Day1-5 生徒会長と
1日目・夜
どっぷりと日が暮れた。
気のせいか、夕方から夜に移行するのがすごく早かったような。
図書館から歩いてきて、場所は食堂の裏辺り。
昼間だと何とも思わなかったが、夜だと薄気味悪い。
一応街灯は立っているが、24時間やっているコンビニもなければ明るいビルもない。
この世界の夜は、現代日本と比べて圧倒的に暗い。
魔物とか出てきそう。
でも、学校の敷地内って多分、結界とか張ってあるんでしょ。
まあ大丈夫でしょ。
そんな風に思っていたわけですけども。
魔物いました。
ツノがあって、キバがあって、羽があって悪魔みたいなやつ。
多分、ガーゴイル。
それが5体もいる。
向き合っているのは一人の少女。
ガーゴイル囲まれても臆することなく剣を構える。
一斉に飛び掛かって来たが、ひと振りで全員を切り裂いた。
すごい。
かっこいい。
「まだそこにいるのてしょう?出てきてなさい!」
警戒心を解くことなく、周囲を見渡している。
「出てこないなら、こちらから行きますよ」
僕にはまったく魔物の気配を感じない。
いったいどこにいるのだろう?
彼女はまっすぐに僕の方に向かってやってきた。
物陰に隠れていた僕の喉元に剣の切先を突き付ける。
「「あ」」
「……学園の生徒でしたか」
「……すみません」
先ほどまで、空は分厚い雲に覆われて、辺りは真っ暗だった。
少し雲の切れ間から月明かりが差し込み、彼女を照らした。
入学式の時に、講堂の壇上に立ち、歓迎の挨拶をしていた美しい女性。
「私は騎士科3年ルリノです。この学園で生徒会長を務めています」
「存じ上げております。僕は普通科1年のヒロトです。図書館の帰りで、生徒会長と魔物が戦っていたのを見かけたものでビックリしました」
「まだ他にも魔物がいるかもしれません。危ないから寮まで送りましょう」
「ありがとうございます」
暗い夜道、生徒会長の後ろをついていく。
暗がりからガーゴイルが再び現れた。
ガーゴイル
ガーゴイル
ガーゴイル
ガーゴイル
ガーゴイル……
今度は100体以上。
5体程度であれば問題なく倒していた生徒会長だったが、こんなに数が多いとそうもいかない。
「夜の学園って、こんなに魔物が出てくるんですね……」
「普段はこんなにいないですよ。ヒロトさんが魔物に相当好かれているようですね……」
「すみません、僕のせいで……」
「心配しなくても大丈夫です。これくらい何の問題もありません」
そう言うものの、僕を守りながら戦うのはやりにくそうだ。
「生徒会長!僕ができることはないですか?」
「ヒロトさん……キス、してもらえないでしょうか?」
「こんな時に……ですか」
「こんな時だから……です」
僕は生徒会長を抱きしめてキスをした。
「これで私は負けることはありません」
「僕に触れると何かパワーアップするとかあるんですか?」
「いえ、気持ちの問題です」
「そうですか」
その後の、生徒会長はすごかった。
ガーゴイルを1体倒す度に、僕にキスを求めた。
最後の方はキスどころではすまなかった。
えーと
その
生徒会長は
僕といたしながら
全てのガーゴイルを倒した。
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