第208話 ダンジョン新発見
「到着です。予想通り階段ですね。途切れてますけど」
上を見ると、階段が天井で止まっています。たぶんそこがダンジョンの入口になるはずだったのですね。
「そうね。あっ、ライ。ダンジョンカードはちゃんと機能してる?」
「えっと」
ダンジョンカードを取り出して見てみると。
「うんうん。大丈夫ですね。じゃあ降りて、一階層を見て見ましょう」
「くくっ、目の前にダンジョンの入口があったにもかかわらず、目にも見えない別のダンジョンを見付けるとはのう。そうじゃ、ダンジョン発見には報酬があったはずじゃ、ライも大金持ちじゃな。私も昔見付けてもらったのじゃ」
「まあ、公開するかどうか、見てからだよね、危険なダンジョンなら知らない方が良いですから、良いダンジョンなら······ぬふふふ。大金持ちですからみんなに何か良いもの探して買っちゃいましょう」
しばらく階段を横並びでお喋りしながら下りていくと、先が明るくなってます。
階段を下りきって、覗くとタイラントカウ、魔物の牛さんがのんびり歩いていました。
「あら、のどかな景色じゃない。魔物もタイラントカウだから、ここの他のダンジョンの魔物次第だけど、良いんじゃない?」
「果物と、もう一つはタイラントカウだからお肉でしょ、もう一つがなんなのか聞いてくれば良かったですね。とりあえずタイラントカウさんは攻撃しなければ襲ってきませんし、何階層か見てから冒険者ギルドに報告しに行きましょう。一階層は薬草も生えてますから、初心者向けで良いですからね」
「そうじゃな。おっ、栗じゃ、栗も採れるぞ! ライよ、少し栗を拾っていかぬか?」
「良いですね、いっぱい拾いましょう」
「ムルムル! イガイガは要らないから中身だけ採取するのよ! さあ、やってしまいなさい!」
ムルムルは僕の肩から、みにょ~んと伸びて地面に降りるとすぐに、みにょにょにょ~んと大きくなったと思ったら、さらに広がり栗の林を飲み込んでしまいました。
「す、凄いのじゃ! ムルムルは普通のスライムじゃろ! なぜにそこまで大きく!」
「凄いんだよ。僕と出会った時はゴブリンに潰されそうになってたんだけど、あれからずっと頑張ってますからね」
「そうよ。なんてったって私の騎獣なんだもの、凄いに決まってるわ」
するとムルムルは、あっという間に木にまだ残ってる栗を綺麗に採取してしまいました。
でも、下に落ちている物は、僕達のために残してくれてあります。
「じゃあ拾おう! テラ、アミー、手袋付けてね、テラはムルムル柄で、アミーはファイアーアント柄で良いよね? 僕はゴブリン村長柄です」
「あら、ムルムル柄も良いわね、王冠が決まってるわよ」
「ぬぬぬ、なんとも愛らしいファイアーアントじゃな、笑うておるわ。よいしょ、では拾ってしまおうぞ!」
栗を拾っていると、仔タイラントカウが栗林は迷い込んで、イガグリを踏んで痛そうにしていましたので、トゲを抜いて回復させたり、親が来て、お乳を分けてもらったりしながら沢山栗を拾った後、二階層に向かいました。
「二階層はジメジメの森ですね、あっ、またありました。キノコが良い感じに採れますね。魔物はポイズンビーですから蜂蜜も期待できますよ」
「そうね、スミレが咲いてるからスミレの蜜で作られてる感じよね」
「おっ、言ってる側からあれじゃ、見事な蜂の巣じゃな」
アミーの指差す方向に、物凄く大きい、そう、たぶん僕が背伸びして、手をいっぱいまで伸ばしたくらいの大きさの蜂の巣が、太い木の枝からぶら下がっていました。
「大きいですね、でもポイズンビーさんがいません? もしかすると」
そ~っと近付き、下から巣を見上げると、やっぱり巣立ちの後ですね、この巣にはもう蜜はありません。
「巣立った後のようじゃな。ならば巣は持ち帰らんか?
「あら、そうなの? 中々良いお土産になりそうじゃない、お母様にどう?」
「ならば私がやってみるかの。ふむ。お母様か、そう言えば挨拶しておらんな。ライよ、近々挨拶いくのであれを持ち帰ってもらえぬか?」
「良いですよ、ウインドカッター! 収納!」
ウインドカッターで、木に引っ付いてるところを切り、落ちかけたところを収納です。
その後は、三つ蜜ありの巣を手に入れ、ポイズンビーも沢山倒して、これも毒消しや、色んな薬の素材になるそうなので、二階層も良い感じでした。
「そろそろ良いんじゃない? 三階層を少し覗いて、報告でも」
「うん。そうしようか、って見えてきましたね、あっ、岩場が目立ちますけど、一階層とよく似た感じですが······。食べ物は無さそうですね。あれはロックバイパーかな? 美味しいって聞く蛇ですね」
「うむ。カチカチじゃが、あの皮を使った盾は丈夫じゃ。防具の素材としては下の中といったところかの。肉は鶏肉にそっくりじゃ」
「ライ、その草引き抜いてみなさい。良いものが採れるわよ」
「これかな? あっ! この形ニンニクです! いっぱいありますよ!」
目に写る範囲のロックバイパーとニンニクを採取して、一旦ダンジョン外へ戻ることにしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます