イメージネイション ~イメージしたモノが具現化する異世界~

髪毛さん

第1話 目が覚めると大草原!?


  家族が皆寝ている。深夜二時。

  一人だけ、部屋にこもって電気も点けずにパソコンの光だけが部屋を照らす。

  モブ亀の攻撃を食らい、主人公が死んだ。萎えた。

  セーブをしないまま、主電源を抜き、強制的にパソコンを閉じた。

  ゲームを辞めると晩飯を食べていないことに気が付く。―お腹が鳴った。

  ―面倒くさいが、コンビニに行くか…。

  コンビニに行くために、適当に服を来て、三百円を握りしめる。

  ゆっくりと襖を開け、ゆっくりと階段を降りる。

  父と母が寝ている部屋を忍び足で通った。

  靴を履き、小さな声で「行ってきます」と言って家から出た。

  外は、深夜二時という事もあって、辺りは真っ暗だ。

  あと二年で成人というのに、暗闇には慣れないな。と思う。

 暗い中、歩いていると、コンビニの看板の光が見えはじめ、急いで店内に入った。

  適当に鮭おにぎりとお茶を買って、店内に出たと同時に、鈍い痛みが胸を刺す。

  痛みが引くことはなく、次第に強くなっていき、膝から崩れ落ち、倒れた。「ちょっと、兄ちゃんだいじょうぶ」 

  店員のおばちゃんが、こちらに近寄ってきて体を揺さぶる。

「だれか、救急車よんでぇ~」

 徐々に視界がぼやけていき、辺りが真っ暗に…。耳も遠くなっていくのも感じる。

  その時、始めて「これが死か」と思った。

  次第に眠気も増していき、ゆっくりと目を閉じた。


                  *   


 何だか外が騒がしい…。急に鮮明に潺の音や、風を感じる。

 目を開けると、綺麗な青空が見えた。

 ―あれ、俺、倒れて死んだじゃ…。

 次第に夢だったのでは…。と思うようになっていく。

 だが、あの視野が狭くなっていく感覚と、意識が糸の様に切れる感覚が夢にしては現実味を感じた。

 違和感を胸に抱きながら、起き上がろうとした時、胸に少し痛みを感じる…。

「夢じゃあないのか…」

 胸に手を当てながら、体を起こし、辺りを見ると…。 ―驚きを隠せなかった。

 目に見えたのは、俺が知っている日本ではなく、緑の草が生えるどこかの大草原だった。

 木も一つも生えない。本当に大草原と言えばこうだろう。というほどだった。

 俺の脳内には、誘拐と死後の世界の二択で争っていた。

「誘拐の可能性…。主犯は店員の婆さんか…。だが…」

 店員のおばちゃんは心配していた様子は主犯にしては本物だった。

 ならば、残る可能性は一つ。

 ―俺は、死んだ可能性が高い…。

 自分は死んだと考えるとここは天国…。と考えると納得できた。

 ただ、天国なら案内人が来るものだろうと、待つことにした。

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