第139話 帝国にもいましたね
「全員気絶させちゃいましたが、もしかして捕まってる方もいたりはしなかったかな?」
「そうね、捕まえるとか言ってたし、ちょっと待ってね、
五台あった馬車の一番後ろに急ぎ、鍵のかかっている戸を開けると大人の男性二人がロープで壁に繋がれていたのと、奥に扉がありました。
「冒険者かな、また人攫いみたいだね。って言うことは奥はパーティーメンバーかな?」
「別々みたいよ。パーティー名が違うし、そもそもパーティー名も無い人がいるもの、ほらほらそれもだけど起こしてあげて、繋がれてるロープを早く切るのよ」
「うん。ぐるぐるで~、ほいっと!」
「ぐ? 寝てたか?」
無くなっていた魔力を補充するとすぐに一人の方が目を覚ましました。
「助けに来ましたよ。今ロープを切りますからね」
その声で起きた方が僕に気付いたようです。
「君は! 危ないぞ、この馬車は最近噂の人攫いだ、見付かれば君も捕まるぞ!」
と、小声で言ってくれました。良い人そうだし良かったです。
「大丈夫ですよ。人攫い達はみんな気絶させちゃいましたから安心して下さい。えと、その時お兄さん達も一緒に気絶させてしまいましたからそこは、ごめんなさい。すぐにロープを切りますね」
「ほ、本当か! はぁぁ、助かったのか、だがお嬢様はどうなった、護衛依頼の最中にこんな事になるとは」
「どうでしょうか、扉の向こうにも何人かいるみたいですから。そこにいなければちょっと分かりません。よいしょっと、はい切れましたから、そちらの方を解放してくれますか? その方も捕まっている方ですよね?」
「そうだ、数パーティーで護衛をしていた内の一人だ」
「ではこのナイフをお貸ししますからお願いしますね、僕は奥を助けてきます」
そう言ってナイフを渡し、すぐ横の鍵をぐるぐるして開け中に入りました。
そこは物凄く狭い場所に四人の女の人が暑かったからなのかパンツだけで気絶して寝転がっていました。
「ぐるぐる~、ほいっと!」
「ライ! とりあえず扉を閉めてあげなさい! 女の人は――」
「そうでした!」
バタンと扉を閉めるとその音で二人が目を覚ましました。
「ふう。隣のお兄さん達に見られちゃ可哀想なんだよね?」
「そうよ、ほら早く服を渡してあげなさい」
「ん? 寝ていたか、誰かまた連れてこられたのか? 声からすると幼い男の子と女の子ようだが」
「はい。でも捕まってはいませんよ。お姉さん達を助けに来ました。えっと皆さんパンツだけですから脱いである服を渡しますから着てもらえますか? 隣には男の方がいますので」
「何! 助けが来たのか! ん? その言い方だと私の事が見えているようだが?」
僕は隅に投げ捨てられていた奴隷用の服を手に取り、部屋の中と手に取った服、それから裸ん坊のお姉さん達をムルムルに綺麗にしてもらい、起きている二人に服を渡しました。
「えっと、見えてますが僕は気にしませんよ。ほらほら早く着て下さいね、僕はまだ寝てる方を起こしますから」
「ん? そ、それじゃあ私が裸なのを見ていると言うのか! な、な、な······」
(ライ、このお姉さん帝国の貴族、公爵家当主よ、若いのに中々の物ね、スキルも才能も良いものを持っているわ。ライが領主になった時の家令にしたいくらいだわ)
(おおー、そうなのですね、でも当主の方にはお願いできませんから残念です)
「起きてくださーい、助けに来ましたよー」
「んんー、ん? はれ? 誰かいるの?」
「はい。助けに来ましたよ。はい服を渡しますから着て下さいね、はいそっちのお姉さんも」
「あ、ありがとう? って男の子?」
「はい。たまたまこの集団に出会って、僕を捕まえようとして来ましたからやっつけちゃいました。冒険者のライと言います。はい、お姉さんも服着て下さいね、隣にはお兄さん達がいますから、まだ良く分かりませんが見られると駄目なのですよね?」
「う、うん。そうね、裸を見せるのは恋人か夫婦くらいの物だからね、って男の子?」
「はい。十歳ですから家を出て冒険者をしています。あれ、暗いから着る事ができないのか、ごめんなさい、今明るくしますね、光さんお願いします、ほいっと!」
「あっ、待って!」
待てと言われても、真っ暗だった部屋の中は明るくなり、まだ皆さんは裸のままです。
「くっ、これも仕方がないことなのか、うむ、まずは皆も服を着て外に出てから考えようではないか、見ればまだ子供、お主達はまだ大丈夫だ」
「そ、そうですね、公爵様」
「はい。ほらほらお兄さん達が心配して戸を開けちゃうかもだから早く着ちゃって下さいね」
そうしてやっと服を着だしたお姉さん達。途中でお兄さん達が戸を叩いて来ましたが、僕が返事をして、待っていてもらいました。
でも、お嬢様っていないよね、もしかして、子供だけ別々に連れていかれたのかもしれません。探した方が良さそうですね。
そして簡単な奴隷の服ですから、お兄さん達の声を聞いてからは一瞬で着てしまいました。
戸を開け隣に合流すると。
「お嬢様! ご無事でしたか!」
あれ? お嬢様って誰でしょうか······。
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