第177話 教国の終わり
「一番偉い人のところに案内して下さいね。やっぱり教皇が一番偉い人なのかな?」
「そうだ。今は定例の会が行われていたはずだ。贋金の交換分に麻薬の売上や人攫いで海賊に売ったり、武器の横流しもだな、その月のまとめが開かれている」
「武器もですか? ああ、バラクーダさんとタシンサさん達がかな?」
「その通りだ。帝国の、最新武器を教国にほとんどを密輸して、隠れ蓑に海賊にも売っていたな」
「へ~、海賊さん達がメインの売り手じゃなくて、実は売らずに教国へ運んでいたのですね。そして他国に攻めいるか、脅して傘下にしてしまうかでしょうね」
「その通りだ。今ごろバラマンディ侯爵領はヒュドラかファイアーアントに食い破られ、バラクーダ辺境伯とタシンサ男爵が攻め入ってるかもしれんな。くくくっ」
「あっ、その二人は捕まえましたし、ヒュドラもファイアーアントも倒しましたよ」
「なにを馬鹿な事を、まあ良い。そろそろ――」
「ナベリウスさんも倒しましたから助けは来ませんよ? 後は何かありますか?」
「か、会が開かれてる部屋には教国のSランク冒険者が二人もいるのだ! その他にも沢山の兵士がいる! 今は城の裏で五百人の精鋭達が」
僕はSランクのギルドカードを見せて上げました。まあ、お城の裏の方はぐるぐるしちゃってますから。まあ、兵士さんって分かったのでお屋敷に······カヤッツ、頑張ってね。転移!
「S······ランクだと······」
「はい。ほらほら早く教皇さんのいるところに案内をお願いしますね。ところで何階にいるのですか?」
「い、一階、正面の大扉を入ったところにいるはずだ」
なるほど、でも、その人達を見てから上の階にいる人を送る事にしましょう······今送った人達と同じくらいの人数がいますし。
「では早く案内をお願いしますね」
五十メートルほど進んだところが広間になっていて、そこにも沢山の方が倒れていますので、テラにも確認してもらいながらお屋敷に。綺麗にいなくなりましたので。
「では開けて下さい」
扉を開くと真っ赤な絨毯がしかれていて、広い部屋の真ん中には円卓があって、豪華な椅子が並べられていました。そして円卓の椅子に座っていた人達も、全員が気絶してますね。
「では教皇さんは?」
「誰なんだこいつは! そこは教皇様の席! そのようなブクブク太ったヤツなど知らんぞ! 見知っているのはSランクの二人のみだと······どういう事なんだ······」
「ライ。そのブクブクが教皇ね。偽装の魔道具よ」
「あはは······また痩せてるように見せていたのですね。そうだ、人数はこれで数は合いますか?」
「あ、ああ、席の分しかいない。教皇が一名と、枢機卿が十二名、Sランク冒険者が二名、人数はこれだけだが······」
「その通りね、じゃあこの人達に魔道具嵌めて、悪さの資料を集めてもらっておいて、その間にこの人と地下に行っちゃいましょう」
「うん。じゃあ······本当にカヤッツ頑張ってね! 転移!」
円卓と、案内してくれたおじさん以外を転移させて、教皇達に奴隷の魔道具を嵌めて起こしていきました。
そして資料を集めるように命令して、僕は地下で捕まっている方のところに案内してもらいます。
「階段下からですね、じゃあ行っちゃいましょうか」
おじさんに先導させて、階段を下りるとそこには扉を守る兵士さんと、ナベリウスさんが小さくなったような、それでいて魔狼の倍くらい大きな魔物がいました。
「ん? なんだお前は! え? 団長? なぜ裸なのですか? それに子供を連れてなぜこちらに?」
「へえ、団長さんだったのですか、それならお城の事も詳しいので助かりました。あのですねここにはその中の方々を解放するために来たのですよ」
「なにを馬鹿な事を! この中の者達は教皇様に逆らった罪人だぞ! 解放などあり得ん!」
「その通りだ! お前達! あのガキを食い殺せ!」
すると大きな魔狼さんは唸りを上げ、鼻にシワを作り威嚇してきました。
「ライ。その子達はナベリウスの分身だったものね、元々はただの魔狼よ、まあ、大きくなった分強くはなっているけど」
「そうなのですね、でも」
僕は兵士も魔狼も合わせてぐるぐる。その場に崩れ落ち、気絶させました。
もちろん魔狼はやっつけちゃいます。
「残りは教皇達とこの団長と中に三人ね。もうこの人の案内も要らないわよ、そろそろ王様も門をくぐりそうだし急ぎましょう」
「うん。じゃあ団長さんは向こうに行ってそこでしっかり働いて下さいね、転移!」
パッ
扉前には僕だけが残り。
戸を開け、声が聞こえていたのか三人の兵士が戸の近くまで来ていてくれました。
テラの『その三人で最後よ! やっちゃいなさい!』の言葉通り、ぐるぐるで気絶させ、転移で送ると、貴族街の内側で、悪者は資料を集めている十五人だけになりました。
地下にいた百人ほどの人達も、本当に悪さをして投獄されている人達を除いて奴隷の魔道具を外し、とりあえずあの円卓の部屋に行ってもらいました。
「じゃあ、これで終わりね。後はあの王様に任せておけば良いんじゃない?」
「うん。ところでここは何をしてたのかな?」
「麻薬の精製ね。それに気が付いてるでしょ? さらに地下の」
「「ダンジョン」」
「くふふ。行きたいんでしょ?」
「くふふ。もちろん」
僕はその場にあった全てを収納して、お城の地下の、またその下にあるダンジョンを攻略するため、魔法の鍵で閉ざされている奥の扉を開け、階段を下りて行きました。
みんなのお土産が見付かると良いのですが······。
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