第240話 終結
どんどん落下速度が早くなり、このままだと街が無茶苦茶になってしまいます――!
『まかせて!』
ムルムルが僕の肩から一気に伸びてバアルの腕をぐるりと体を一周させて掴み取りました!
ムルムルがどんどん伸びていきますが、からだの途中を大きく広げ、パラシュートのようになり、確実に落ちる速度は落ちてます。
『おもいー! はやくおねがいー!』
「ライ急いで! お願い早く! 後五百! 三百! 百メートル! 駄目!」
「よし! 収納! ············はぁぁ。ちょっと屋根が壊れた家がありますが、間に合いました。とりあえずムルムル戻って。ありがとう。ムルムルが引っ張ってくれてなかったら間に合いませんでしたよ」
『おもたかったけれど、がんばったよ』
「まだまだ油断は出来ないわよ。でも流石私の騎獣ムルムルよ! 良くやったわ! さあ追い込むわよ、これで私達が自分に傷を負わせる事のできる者だとバアルも気付いたはずよ。だからこれからは油断してくれないから気を付けてね」
「うん。たぶん悪いものは半分ぬけましたから、魔力抜くよりやりにくいですけど、回復はしませんからね。――っ! 来ますよ!」
バアルはまた同じように、僕が悪いものを抜いて集めた塊に手を伸ばしてきました。
「考えましたね! 一本腕じゃ無くて、沢山の触手を伸ばしてきましたよ! 魔法でやっちゃいます! ウインドランス! 連続でいきますよ! ぐるぐるー! ほいっと!」
一度に百本以上のウインドランスを発射して、それを連続で打ち続けます。
狙いをつけている暇もありません。背後の悪い物の塊に向かって、次から次へと触手が伸びてきますがウインドランスが当たりまっすぐ下に触手を撃ち抜いて、千切れて、穴が空きとぱらぱらと落下していきます。
落ちていく触手も悪いものを抜いて収納。それを繰り返し、足りなくなりそうな魔力も、バアルから抜き出す事も忘れません。
ですが少しずつ近付いてきているのが分かります。
「くっ! だいぶ近づいて来ました! 手数が――あっ! そうです! 悪いものを浮かべておくから駄目なのですよ! 収納! よし! ウインドランス!」
「そうよ! あんなの収納しちゃえば良いのよ! バアルの奴、さあ次はどうするの!」
『貴様! 私の物を返すのだ! 出せ! 何者だ! ただ超越しただけの人間が私に何をしているつもりだ! 弾き飛ばしてやる! グガァァァァァー!』
「くぅぅっ! 頭に響いてっ!」
「任せて! 結界! 後少しよ! きゃっ!」
「テラ! テラを離せ! しっ!」
真下からじゃなくて、ぐるりと遠回りしながら僕達より上空に、気付かれないまま触手を伸ばしていて、テラに巻き付きました。
「テラっ! このっ! くそっ! 切り離したのになぜ動くのですか! ぐるぐるー! ほいっと! 収納! テラ大丈夫!?」
「だ、大丈夫······よ、ちょっと苦しかっただけ······力を持ってかれちゃったけど······小さく······な······」
僕の腕の中でどんどん小さくなるテラ。僕は潰してしまわないように、優しく抱き締めながら、まだ襲いかかってくる触手を避け、逃げ回るしか今は頭が回りません。
そして、小さく手のひらほどになったテラは、初めて会った時より弱々しい力しか感じ取れないですがちゃんと生きています。
「――ムルムル! テラを掴んでいて下さい! バアル! 貴様! 僕のテラに何をしてくれてんだ! 絶対に許さない! はぁぁぁぁー! 行くぞ! 飛翔!」
伸びてくる触手に向かい、刀を二本とも装備して飛翔で突っ込む!
『お前ごと取り込んでやる! グガァァァァァー!』
「やかましい! 悪いのを抜いて許すつもりはもう無い! 完全に倒してやるから覚悟しろバアル!」
高速で一気に三千メートルを降下だ!
「ラ、ライ! 鼻血出てるわ! 耳からも!」
『らい! ちがでてる!』
「大丈夫! 後で治すから! ムルムルはテラを頼む! このまま穴に突っ込むぞ! 触手が邪魔するな! ピラーオブファイアー!」
僕の飛ぶ前に、ピラーオブファイアー、特大の青白い火柱を作り、進行方向の触手を焼き付くしていく――が、途中で火柱が止まる――これは!。
「結界ですか! そんな物僕には通用しない! ぐるぐるー! ほいっと! 砕けろ!」
バリン
『何っ! 何故神力の結界が壊れるのだ! 何故魔力しか使えん人間に崩されなければならんのだ! 小娘の力は奪ったのだぞ! 膨れ上がった神力を何故だ! どうなってる!』
「頭の中にゴチャゴチャうるさい! 見付けた! テラの魔力は返してもらいますよ! ぐるぐるー! ほいっと!」
まだ悪い物が残るバアルの魔力の中に、テラのきれいな魔力を見付け、バアルの悪い物を取り除きながら、バアルの白くなった触手を掴み、そこから魔力を直接抜き出す!
「テラの魔力はこっちに来て! ぐるぐるー!」
『くそっ! 何故だ! 創造神だろうが悪神だろうが存在を消す事はかなわず、封印したと言うのに、何故だ! や、やめろ! やめてくれ!』
「ほいっとー!」
テラにそっと手を添え、バアルから取り込んだテラと綺麗になったバアル魔力をテラに流し込んでいく。
「ライあなた――」
『がんばれらい――』
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉー!」
『やめろ! やめるんだぁぁぁぁぁー!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます