断治郎が簡単にコース説明を終えると、各選手のコクピットスペースの画面にカウントダウンが表示されていた。

「では、恒例の新人レーサーからの練習走行を開始して下さい」

そう、アナウンスされると、新人の二台は、仲良く勢いよくピットエリアのパドックから、飛び出した。

「へぇ~、仕切りで仕切られていると思った普通のヴァーチャルサーキット場

じゃあ無いか、ん、後ろを走っているのは、ミクか、あいつのマシンは、

ピンクの丸型のコーナリングマシンか、ぼくのマシンと同じタイプだ」

颯は、コクピットスペースの画面上にバックミラーに映る稲妻のマークがよく似合うピンクで丸型のマシンが見えた。

「前を走行しているのは、颯さんですね、長方形型でレッド&グリーンのカラーリングのマシンですか、同じタイプのマシンですね、ただ、最高速度は、向こうの方が上見たいですね」

二台は、ピットロードから、本線に出ると、颯は、スピードをある程度まで上げて、コースの特徴の把握とレイアウトの覚えとセットアップの確認スピードで走って行くが、一方ミクの方は、颯と打って変わって、コースレイアウトを覚えるだけに集中していた。

「うーん、やっぱり、モーターは、トルク重視で、ギアは、

最高速度タイプよも、加速タイプの方が良いな、よし、ピットインだ」

「颯さん、マシントラブルでしょうか?たった2周しただけで、ピットに戻るなんて、私は、このまま走りましょう」

颯の早過ぎるピットリターンに先輩レーサー達は、驚く事は無かった。

「よし、多分このセットアップで良いはず」

颯は、素早くセットアップを変更して、コースに戻る、

復帰までのタイムの短さと早さに先輩レーサー達はざわついた。

「では、新人のミク選手が規定周回数に達しましたので、これよりベテランの選手の皆さんは、練習走行を開始して下さい」

新派 判断治郎がアナウンスすると、パドックから、一糸乱れず一斉にコースインすると、先頭の車両から、スピードを上げていく、その走らせ方は、颯と同じだった。

一方、颯は、セットアップの最終チェックをしている。

そこへ、一台が接近してきた、そのマシンの特徴は、最近発売された、乗用車みたいな形のニューマシンだ。

「あれは、赤いマシンだ、誰だろう、ドライバーの表示にしてと」

颯は、メニュー画面を出して、ドライバーネームを表示した。

すると、そこに、表示されていたドライバーネームは、

AKANEっと表示されていた。

「あれ、茜のマシンだったんだ、これは、手の内を、まだ、明かさない方が良いな」

「へぇ~手の内を見せないとは、賢いし、なかなかのレベルじゃないの」

颯は、練習走行の段階では、出来るだけ、手の内を明かさないように、

茜のマシンにするっとパスさせた事で、賢い茜には、ある程度まで、

把握されていた。

颯のマシンの後ろにゴールドのマシンが、接近していた。

「へぇ~あの、レッド&グリーンのラインのカラーリングは、噂の新人の野郎の方か」

感の良い颯は、茜に悟られた事に気が付いている。

「多分、茜には、気が付いたな、それよりも、後ろから、ゴールドのマシンがき近づいて来ているな、とりあえずこのマシンもパスさせよう」

颯が、ゴールドのマシンをパスさせよと右の路肩にマシンを寄せたが。

「なんだ、このマシン、煽ってきやがった」

「ハン、この腰抜け新人に、この世界の厳しさを叩き込んでやるぜ」

ゴールドのマシンからの煽りを回避するため、すぐ近くにピットロードが、見えたので、ピットロードに避難をして、パドックに頭から、入り練習走行を切り上げた。

「なんだい、今回の新人野郎は、腰抜け新人に決まりだ、そいつの事を腰抜けと呼んでやろう」

「まあ、物足りない練習走行だったが、この鬱憤は、レースで晴らさせて貰う」

颯は、余った時間は、マシンのタイヤのメンテナンスに費やした。

そうこうしていると、練習走行終了と画面上に表示されて、アダプターを外して下さいと表示され、颯は、アダプターを外して、オイルペンで軽くギア関係のメンテナンスを終えた所で画面上に予選~決勝までの詳細日程が表示され、颯は、

携帯で撮ると、画面上にライセンスカードをカードリーダーに差し込んで下さいと、

表示され、各ドライバーは、一斉にライセンスカードを差し込んだ。

すると、新派 判断治郎が、練習走行終了のアナウンスをする。

明日、午前9時に、予選を開始するのでレース開始する、

2時間前にドライバーミーティングルームに集合するように新派 判断治郎が全ドライバーに告げた。

各ドライバーは、画面にライセンスカードに記録完了と表示され次々とライセンスカードを取り外す。

「さて、帰って、メンテナンスしないと」

颯は、マシンをボックスに入れると、真宙との待ち合わせ場所へと、

行く前に忘れ物が無いか最終チェックをして、部屋を後にした。

それに、皮切りにゾロゾロと各ドライバーが、出ていった。



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