掃き溜めに壺

猫憑ケイジ

プロローグ

第1話 掃き溜めに壺

 


 ヤァヤァ、みなサン。よってらっしゃい、みてらっしゃい。

 大江戸乱中おおえどらんちゅおどろキ ドッキリ みだレノ

 小説界隈しょうせつかいわい ミダレニ みだレタ みだチ。

 書籍化しょせきか受賞じゅしょう、アニメ重版じゅうはん、コミカライズ ノ ナンデモゴザレ ノ アッパレアッパレ。

 コチトラ、ソンナ、世間せけんながレニレヌ土左衛門どざえもん


 サテサテ、皆サン。よってらっしゃい、みてらっしゃい。

 ココニデルハ、めにつぼ

 ソレハ、タダノ掃き溜めデ、つぼうごめただノヒト。

 なかひそム ハ 欲深よくぶかごう


 ハイハイ、皆サン。よってらっしゃい、みてらっしゃい。


 コレハ タダノ ボクノ掃き溜めで。

 ソレヲ 溜めてる壺ナノサ。


***


 めにつる、ということわざがある。


 つまらない所に、そこに似会わぬ優れたものや美しいものがある、という意味の言葉だ。昔の人は頭が良いというか、トンチが上手いというか、面白いことを言うと思う。

 だから、僕もそれに習おうと思った。

 いや、習うと言うよりも真似る、今風に言うとパクってみようと思ったのだ。


 これからここにツラツラと書きつづろうと思う。


 そう、ここは、僕にとってはただのつぼ

 僕は今、その壺の中に頭を突っ込んで叫んでいる。ただそれだけのことなんだ。


 僕の中で行き場のなくなったモノをただただ掃き溜めるだけの、ここは僕の〝掃き溜めに壺〟なんだ。


 つまらない所に、そこに似合うくらいの、優れているのかどうなのか、よくワケのわからないものが溜まっている壺、さ。


 だけどもしも、僕の掃き溜めに興味のある人や、共感する人や、反発する人や、そそられる人がいるのであれば、それはオモシロイことだと思うんだよ。


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