MMORPGの最強プレイヤーは、HPと防御力以外に全凸するそうです!だって、敵の攻撃全部避けれたらそっちの方が強いもんね!

haru1030

第1話 神ゲーMMORPGのリリース日!

「帰りの挨拶、さようなら。」


日直の号令を、クラスの生徒が復唱し終えた時には既に、彼の姿は教室から消えてきた。


「急げ!急げ!!!」


俺は短距離選手が50mを疾走するかのように、

いやそれくらいの速さで猛ダッシュした。


廊下を駆け抜け、階段を飛び降り、下駄箱の靴を速攻で履いて、校門をくぐり抜けた。


「はぁ、はぁ、暑い!!」


息が切れる。めっちゃ暑い。まだ梅雨明けだというのにこの暑さ、地球温暖化マジでヤバいな。


午後4時、平日の通学路は人も車も少なく閑散としている。まあそれは、俺が誰よりも早く学校を出て帰ろうとしているからなのだけど。


「ったく、荷物重すぎるんだよなぁ!あと家まで500mくらいか!」


灼熱の日光が照りつける初夏のとある日、俺は全力で走って自宅を目指していた。




その理由は、神ゲーで名高いVRMMOゲーム、FO1(fantasy online1)の続編がリリースされる日が今日だからだ!


といっても、事前登録、ダウンロードを済ませてあるからリリース開始時間の7時に間に合えば別に良いのだが、不具合でダウンロードが出来て無かったらどうしようと急に不安になり、こうして今通学路を疾走している訳である。


FO1とは、日本の大手MMORPG製作会社が主として開発したVRMMORPGのこと。2028年4月12日にリリースされて以来、全世界で今日に至るまで650万本売れた伝説的な神ゲーである!


脳内にチップを埋め込み、VRゴーグルを装着して三次元の立体仮想空間にフルダイブする。


五感が完全に再現されており、まるで現実世界のように身体を動かすことが出来る。


フルダイブ技術の進歩がまだあまり進んでいなかった当時でこのリアルさは凄い!と一躍話題になり、チップを埋め込むことの敬遠感さえも払い除ける程の人気を巻き起こした。


ゲームの内容は剣と魔法のファンタジー世界。


世界観は多種多様で、中世の街、太古の街、日本風の街、森林、洞窟、砂漠、ダンジョンなどがマップに存在する。


プレイヤーはその幻想の世界を探索しながら、

冒険を進めていく、というのがゲームの内容だ。


そして人気を爆発させた大きな理由の一つとして、圧倒的な自由度がある。


FO1の世界では、自由度がとにかくすごい!


ダンジョンを探索し、モンスターを倒して強くなるのも良し。大自然を探索するのも良し。

プレイヤー同士でPvPをするのも良し。平和に

チャットを楽しんだり、動物と戯れるのも良し。


とにかく、どんな人でも楽しめるような圧巻のクオリティのゲーム、それがFO1である。


そして三年の歳月が過ぎた2031年6月14日、FO1続編作品、【FO2】が遂にリリースされる!


FO1をリリース当日からプレイしていたガチ勢の

俺は、この日をどれほど待ち伸びていたか!


1分30秒のプロPVは凄かった。現実よりも綺麗なグラフィックに、膨大な広さのマップ。

自分だけでなく、世界中の人々が待ちに待っている。そんな6月14日だ!


FOの歴史を頭の中で再生していたら、もう家に着いてしまった。


ドアを蹴っ飛ばし、タブレットの入った鞄を放りすて、靴を飛散させて2階への階段を高速で

かけ登った。


「いよっしゃぁぁぁぁぁ!!!やるぞぉ!!」


ふと時計を見ると4時11分。流石に早すぎる。

別に急がなくても良かったわ。


合計48TBのダウンロードを終え、ハードを起動し、ゴーグルとの接続をした。


「よし!準備完了!SNSでも見るかー。」


ネット上にはFO2の話題で溢れている。

マジ楽しみ、キター、などといった、発狂するような熱気が伝わってくる。俺も、「開幕ガチりますwww」とトュイッタァーで上げておいた。


4時からリリース開始の7時までは、果てしなく長い時間に感じた。


その間に食事を済ませ、体調の確認をし、

眠気が吹っ飛び集中力が上がる薬を服用した。

また、30分前にトイレを済ませておいた。


ダイブ中でもトイレに行きたくなったり、お腹が空いたりするとダイブを解除しなければならない。だから前もって入念に済ませておく。


ちなみに俺は鋼の膀胱があるから、2日位は

トイレに行かなくても大丈夫。明日は学校を休み、寝ずに20時間は連続してやろう。


そしていよいよその時になった。


現在時刻は6時55分。VRゴーグルをセットし、

FO2の開始ボタンを連打する。

「まだリリース前です。まだリリース前です」

と連続で表示される。ついに!いよいよだ。


高まる興奮で、心拍がすごく高鳴っている。

そしてついに、


「ゲームをプレイできるようになりました。

VRゴーグルを使ってフルダイブする時は、体調や周囲の環境にお気おつけ下さい。それでは、【Fantasy Online2】をお楽しみ下さい!。」


真っ黒だった視界が急に明るくなり、視界が開けていった。徐々に身体と脳がリンクしていって、立体の空間に直立しているような感覚に

包まれた。


「す、凄い。感度もFO1とは比べ物にならない!」ついに…来たんだ…!FO2に!」


広がっていたのは、白色のタイルが規則正しく、果てなく続いている光景だった。

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