第18話

「ニャ――――!!」

「そうだ! お前の鳴き声ではなく。今度はお前の顔の向きで判断させてもらうぞ!」

 

 右へ左へと猛スピードで走り回るリーエの腕の中で、おひるねこの首が四方を巡っていた。


「はんっ! すでに囲まれていたってわけか!!」


 リーエはソードエネルギーで、片っ端からおひるねこの首が少しでも向くと、その方向へと、激しい斬撃を加えていく。


「DUUUUUUU」

「BVVVVVV」

「WVVVV」



 不気味な断末魔が周囲から聞こえる……。

 次第にリーエとおひるねこの活躍によって、断末魔がしなくなってきた。

 リーエは残存兵を斬り捨てるべく。

 司令部内をおひるねこ片手に今度はゆっくりと歩き回った。


「リーエ! 後ろ! 危ない!!」


 リーエがクリスの声でハッとして後ろを向いた。

 だが、すぐに44口径の巨大な弾丸がどこからか放たれた轟音が木霊した。


「BU!」


 即座に唸り声と共に、おひるねこが欠伸をした。

 クリスは司令部の唯一の出入り口で大型コルトを構えていた。


「クリス。助かったぞ。ありがとう」

 

 リーエはニッと笑った。


――――


「失礼いたします! お鍋できました!」


 今日のリーエは鍋料理を珍しく畏まって食卓に置いていた。


「司令官。このお鍋とても美味しいですよね」

「ええ、美味しいですよね」

 クリスとエデルも何故か緊張していた。

「美味しいであります」

 ジェリーも顔が強張っている。


 ここはリーエの家。

 いつもの食卓には、クリスとエデルとジェリーと……そしてフラングレー司令官が座っていた。


「そんなに畏まらないでくれ……みんな……いつも通りでいいんだが……」


 フラングレー司令官は微笑んでいるが。リーエの豹変ぶりにもどこか驚いているのだろう。

 

 珍しい猪鍋が湯気の立ち。

 全員が畏まるリーエの家だった。



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