第96話 帝国の影
「あの、もしかして、お兄さん達が倒すところだったのですか? それならごめんなさい。お兄さん達がいたのは知っていましたが、あまりにも数が違いすぎたので、気にしていませんでした」
気配で、三人の人がいるのは分かっていましたが、魔力もそんなに多くない方でしたので、気にせずやってしまったのが僕の失敗ですね。
「ん? なんだ素直じゃねえか。俺達はオークを追っていたんだがファイアーアントとおっ始めやがったからな、オークは諦めて、オークにやられたファイアーアントの素材に切り替え戦闘が終わるのを待ってたんだが、この状態だ、何があったか分からねえが見付けたのは俺達が先だこの魔物達は俺達に権利がある」
少し呆気に取られていましたが、僕達が自分達に逆らわないと分かったのか笑顔に変わりました。
「はい。その通りだと思います。では僕達はまだ先に用事がありますので失礼しますね」
「ライ、アントはすぐに回復するから放っておくのはおすすめしないわよ。たぶんぐるぐるを止めちゃうと五分ほどで起きちゃうわね」
「そうなのですね、うんうん本当だ、今も少しずつ魔力が抜けていますから、回復は早そうです」
「ねえライ、やっつけるところまでは手伝ってあげた方が良いんじゃないかな?」
うん。その通りだと思います。
「お兄さん達、ファイアーアントはお兄さん達の物で良いので倒すのはお手伝いしても良いですか?」
「構わんが、俺達はこれを全部収納できる魔法の革袋を持っているからおこぼれはまず出ないが良いのか?」
「はい。大丈夫です。ではアントの首を落とせば良いですよね?」
「ああ。だがコイツらは固いから安物の剣では刃こぼれするから気を付けろよ」
「はい。じゃあプシュケもリントもやっちゃいましょう! ウインドカッター!」
「行っちゃいますよー! ウインドカッター!」
「結局やるんにゃね。まあ良いけどにゃ~。ウインドカッターにゃ!」
シュパパパッと連続で魔法を飛ばす僕達を見て、唖然として僕達を見るだけになっているお兄さん達。
百匹ほどでしたから一分ほどで全ての首を落とし、動かないお兄さん達の変わりに、オークもウインドニードルを頭に打ち込みました。
「よし。ではお兄さん達、僕達は行きますね」
そして木の枝に飛び上がり、ファイアーアントの巣を目指しました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「おい。······子供のSランクっていたかな? あの詠唱もしない魔法なんて見たことも聞いた事もないぞ······」
「いや、······俺もそんなもん聞いた事もねえ。だがSランクで間違いないねえだろ? 人ひとりを担いで木の枝まで飛び上がれるか? 俺にゃあ助走をつけても無理だぞ······」
「ええ。間違いは無いでしょうね、あれだけ魔法を連射して、一つも外していないと思いますし、今の身のこなしも魔力量も化け物レベルですね······」
「「
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
それからは、やっぱりファイアーアントが仲間を呼んだみたいで、沢山のアント達が列をなしてさっきの場所に向かいながら気絶して、アントの道ができていました。
「これだけの数が押し寄せていたらあの人達は危なかったですね、間に合って良かったです。じゃあ倒して回収しながら進みますよこの先にも人がいるみたいですし」
「そのようね。
「あはは。仕方ないですね、新たな情報もあるかもしれませんから、僕が恥ずかしいからとか関係ありませんしね。アント達も気絶し始めましたから、ぐるぐるしちゃいましょう♪」
先ほどまでは、避けてぐるぐるしていましたが、その人達の周りのアントも後少しで気絶しますからね踏まれたりはしないでしょう。
そうして進むこと一時間くらいですが、倒して収納を繰り返しながら進み、帝国の方達が倒れている場所に到着しました。
「おほほー。これは本当に見えませんね♪ ぬふふふ。これで今度フィーアとティに悪戯して驚かせましょうかね~」
「嫌われちゃうかもしれないからやめておきなさい。ほらさっさと魔道具を収納してお屋敷に連れていくわよ」
ちぇっ、喜んでくれると思うんだけどな。
よし。収納!
魔道具を全部収納して、帝国の方達を見ると、こんな森の奥には似つかわしくない貴族服を着たおじさんが一人と、残りの五人は兵士さんですね。じゃあ今気絶しているアントを倒してお屋敷に連れていきましょう。
辺りの気絶しているアントを三十分ほどかけて倒してしまい、今回はお屋敷の門前に転移して、六人を引き渡して、さっと元の森に戻りました。
「まあ良いけど、さっさと残りもやっつけちゃいましょう! たぶん女王蟻はとんでもなく大きいからお義父さんにあげれば喜ぶんじゃない? それでみんなの防具をお揃いで作れるでしょうしね」
「そっか! うんうんテラありがとう。ファイアーアントの赤って格好いいしそれを提案してみるよ♪ よ~し後半分進めば巣にたどり着きますからみんなお願いね」
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