第168話 聖母
「うんうん、スッキリしたわね、さあ、おばさん、その偉い人のところに案内してちょうだい」
「へ? あ、ああ、とんでもないね、こんなの見た事も聞いた事もなかったよ、凄いねあんた。こりゃ教国も終わりかもね。さあこっちだよ、ついてきな」
そう言って、大きな家があった方向に進んで。
「あん? なんだよ、また女のところにシケ込んでたのかい。ったく、この女に覆い被さってるヤツがこの街の責任者だ」
「ありがとうございます。腕輪を付けてっと、はい起きて下さいよ~」
「あっ、ライ何か被せておきなさい! あなたにはまだ早いわ!」
え? 良く分かりませんが、そうですね、下の女の人も裸みたいですから、可哀相ですね、ほいっと!
うんうん。上手く男の人との間に上手く出せました。
「ん? なんだ寝てたかってお前も寝てるじゃねえか、ほれほれ、おほ~気持ちいいぞ! あ? ······なんで外なんだ? ア、アマンダ、なに見てやがる! お前は扉前でじっとしとけと命令したはずだ! ガキどもに情けなんかかけやがるから! ってまたガキを連れ出しやがったのか!」
「お前も腰振るの止めねえか! ガキが見てんだぞ! さっさと上から退きやがれ!」
「ほ、ほらライこっち向いててね、ちゅってしてあげるから、ついでに男にもシーツ被せておきなさい、ちゅ。ね、ほらほらもう一回、ちゅ、ちゅ」
良く分かりませんが、テラの言う通りテラの方を向いて、ちゅってしてもらいながら、男にシーツを被せました。
「くふふ。テラ、好きだよ。ちゅ」
「わ、私もよ! って、早く命令しなさい!」
「あっ、そうだね」
そして僕は、おばさんにしたように、命令をして、人攫い達の情報を、紙を出して書いてもらうのと、テラがうるさく言うのでパンツだけ履かせておきました。もちろん下にいたお姉さんには上着も着せましたよ。
「クソっ、なんで俺様がこんなことをしなきゃなんねー! 家にはその資料があったってのによ!」
え? そうなのですね。じゃあ、ほいっと!
「はい、家を出したので、その資料をここに出して来てくれますか? 後、隠したり、悪さはしないでくださいね」
「なっ! どっから出しやがった! クソっ体が勝手に!」
「かははは! おらおら働け! 私もだがこの子がいれば人攫いの組織どころか教国も、先は無いだろうさ、くははは!」
「はい。もちろん悪者はやっつけちゃう予定ですよ。でも、おばさんは人攫いでも、何か違いそうですが、どうしてでしょうね」
「そうね、称号もあるにはあるんだけど、孤児院長が引っ掛かるのよね」
「ん? 私かい? 私がやってきた事は路上生活してる孤児を攫って来て、孤児院を開いて教国から金をせびり取っていたからね、たいした飯も食わせらんねえのに見かけたら攫っていたさ、それに目を付けたんだろうね、この国境の街と近隣の村や街から路上生活してる子供が次々と消えちまうんだからね、かははは!」
あれ? この人良い人じゃない?
(そ、そうね、良く見ると、聖母の称号があるわ······ライ、人攫いではあるけれど、それって人助けよ、奴隷の腕輪を外してあげなきゃ)
「あの、おばさんは良い人だったのですね、ごめんなさい」
「私も謝るわ。ごめんなさい。おばさんのやってる事は慈善よ、言い方が悪いだけで、やってる事は子供達の保護だもん」
「ん? だが、満足に飯も食わせられねえのに集めていたってだけだぞ? ここでもガキどもに飯やってたら、あの扉を守ってるだけにしろって言われるしよ。けど心配じゃねえか。子供は笑ってるのが一番だろ? ここにも、私の代わりに子供を攫って来てくれるからいるようなもんだしな。やってる事が麻薬だから犯罪なのはしかたねえけどよ」
僕は、素早く奴隷の腕輪を外しました。
「いえ。凄く良い事だと思います。あの、もし良ければ、サーバルに来ませんか?」
「あん? どこだそれ? 子供達が飯食えんならどこでも良いぞ? ってか外して良いのかそれ、人攫いだぞ、子供専門の」
「はい。どうしても、冒険者が多いので、両親がいない子も沢山いますからね、僕はこう見えてもお金持ちなんで、ご飯買うお金は僕が出しますから」
「あなた算術のスキルもあるわね、それを子供に教えてあげれば良いじゃない。大きくなった時に役に立つわよ」
おばさんはテラの言葉の後、考えるでもなく、即答で。
「そりゃ良いな! かははは! よしよし。私ゃこう見えてもそれだけは育ての親にキツく教えられて、自慢できる一つだからね、任せときな! 商人にだって負けない子供達にしてやるさ、くははは!」
豪快に笑うおばさんを横目に、責任者のおじさんは、家には入り、本や紙の束を持ってきては床に置いて、また家に戻るを繰り返し。その間に僕は気絶している人攫い達をお屋敷に送って、おじさんが持ってきた資料の地図と人攫い達のリストを見ています。
「はぁ、はぁ、これで最後だちくしょう。だがおかしいな? ここまでやられてるってのに、あいつが来ないなんて······」
「あいつって、犬の邪神ナベリウスの事? それならこのライがやっつけちゃったわよ」
「へ? Sランクが束になっても殺せねえヤツだぞ?」
「はい。しっかりやっつけましたよ。復活できないようにね」
その後、おじさんは、さらに絶望したような顔になりましたので、結構助けに来ると期待していたのですね。とりあえずおじさんには資料を持ってお屋敷に行ってもらい、『カヤッツって方がいますので、その方に資料を渡し、まとめてもらって下さい』とお願いして、僕はおばさんと、もう一つ下の地下室に向かいました。
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