第2話
2年生4月。始業式。
「転校生を紹介します。一ノ瀬一花さんです。仲良くしてください。」
そう先生に言われて、教室に入ってきた転校生。
「一ノ瀬一花です!好きな食べ物はきのこの山です!よろしくお願いします!」
緊張するはずの初めの挨拶。
それですら明るい笑顔でハキハキと話す元気な子。
ただ、それだけだった。
目があった途端にビビッときたわけでもない。
それなのに・・・
そうして、彼女は僕、木川勝負の隣の席に座る。
「よろしくね!木川しょーぶ君?」
「まさぶです。」
「間違えた!ごめんねー。」
「大丈夫ですよ。よく間違われるので。」
クラス替えの後の座席は出席番号順だ。
だから、出席番号が1番の彼女と7番の僕は隣になる。
「木川くん。一ノ瀬さんに学校の事、色々教えてあげなさい。」
やっぱりか…彼女の後ろの人に任せて欲しかったな。
そうして、僕は彼女の案内人になったのだ。
始業式、実力テストを終えて、通常授業の日々がやってきた。
だけど、一ノ瀬さんとばかり話したせいで、逆に男友達を作り損ねていた。
去年仲の良かった友達、佐藤翔輝、繁田幸大とは今年も一緒だからぼっちではない。良かった。
2人は1年の時から仲が良い数少ない僕の友達だ。
で、今はこの2人とお昼ご飯を食べている。
ちなみに、一ノ瀬さんはと言うと他の女子の友達と一緒にいて、僕は久しぶりの男子の時間を満喫しているのだ。
「まさぶ、一ノ瀬さんといい感じ。」
「くっそー。俺が隣が良かったぁ!転校生とかラブコメかよ!」
こーだいにからかわれ、隣の席になりたがるしょうき。
「一ノ瀬さんとどこまでいったんだよ!うらやまじいぃ。」
「なんもないから!あるほうがおかしいよ!3日しか経ってないからね!」
「後5分で予鈴。」
「まだ、ちょっとしか食べてないのに!」
こうして、ひたすらからかわれ、一ノ瀬さんとの話を聞かれ続けてるうちに休み時間がほとんどなくなった。
「おー、一ノ瀬さん。席、借りてたわー。わりー!」
「お邪魔してました。」
「全然、良いよ。これから、よろしくね!」
そうして、一ノ瀬さんが自分の席に帰ってきて、しょーき、こーだいが帰っていく。
佐藤は帰り際に親指を立て、ウィンクをして去って行った。
いや、ウィンク出来てないから!
両目瞑ってるし、それ、まばたきだし。
そうして、僕は登校する前にローソンで買ったおにぎりにかぶりつく。
横で一ノ瀬さんが目を見開いてこっちを見てる。
「な、、、なんで?なんで、ローソンなの!おにぎりはファミマでしょ!」
「ローソンのおにぎりの方が絶対おいしいよ!」
「分かってないねー。ファミマの具がたくさん入ったおにぎりでしょ!」
「「ぐぬぬー」」
「だけど、チキンは…」
「ファミマだよ!」
「ローソンだよ!」
「「なんで!!」」
「ぜっったい、ファミマだよ。」
「木川くんは分かってないなぁーチキンはローソンが美味しいんだよ!」
「「ぐぬぬー」」
「あははは
おにぎりとチキンで喧嘩するって。」
「ねー、あたしもこんな喧嘩初めて。面白い。」
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