大魔王からは逃げられない?
@ariproject
レベル1
俺は勇者にはなれなかった
誰しもが勇者になれる訳ではなかった
これは盗賊になってしまった
俺の物語だ
この世界は大魔王が支配している
当然魔物が徘徊する世界だ
魔物に襲われて命を落とす人も多い
盗賊は魔物察知に鋭い
そして逃げ足が速い
俺が今まで生きてこられたのも盗賊だったから、この逃げ足のお陰でもある
盗賊といっても魔物より強い訳ではない
だからといって、すぐ逃げると臆病者のレッテルを張られてしまう
魔物が襲いかかるギリギリのラインまで耐えてから逃げる事で勇気がある者として経験値を沢山入手出来て強くなるのだ
あれは忘れもしないレベル1の頃だった
俺は戦士だった
勇者に憧れて冒険に出たかった
だが俺の能力では戦士が関の山だった
冒険職でなれたのは戦士だった
こうして俺の冒険が始まるのだった
そして
スライムがあらわれた
誰しもがスライムなんて雑魚魔物に負ける訳はないと思うだろう?
スライムを持っていた武器で叩いた
その瞬間、スライムは破裂して身体へと纏わりつくのであった
そして激痛に襲われる
なんと飛散したスライムが俺の身体を溶かしていくのだった
青かったスライムは俺の肉を溶かしていき
みるみると血で赤くなっていく
スライムを取ろうにも掴み取る事が出来ない
逆に手も餌食に、そして徐々に全身にスライムが覆い尽くす
そこで俺の意識は無くなった
目撃していた人からの証言
スライムに全身溶かされて食べられていたそうだ
次に目覚めた時には教会だった
何が起こったのか?わからなかった?
牧師が一部始終を俺に教えてくれた
たまたま蘇生魔法を使える賢者に発見されて助けられたそうだ
俺が目覚めた時には既に賢者の姿は無かった
賢者は既に移動していて、この町には居なかった
賢者に御礼が云いたくて賢者を追いかけた
そしてまたスライムに遭遇してしまう
スライムがあらわれた
あんな思いはもう二度とごめんだ
前回の一件で戦う事にトラウマとなり
戦闘恐怖症になってしまったのだ
俺は一目散に逃げ出していた
戦えない戦士、スライムからも逃げ出す
戦士を続けていく事も出来なくなり
盗賊へと落ちぶれてしまったのだ
たかがスライム、されどスライム
魔物に襲われる被害者は多い
例え相手がどんな魔物でも油断は禁物
魔物は魔物
それを討伐する者こそが勇者である
俺には無理だった
俺は勇者にはなれなかった
俺は戦士にもなれなかった
これは俺が盗賊になってしまった物語
そう逃げ足だけが自慢の盗賊の物語
こうして俺の物語の幕が開ける。
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