雨に濡れ続ける人々

!~よたみてい書

新しい土地と万能型戦士

 茶髪の少女は電動ローラースケートに身をゆだねながら、前方に見える学校を深刻そうな表情で見つめ、


(見えてきた! あそこが今日から私が通うことになる高校!)


 茶髪少女は十代半ばの容姿をしていて、身長は約百五十五センチメートル。

 前髪は眉の上で流し、後ろ髪は肩まで伸びている。

 少し下がった目じりからは優しさを感じ、茶色い瞳が宿っていた。

 ベーシックな半袖とショートパンツを身に着けていて、胸部に小さなふくらみが出来上がっている。


 茶髪少女は高校を目指して歩いている生徒、同じく電動ローラースケートで道路を走行して向かっていく生徒に目を配りながら、


(いや、ここは『私たち』って言うのが正解だよね。私だけじゃない、みんなも新しい生活が始まろうとしている!)


 茶髪少女は他の新入女生徒らしき人物を目で追っていき、


(どうしよう、入学初日からいきなり他の人に声をかけて友達作っていく? スタートダッシュ決めて、最初から地盤を固めていった方がいいのかな?)



 茶髪少女は駐輪場に電動ローラースケートを停めた後、近くにいた黒髪の女生徒に駆け寄っていき、


「あのー、もし間違っていたら申し訳ないのですが、新入生の方でしょうか?」


「えっ、そうですけど。何かごようですか?」


 黒髪女生徒は戸惑いを見せながら茶髪女性に答える。


 茶髪女性は小さく微笑みを向けながら、


「そうなんですね! ほっ、間違ってなくてよかったー。あ、私も今日からこの高校に入学する、二組のサトミって言います」


「私は一組のトモコです」


 サトミと名乗った茶髪少女は、頬を軽くかいていき、


「一組なんですね。そっかぁー、同じ組じゃないんですね。でも、組が違うからって仲良くしてはいけない理由はないです! そんな決まりないです!」


「えっ、えぇ。まぁ、そうだね」


「トモコさん、いやトモコちゃん。もしよかったらなんだけど、その、お友達になってくれないかな?」


 トモコと名乗った黒髪女性は一瞬苦笑を浮かべた後、微笑みなおし、


「いきなり!? まぁこんな私でよければよろしくおねがいします」


「トモコちゃんがどんな人かなんて知らないよ。だって、これから知っていくんだからね!」


「まさしく正論だね」


「というわけで、一緒に中に入ろう」


「うん。サトミちゃんは地元の人?」


「え、私? 私は――」


 二人はおしゃべりを続けながら前方の校舎に向かって歩いていく。



 サトミは駐輪場に電動ローラースケートを停めながら、


(……でも、そんないきなり馴れ馴れしく接したら迷惑だよね。初日で出来事すべてが初体験なんだもん。緊張してるはずだよ。だから、私は初日からの友達作りから逃げ……る)


 無表情を作りながら黒髪新入女生徒の横を通り過ぎていき、昇降口に向かっていった。

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