第118話 人攫い騒動が終わるそうです
ラビリンス王国から家に戻った僕は、何だかんだで夜も遅くなっていましたが、一応父さんの書斎を覗きに行きました。
ですがやはりいなかったので部屋に帰り、明日の朝に報告する事にしました。部屋に帰る途中でマリーアに会いましたので、明日の朝起こしてもらうようにお願いして寝る事にします。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
コンコンコン
『入りますね』
カチャ
「うふふ。久しぶりに起こしに来ましたが、これはまたぐちゃぐちゃですね。リント様はお腹の上でムルムルちゃんとテラ様は胸の上。プシュケ様はちょっと危ないところに顔を乗せてますね♪ はい。ライ様、テラ様、プシュケ様、リント様、
朝ですよ。朝食の準備が整いましたよ」
ん?
「ふぁぁ。あっ、マリーアおはようございます」
「なんにゃ? 朝かにゃ? プシュケ、リントの尻尾を枕にするにゃよ」
「あはは。プシュケ起きて朝ごはんだよ」
僕はムルムルと珍しく僕の胸に直接寝ていたテラをそっと持ち上げ、リントは自分で降りてプシュケをピシピシ叩いています。
体をお越しプシュケの肩をトントンと叩いて起こしましょう。
「ふぬゅ? あふぅあぁ。あれ? 私のヒュドラステーキは?」
「やっと起きたにゃね。朝にゃ。リントの尻尾が涎まみれにゃよ。ムルムル綺麗にして欲しいにゃ」
「ほへ? あ、朝ですか。リントごめんなさい。ヒュドラステーキが目の前にあったのに、全然手が届かなくてね。意地悪なのですよ」
「うふふ。皆さん朝ですよ。朝食の準備が整いましたのでお迎えに上がりました。お早く着替えて、美味しいマシューのごはんをいただきましょうね」
「
「え? 朝ごはん! はい起きます!」
プシュケもガバッと起き上がり、寝間着からいつもの服装に着替えて、マリーアの案内で、食堂に向かいます。
そこにはもう父さんに母さんが待っていました。
「おはようございます。お待たせしました」
「お、おはようございます」
「ああ。おはよう。ほら立ってないで座りなさい」
僕達が座るとメイドさん達が朝ごはんを並べてくれました。
静かな時間が過ぎ、朝ごはんが終わりましたし父さんに報告しましょう。
「父さん。あのですね、ラビリンス王国の伯爵位をいただく事になりました。それからこれはテラとムルムルそれからプシュケの学院入学の費用と残りはサーバル男爵領のために使ってね」
そう言って、僕から二枚、テラとムルムルも二枚ずつの黒貨六枚を取り出し、父さんの横まで行って手渡しました。
これは寝る前に決めていた事です。ムルムルは半分テラに『ム、ムルムルも私の騎獣何ですから当然よ!』と身体に引っ付けていた黒貨を伸ばした突起で、テラの黒貨の上に足しました。
また今度違うダンジョンでもらおうねと約束しました。
「ライ、テラ、ムルムルも良いのか? これだけでサーバル男爵領の数年分の開拓費用になるんだぞ? 凄く助かるが」
「お、お父様の領地のためだもの、そのくらい安いくらいよ! 迷惑もかけてるし······」
僕も頷き、ムルムルも突起を伸ばしてゆらゆらさせました。
「ああ。良いのだな。ありがとう我が領地のために使わせてもらうよ」
「それから父さんプ――」
「プシュケの事ならティと共にブラフマー公爵領の学院へ編入と入学が決まっているからな。しかし、我が息子ながらやることが無茶苦茶だな」
「あら。あなたも無茶をして私の事を連れ回していましたわよ?」
「あ、あの時はだな、ち、ちょっと調子に乗っててだな――」
くふふ。父さんと母さんはいつも仲が良いですね。
「そ、そうだライ。人攫いの件で教会の国外排除と教国への損害賠償の請求がもう始まっている。だからライには帝国へ
「え? 東の森ですか? 別に領地は要らないのですがまあ海沿いですから、また泳ぎには行きたいと思ってますけど」
あそこを切り開くのですか、この国の四分の一は広さがありそうですよね、そうだ、海沿いにみんなで遊べるところを作ったりすれば楽しそうですね♪ やっちゃいましょうか!
「ライ。ほどほどにね。まあ海沿いの一部と、あの島なんかは別荘として開拓しても良いわね」
うんうん。絶対楽しいに決まってますよね。
「ん? なんだやる気なのか? なら王様にもそう伝えておくが、まあ好きに旅をして、沢山学んでからで良い。分からないことがあれば聞くと良い。まあ私もそんなに詳しい方ではないがな」
「はい。その時はいっぱい聞きますね」
「あっ! ライまた来たわ!」
ん? 何が来たの······っ!
「「
「ライ池の近くへ急げ! あそこならまだまだ広さがある!」
「分かりました! 転移!」
パッ
「今度はまだ余裕があるわ! 日当たりの良い場所で、水はけが良いところよ! 神眼! ライここからあっちに五十メートル!」
「行きますよ! シッ!」
ダン! とムルムルとテラを胸に抱え、一気に加速します。
ザザザー! 五十メートル移動したところで停止、素早くかが見込み地面にテラをムルムルごと下ろしました。
「よいしょ。うんうん。良い感じね。それからライ。あなたも残りのブドウを出すんでしょ?」
「あっ、知ってたの? 魔力をブドウに流し込んでたの」
内緒にして、当日にビックリさせようと思っていたのにバレてたんだね。
「初めは何してるのかなって思ったけど、ライは私の力の流れも見えてるのね。それを真似してたら分かるわよ」
「くふふ。じゃあ僕も植えるね♪ どれくらい離せば良いかな?」
「三メートルにしましょう。それくらい離れていれば、······やっぱり倍の六メートル間隔で。大きくなるかも知れないから······」
「じゃあテラのブドウを中心にして植えていくね! よ~いドン!」
テラのいる場所を中心にしてぐるぐる渦巻き状に少し穴を空け、そこにコロンっと落とし入れてたぶん百粒ほど。何個かもぎ取る時に失敗しちゃって、僕のお口に入りましたが綺麗に植えれたと思います。
「テラ終わりましたよ」
「うん。もう待ちきれなくなってきたから行くわよ! 元気にそだってね!」
僕は、穴にブドウを放り込んだテラを素早く抱えて渦巻きの外に転移。
テラのブドウが育ち始めたのが見えたので、僕も貯めておいた魔力をブドウ達に注ぎ込んでいきますよ!
「やっぱり普通よりだいぶ大きいわ!」
ブドウはどんどん大きくなり、背はたかくありませんが立派な幹に成長し、僕の植えた物も良い感じに育って、さらには実が実り始め、僕たちの目の前で立派なブドウ畑が完成しました。
「成功だねテラ」
「うんうん。ライのも立派よ。で、このどさくさに紛れて旅に出ようって考えてるんでしょ?」
「あはは。流石テラですね。リントはプシュケといつも一緒だったから、一緒の方が良いだろうね。テラ、ムルムル。また三人の旅に出掛けようか」
「ええ。行くわよムルムル! ライ。肩に乗せて」
抱えていたムルムルによじ登ったテラをムルムルと一緒に肩に乗せ。
「そ、そうね。寂しくないように、おまじないをしてあげるわ。こっち向いて」
肩に乗るテラの方を向くと。
「ちゅ。ほ、ほら寂しくないでしょ? 行くわよ!」
「うん! 転移!」
パッ
僕達は帝国へ向けて旅立ちました。
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