2人は……どこ?

「っていうか、千紗はそんなこと言うために俺をこんなとこに連れ込んだの? 」


「そうですよ。誰かに聞かれたら困る内容ですから」


「こんな人の来ない体育倉庫に? 」


「はい! ここならドアも分厚いから外から会話を聞かれることもないですし、入り口も1つなので誰か来たらすぐ分かります」


「千紗は……

 高校生の男女が体育倉庫にいたら何が起きるか知らないの? 」


「あー、集団リンチとか監禁とか、自殺に見せかけた殺人とかですか? 光秀くんは私にそんなことしないのは知ってますよ」


「いや、ちがくて……。こういうのっ! 」



 ドンッ



「光秀くん、そんなに近くに来てどうしたんですか? そ、そんな唇くっ付いちゃう距離に来たら暑いです……」



「もしも……くっついたらどうするの? 」


「……べ、別にどうもしませんよ?

 そんな至近距離で見つめないでください。

 ……なんか最近の光秀くん変です」


「別に変じゃないよ。

 そろそろ本気出そうかと思っただけ。

 ねぇ千紗、こっち見てよ。

『人と話すときは目を見て』って言ってたの誰だっけな? 」


「そっち向いたら……くっついちゃいますよ」


「ふ~ん、それでも俺は全然いいよ? 」


「よ、良くないです」


「ついさっき『どうもしない』って言ったのは千紗自身だけど。

 探偵は嘘ついていいの? 」


「よ、良くはないですけど、私にもわかんないですよっ! この感じ初めてで……」


「じゃぁ、分かるまで検証する? 」


「やっ……」



 どんっ!



「なっ……ごめんなさい。

 ビックリして突き飛ばしてしまって……。

 光秀くん、より事件の検証の方が優先度が高いです。


 今回のは殺意ある傷害事件ですよ?

 先輩はまだ目覚めていないし、早く犯人を捕まえないといけませんっ! 」



「……はぁ。

 千紗、今まさに別の重大な傷害事件が起こったの、知ってる? 」


「えっ! どこで? 誰がですか?! 」


「嬉しそうにするの止めて?

 これだから生粋のミステリーおたくは……」


「光秀くん、私はオタクじゃないです。

 ミステリー好きな探偵ですよ」


「はいはい……えーっと事件の検証ね」




 光秀の心の傷害事件が発生。

 犯人は千紗。


 事件の真相はいかに……事件検証へ続く

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