第109話 Sランクになりました

「待たせたな。君達のランクアップは決まりだ。おめでとう。すぐにカードを用意するから少しだけ待ってくれ」


「はい。大丈夫です。それはすぐにできるのですか?」


「ああ。もうサブマスが準備には入ってる。······ところで捕まえた奴らはどこにいるんだ?」


 やりました♪ くふふ。プシュケにリントも笑顔で踊り出しそうです。リントはカウンターの上で既に立ち上がってもぞもぞしてますから時間の問題かも知れませんね。


 おっと、話の途中ですね。


「捕まえた、人攫いと教会の方達は、サーバル男爵領で開拓をして貰おうかと。そう思って連れていきましたが駄目でしたか?」


「ん? なぜ隣国の? サーバル男爵様と言えば剣聖様だぞ? 面識でもあるのか、私の少し後に冒険者になったはずなのに、あっという間に抜かれたんだぞ? それに連れていった?」


 あはは。ここでも父さんは有名人ですね~。後で父さんに教えて上げましょう。


「はい。父なので、面識と言うよりは親子ですね。それに人攫いについても国を上げて調べているはずですよ。それから僕は三男ですからこれまで通りの対応でお願いしますね。それから僕は転移が使えますから」


「なんと剣聖様の······。う、うむ。十歳で家を出たということだか。分かった。長男次男以外は冒険者の道に進む者が多いからな。······そうか、これは早急にラビリンス王国も国王が動いて貰わないとな。よし、その事も合わせて報せねばならんな。そうか! 剣聖の奥様は賢者様か。それならばその力は納得がいく」


「ギルドマスター。カードが完成しました。私はその事を王都支部に連絡を入れておきます」


「うむ。ダンジョン街の人攫いについても教会が絡んでいた事を必ず伝えよ。それを捕まえたのは、パーティーぐるぐる。そのメンバーが、Sランクに昇格した事は全冒険者ギルドにも速報だ」


 そして、ギルドマスターさんはギルドカードを受け取り、そのカードを見て止まりました。


「あの? 大丈夫ですか?」


「サブマスこれは本当か! 属性龍を倒してるとは本当の事か!」


 カウンターの上の魔道具を操作しようとしていたサブマスさんを呼びそんな事を。


 属性龍ですか。聞いたことありませんが、最後のファイアードラゴンとかの事でしょうか? それなら見せることもできますよ。他のドラゴンさんはやっつけた後消えちゃいましたから残念です。僕達も六種類全部倒せましたので嬉しいですが、やっぱり実物がないとですよね。


「はい。火、水、風、土、光、闇の六種類の討伐が成されていました。他にもベヒモスも複数体、······百を超える討伐がダンジョンカードに記されていましたから間違いはないですね」


「な、なんだと、それを単独パーティーで倒したと言うのか? かの『風使い』に迫る討伐成果ではないか」


「はい。ですからドラゴンスレイヤーの刻印がしてあります」


 え? ドラゴンスレイヤー! う、う、うっひょー!


「ふ、ふははははは! ライ! なんとも驚かせてもらったぞ! 聞いてくれ! なんとドラゴンスレイヤーのSランクが誕生したぞ! ライ、テラ、プシュケ、リント。パーティーぐるぐるだ! おめでとう!」


 すると、先ほどまで教会の方達を捕まえに行くため騒いでいて、ギルドマスターが笑い出した時に静まりかえった冒険者の皆さんが一斉に――!


「「「おめでとう!」」」


 それはもう耳がキーンってなるくらいの大きな声で、ビリビリって冒険者ギルドが震えたんじゃないかと思うくらいでした。


「スゲーぞ! ガキんちょのクセにやるじゃねえか!」


「おめでとう! 驚いた顔が可愛い!」


「あははは。おめでとう! 今度飯でもおごれよ!」


「クッソー! こんなガキに先を越されるとはな、悔しいが、おめでとう! 俺もすぐに追い付くからな!」


 等々などなど周りから沢山の声を掛けていただいてます。


 中には、お姉さん冒険者の方は、プシュケもまとめて、ぎゅって抱き締められて、離れる時にクッキーが入った袋をくれたりもしました。


「よし! お祝いは教会の奴らを捕まえてからだ! 野郎ども! 行ってこい!」


 ギルドマスターの声に呼応して、冒険者さん達はギルドを出て行きます。


「ライ。良かったわね、こんなに騒ぎになるとは思わなかったけど、悪くない気分ね」


「うん。よし、このまま楽しい気分のまま、一度お屋敷に戻りましょう」


「ん? 帰るのか? ではギルドカードだ。まずはライ」


「はい。くふふふ。ピカピカですよ!」


 受け取ったギルドカードには。


 ライ

 従魔 ムルムル

 パーティー ぐるぐる

 ドラゴンスレイヤーヘキサグラム

 ヒュドラ ファイアーアント


 そして――――。


 Sの文字が刻まれた白銀で虹色に輝くカードでした。


 次にテラがもらい、プシュケ、リント。


 みんな、カードを手にした事で、実感がわいてきました。


「それから報酬は、王都に行ってもらわねばならんが、大丈夫か? 叙爵もあり得るんだが、ライ達は見た感じ、貴族など欲していないようだしな」


「そうですね。まだまだ冒険の旅を続けたいと思ってますから、この国にとどまる事はありませんね」


「その事も連絡は入れておこう明日の朝にはギルドに顔を出してくれるか? 王都からの迎えが来るはずだからな」


「分かりました。よし、みんな、一度戻ろう。ではギルドマスターさんサブマスさんそれから皆さんもまた明日です。転移!」


 パッ


 そして、僕達は転移で僕の部屋に戻ったのですが······。




 

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