狼さんと他愛のない日常と冒険

Akikan(仮)

プロローグ

 親切な狼さんは、赤ずきんの祖母をぺろりと食べてしまう。

 知恵もある狼さんは祖母の服を着て、布団を顔までかぶって赤ずきんを待つ。

 しかし、赤ずきんは真っ暗な時間になってもやってこない。

 おかしいな、そう思った狼さんは扉を強く押し開ける。

 すると、扉の外には狩人がいた。

 弓を番えた狩人は、狼さんを獲物として捉えて、矢を放つ。

 矢じりが狼さんの右目を貫く。


「オオカミさんが! ひどい、なんてことするの?!」


 悲しそうな女の子の叫び声が狼さんの耳に届いた。


「お嬢さん、この狼は人を騙して、油断させておいて喰い殺す恐ろしい獣なんだよ。現にこの小屋に住むおばあさんがこいつに喰われた。さぁお嬢さん、お母さんのところに帰りなさい」


 力なく倒れた狼さんは狩人によって引き摺られていく。

 女の子は悲しみと同時に込み上げてきた怒りの感情で手を震わす。

 狼さんは左目で始終を映した……――。

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