第108話 ダンジョン攻略
「ランクアップ試験の事でお聞きしたくて」
「ん? ここ数日見当たらなかったから、ダンジョンに籠っているものだと思っていたぞ。それでどうしたのだ?」
冒険者ギルドに入り、目の前にちょうどギルドマスターさんがいましたので声をかけました。
「ダンジョンの攻略をしてきたので確認してもらえませんか?」
「は? いや、先入観はいかんな。よし、付いてきてくれ、カウンターにダンジョンカードを解析できる魔道具があるからな。それで全てが分かる。ダンジョンの位置、到達階層、倒した魔物の名前にその数だ」
「おおー。それは凄い魔道具ですね、はい。では並びに行きます。プシュケ、リント、並びに行こう」
「ぬふふふ。ここの皆さんの驚く顔が目に浮かびそうですよ」
「にゃふふふ。きっと『えぇぇぇぇー!』っていうにゃよ」
「ライ、これが終ったらだからね」
「うん。もう怒られる覚悟は決めたよ」
そんな話をしながら並んでいると。
「しかしあの教会跡のダンジョンは鍛冶士にすりゃ大喜びだろうな」
「そりゃあ何てったって浅い階層で鉄はもちろん金、銀、銅、それに宝石まで出るとはな」
「そんな事より、あんなダンジョンを隠していたなんてな。それに消えちまうしどうなってるのかさっぱりだぜ」
「でも、あの新ダンジョンを見つけたパーティー羨ましいよな。王様から直接黒貨を受け取るため明日には迎えが来て出発らしいしな。それによ、叙爵が······」
そんな話が、聞こえてきました。
うんうん。少しでも役に立つダンジョンは僕達冒険者にも嬉しいですよね、何てったって採掘できる階層は魔物もそこまで強くありませんでしたから。それにもう教会の方がいないので、ダンジョンの中に住むことは無いでしょうし。
(その事で少し気になったのだけど、今攫われてこちらに向かってる人達はいないのかしら? 連れてこられて、教会が無くなったのならどこへ向かうと思う?)
そ、そうだよね、その事全然気付きませんでした。······これは困りましたね。
(やっぱり早く帰って知らせるのと、資料を渡さないとまずい気がするわ。ほら前が空いたから行くわよ)
カウンターへ進むとサブマスさんが見てくれるようです。
「よろしくお願いします」
ダンジョンカードを出してカウンターに乗せました。後はいつものように僕とプシュケは背伸びをして、顎をカウンターに乗せて待機です。
早く背も高くなりたいですね。
「お預かりしま······え?」
「ん? どうした早く魔道具に通さないか」
「は、はい! す、すぐに!」
サブマスさんが僕達のダンジョンカードを見て、何やら驚いたようですが、ギルドマスターに急かされ、魔道具に通すと天井を見上げました。
僕達もつられて見ると、そこにはこの街の地図が画かれていて、その場所の位置が光って明滅していました。
ふむふむ。ああして場所が分かるのですね。
「ギルドマスター······新ダンジョンの発見パーティーはぐるぐるです。それに······」
「何! あの教会が無くなった今日の朝に見つかったのだぞ? それがなぜだ!」
「パーティーぐるぐるが、ダンジョンに入ったのは、無くなるより数日前と出ています。さらに、ダンジョンは百階層、完全攻略と出ています。新ダンジョン発見及び、ダンジョン攻略を成し遂げています」
「何を言ってる! そんな事が! 見せてみろ!」
新ダンジョンってあんなに沢山の方が入っていましたし、教会の方も、人攫い方も入っていましたから新ダンジョンではないと思うのですが?
ギルドマスターはカウンターの内側に回り込んで、サブマスさんの座る場所へ。
そして魔道具を覗き込んでいます。
「ぬぬ――! た、確かに発見は試験を言い渡した次の日、階層は百階層、そして完全攻略······誰か! 今朝のパーティーの居所は知らないか! 大至急来てもらってくれ! 発見したパーティーは別パーティーの方が数日早かった!」
え? それが僕達? 違いますよね? きちんと教えておかないと、嘘を付いたとか言われるかもですね。
「あの、ギルドマスターさん。ダンジョンを見つけたのは僕じゃないですよ。僕達が入った時には教会の人達と、最近お騒がせの人攫いの人達と、攫われて、奴隷として働かされていた人達が先に中にいましたから、たぶん教会の方が発見者だと思いますよ」
「ん? ちょっと待て、先に教会の連中が中にいた?」
「はい」
「国中いや、周辺諸国でも被害の出ている人攫いがそのダンジョンに?」
「はい。人攫いの犠牲者の方もいましたよ。今は保護しましたし、教会の人達も、人攫いもそこにいた者は捕まえましたし」
ギルドマスターもサズマサさんも、ギルドマスターさんの声で、こちらに聞き耳を立てていた冒険者さん達も、こちらを見ています。
「人攫いと教会は共犯者に聞こえるのだが?」
「そうですね、ダンジョンの採掘要員として人攫いからお金で買い取りしていましたから。その冒険者さん達の武器なんかも買い取っていましたね。それから麻薬になるお花も育てて、それの作業は子供でしたね。凄く沢山作っていましたよ」
ギルドマスターさんは、僕の話を聞きながら徐々に顔を赤くして、怒りの形相に変わっていきました。いえ、ギルドマスターさんだけではありません、僕の話を物音一つさせずに聞いていた冒険者の皆さんもです。
「何て事だ! ここにいる全員に緊急依頼だ!」
「ギルドマスター! 言わんでも分かる! てめえも冒険者ギルドの全部に連絡入れやがれ! 野郎共! この町だけではないぞ! 全ての街道をくまなく回れ!」
「良いか! この街の教会は小さい所がまだ何ヵ所かある、そこの奴らも捕縛してこい! 一人銀貨二枚だ! 逃げる前にさっさと行きやがれ!」
「「
なんだか大事になってきました······。
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