事件の迷惑料 @ ?
「千紗、大丈夫? ついこの間倒れたばっか何だから無理しなくても……」
「大丈夫です。光秀くん。
先輩に事件の全容のメッセージも送ってあります。そしたら、
【この間は避けてごめんね。
犯人究明は望まないし、千紗ちゃんは悪くないから気にしないで。
ただ、会いに来てくれたら嬉しい】
って返事が来たので行かないと。
明日退院できるみたいですが、退院したら夏休みで先輩にずっと会えなくなります……」
「千紗……」
「光秀くん。私、こわいです。
一緒に行ってくれますか? 」
「……うん、分かった」
◇○◇
「先輩、ご迷惑かけて本当にすみませんでした」
ぺこーりっ!
「千紗、そんなに頭下げなくても……」
「光秀くん。いつも言いますが、謝るときはこうやって頭を下げるものです」
ぽん、ぽんっ
にこっ
「先輩……そんな。だって……テニス。
最後の試合……あんなに頑張ってたのに。
ううっ……本当に先輩は素敵ですね。先輩のこと好きな方が沢山いるのも納得です。
私達はただの【にゃん太朗仲間】で、先輩の【好意】は、にゃん太朗に向いていたのに誤解されるなんて……。
先輩は皆のアイドルなので、趣味が似てるからって近くにいない方がいいですね……」
ふり ふりっ
にこっ
「ぐすっ……。
先輩……私だって、先輩ともっと沢山お話したいです」
ふき ふき なで なで
ニコニコ ニコニコっ
「えっ、なんで謝ってる私がご飯奢られるんですか?
あっ、他の人に見られない所で仲良くしたらいいってことですか? なるほど」
こくりっ にこ にこ
「私が奢りますよ。
任せてください。何が好きですか? 探偵の情報力は凄いんですよ! そしていっぱいお話しましょう」
にっこり! る~んるんッ
「千紗……」
「あっ、光秀くん。
光秀くんも一緒に行きますか?
先輩、彼は私の優秀な助手で大事な友だちなんです。
光秀くんは私の一番の理解者なんです! 」
「ちょっ、千紗」
……ちらっ。
…………こくり。 にこ……り?
「いいんですか? ありがとうございます! こんなに素敵な先輩と一緒にご飯に行けるなんて楽しみですね、光秀くんっ」
「そうだね……」
こうして、
【学校のアイドル
名探偵の
――が、まだ2人の会話は終わっていない。
少し後になっても、どこかで会話は続く。
ピッ
――――音声再生開始――――
「事件が解決出来て良かったです~。
まぁ、犯人自供による解明なので、私自身は何もしていないんですが……。
まさか私の【探偵の勘】が元凶を示すなんて。やはり勘に頼りすぎずに推理しないとですね。
色々、ありがとうございました」
ぺこっ
「あんなに謝らなくても良かったのに……」
「迷惑をかけたときは謝罪する。
当たり前のことです。
私が泣いたから、気も遣わせてしまって申し訳ありません」
ぺこーり
「ん~、じゃあ……迷惑料もらうよ」
ぐいっ ちゅっ
「ん……んんんっ! 」
――とん
「な、な、な……
わたし、ファーストキスだったんですよ? 迷惑料って何でキスしたんですか? 」
「……嫌だった? 」
「嫌じゃ……ないです。
だって、事件からずっと色んな意味でドキドキしっぱなしで。訳が分からなくて……
もう、どうしてくれるんですか~!? 」
「それって……俺のこと好きってこと? 」
「えっ、いや……それは」
ちゅっ
「顔真っ赤だよ? 可愛い。
「えっ、だって……」
ぎゅっ
「……だめ?」
「だめじゃ……ないです」
ドキドキドキドキ……ぎゅぅ
――――音声再生終了――――
ピッ
「はぁ、なんとか無事回収出来て良かった。
バレたら折角上手いったのに全部台無し。
よく録れてるな。ほぼ計画通り。
あ~ここまで辛かった。ほんと鈍すぎる」
さてこの録音データの名前は――
【恋敵抹殺計画 ~千紗は絶対渡さない~】
【九死に一生 ~可愛い探偵は俺のもの~】
どちらでしょうか?
裏タイトル
【学校のアイドル2人を恋の沼に落とした罪な迷探偵 ~どっちと付き合うの? ~】
≪ おしまい ≫
★作者より★
真相は想像にお任せします。
ですが、私としては決まってます。作者的な回答が知りたい方は【キャラと作品考察】の近況ノートを見てみてくださいね。
→https://kakuyomu.jp/users/tonari0407/news/16817139557841044256
拙作を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
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