Day3-7 委員長のセナ
「静かにしてくれない? 中ではみんなが真面目に勉強しているのよ」
教室からひとりの女子生徒が出てきた。
ベルデがオススメするカワイイ女の子。
委員長のセナだ。
……何て言うか、悔しいことにベルデのオススメには間違いがない。
セナはかわいい。
眼鏡をしていて、髪はおさげにしている。
それだけを聞くと、地味な印象を受ける。
離れた所から見たは、僕もそう思った。
だが、近くで見ると美少女なのだ。
『眼鏡を外すと美少女』ではない。
『眼鏡をしていても美少女』だ。
どうにも、セナはものすごくカワイイのだが、それを隠すために、大きめのメガネかけ、地味な髪型をしているのかもしれない。
だが、全然隠しきれてない。
「ちょっと、委員長。ヒロト君がうちに興味を持ってやって来たんや。今、楽しくおしゃべりしてところなんやで。邪魔せんといてや」
「ヒロト君とおしゃべりしてる?シフさんの声しか響いてなかったけど」
「ヒロト君は聞き上手なんや」
「本当にそうかしら。ヒロト君がお気に入りの妹みたいな女の子が、シフさんの髪の毛を触りたいって言うので付いてきただけじゃないのかしら」
「違わい!ヒロト君はうちに興味があったけど、シャイやから女の子と一緒に来ただけや」
さすが。委員長の推察の方が事実に近いな。
「ヒロト君がシフさんと……したいって言ってるなら、もちろん邪魔はしないわ。でも、そうでないなら、廊下で大声でおしゃべりするのはやめて欲しいわ」
「ヒロト君はうちの髪を触りたいって言ってくれてるんやで。つまり、うちと付き合いたい言うてるのも同じことや」
「それは曲解すぎない?」
「何を言うてるんや委員長。ヒロト君に選ばれへんかったからって、ひがむのはやめてくれへんか」
「ひがんでなんかいないわよ。でも、そこまで言うならヒロト君に聞いてみたら?」
「全然かまわんよ。なぁ、ヒロト君。うちの髪を触りたいやろ? サラサラやで。うちの髪を触りながら愛を語らい合うって、めっちゃ最高やと思うで。なぁ、うちと付き合いたいと思うやろ?」
何かこっちに話を振られた。
うーん、そうだなあ。
どちらかと言えば……。
「シフの髪は触りたいけど、委員長の方が興味あるかな」
「なぁ、うちの言うた通りやろ。……え?」
「え?」
―――――
「じゃあ、シフ。触ってもいい?」
「あ、はい。よろしおまっせ。いくらでも触っておくんなまし」
何か、シフのしゃべり方がおかしくなってる。
「ノアちゃんも触らせてもらったら?」
「はい!ありがとうございます」
ノアちゃんと一緒にシフの髪に触る。
サラサラだ。
高級なペルシャ絨毯ってこんな触り心地なんだろうか。
ノアちゃんもサラサラで気持ちよかったけど、シフの髪はもっと長くてどこまでも指を滑らせることができる。
「すごい! サラサラでつやつやで少しひんやりして気持ちいいです!! いつまででも触っていられます」
「それはおおきにやで……」
ノアちゃんは頬ずりしている。
その後ろから、ベルデもこっそり髪を触ってる。
お前は何を勝手なことをしてるんだ。
委員長もシフも、ベルデの存在に気付いていない気がする。
こいつミスディレクションを発動してやがるのか。
僕だから気付いたものの、他の人だったら見逃していたね。
まあ、僕も忙しいから何も言わないけど。
僕は左手でシフの髪を触りながら、右手で委員長の三つ編みをいじくったりしている。
「私なんて、シフさんみたいに綺麗じゃないのに。顔も髪も肌も……。触ってて楽しいの?」
「委員長、顔も髪も肌もきれいだよ。あ、セナって呼んだ方がいい?」
「どちらでもいいわよ。 どうせ気まぐれなんだって分かってるんだから。 安心して。 私、他の人みたいにすぐに彼女ヅラして偉そうな態度はとらないから」
「誰か偉そうな態度をとっている子がいるの?」
「ネレアさん以外のあなたのクラスメイトとか」
うちのクラスメイトって、別のクラスの子にそんな偉そうな態度をとっているのか?
もしそうなら、問題だな……。
「だったら、セナにうちのクラスに来て委員長やって欲しいな」
「……何を言っているの。そんなのできるわけないでしょ」
「まあ、そうだよな」
シフの髪を触るのをやめ、両手でセナを触る。
眼鏡をはずしてキスをする。
僕は
隣のクラスの
委員長の
セナと
した。
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