第83話 ランクアップしました
「盗賊ギルドってあるわ! ライ、いままでの盗賊より称号が凶悪よ! それに色んな魔道具も持ってるから急ぎなさい!」
「分かりました! もう全開で行きますよ! ぐるぐるーほいっと!」
盗賊ギルドですか! 強奪したりしていたのかこれは魔力回復の魔道具をみんなが持っています、それも中々回復量が良い物のようです。
「魔道具、いえ、こうなったら装備も服も持ってる物全てをいただいちゃいます!」
「その方が良いわ! 奴隷の魔道具も持っているし、全部ひっぺがえしちゃえ!」
僕達が乗る馬車も最後の直線に入ると後二百メートル、僕は荷台の上で立ち上がり進行方向の先を見ると、既に武器を手にして隠れもせず道を塞ぐように広がりこちらを見ている盗賊ギルド達。
「もう襲う気満々だよ! 丸裸にさせて貰います! せーの! 収納!」
道の先には、裸ん坊になった盗賊達、慌てているようですが、もう盗賊達と先頭の馬車まで百メートルほど、速度を落とし始めていたのでもう少し時間は残されていましす。
「ライ奴らの七台ある馬車も収納しちゃいなさい! たぶん燃やす用だと思うけど油が大量に乗っているわよ!」
「了解! 収納!」
先頭にいた冒険者達はもちろん、僕達の前にいた冒険者達も武器を装備し、警戒を始めていました。が、いきなり裸になった者達と、すぐ前まで道を塞ぐように置かれていた馬車が綺麗に消えたのを見て驚いています。
「商人さん、僕は先行してやっつけてきます。皆さんに速度をもっと落とすように知らせて下さい」
「はい!」
カランカラン
カランカラン
ベルを鳴らす商人さん。前の馬車からも同じようにベルが鳴らされています。
「プシュケ、盗賊達の気絶まではこのまま行けば間に合いませんから、直接やっつけてきます。ムルムル、テラ、しっかり捕まってて下さいね! ほいっと!」
「頑張ってね!」
そして馬車から飛び降り、盗賊達に向けて一気に加速します。
ダン!
ベルを鳴らす馬車達を瞬く間に追い抜き、鞘付きのままの刀を取り出しているともう盗賊は目の前です。
手前にいる者達からお腹に一撃ずつ打ちこんで行く。
ドドド······
「チッ! なんだよこのガキは! いきなり裸になったかとガァッ」
「くそ! 捕まえろ! チッ! 早すグオッ」
喋らせるつもりもありません! 後半分!
突きを入れられ前のめりに倒れてくる盗賊の横を半身だけ躱し、後ろにいた奴にも一撃。
手前の奴で死角になったところからの一撃は躱しにくいからこれも綺麗に決まりました。
ドサッ。今度は倒れた奴の背中を足場に、盗賊達のちょうど真ん中辺りに飛び込みました。
「うおっ! このガキ飛び込んできやがった! 剣は抜いてねえ! 一斉に潰しちまえ!」
「おらぁ! ゲフォッ」
「何なんだこいつ! 捕まえられねえぞ! そりゃ! ブフォッ」
一人ひとりですが確実に倒していきます。
四方から一気にきても転移で囲いから抜け別の奴の前に。
「はっ! シッ!」
目の前の背の高い二人は覆い被さるようにして襲ってきました。挟み込むようにして腕を広げ僕を捕まえようとしていましたが、目の前にあるモジャモジャが目についてしまって思わずつついてしまいました。
「ほぎゃん!」「はぎゅ!」
「あー! ごめんなさい、シッ! この技は封印していたのですが、はっ! 目の前にあったので、ほいっと! 思わずつついてしまいました! よっ!」
二人は他の方とは違い泡を吹いて倒れてしまいますが、その後は順調に倒しきり、馬車が本当にゆっくりと近付づき、こっちの様子はしっかり見えているはずです。はあ、被害を出す事無く全員を倒しきりましたね。
「ライ、パンツは履かせておきなさい。どうせお屋敷に連れていくんでしょ? メイドさん達もいるんだから気を遣いなさいよね、ほら冒険者達の中にも女性がいるんだから早くしなさい!」
「あっ、そうだったよね。忘れていました。では、ほいっと!」
うんうん、前にもやりましたから、上手く履かせることが出来ました。
そして馬車が到着し、ゆっくりと倒れている盗賊達の手前で停車すると、出発前に門前でちょっとだけ揉めていた商人さんとの間に入り、話をしてくれたお姉さん冒険者達が、一番前の馬車に乗っていたようで声をかけてきてくれました。
「はぁぁ、ライ君見ていたけど本当に強いね、君くらいの歳でここまで戦えるなんて私、自信無くしちゃうわ、くふふ」
「おいおい、俺達の分も残しておいてくれよ。あははは! しっかし盗賊はなんでみんな裸なんだ?」
御者台にお姉さんと一緒に乗ってる方はあの時も一緒にいた人なので、同じパーティーなのでしょうね。おっと返事をしないとですね。
「この盗賊達は、武器や色んな魔道具を持っていましたからそのままだと倒すのに時間が掛かりそうでしたからね、先に収納してあげました」
「あんなに遠距離で収納を使えるなんて聞いたこともないぞ?」
「それに装備品は取れなかったわよね?」
え? 普通に取れますよね? もしかしたらと言うかお姉さん達が見たこと無いだけなのでしょうね。
「ふむ、数えたところ五十人といったところですね。何人かと後は首を落として行くしかないですか」
「え? 殺しちゃうのですか? 犯罪奴隷にすれば開拓などに使えますよね?」
「いや、この人数を馬車に乗せられないだろう、馬車一台に数人が精一杯だろうね」
「ああ! そう言う事ですね、それなら心配ありません。転移の魔法が使えますからすぐですよ」
集まってきていてそれを聞いた皆さんは『え?』って顔で僕を見てきました。
そして一人の商人さんが『そんなに一度に?』と。僕は馬車ごとでも大丈夫と言うと、『では街まで行けるんですか?』となり、街に転移することになりました。
パッ
「はい到着です」
「ほおー! これはスゴい! 街のまん前! いやはやこんな経験はもう一生味わえ無いでしょうね。ライ君ありがとうございます」
「いえいえ。では僕はこの盗賊達を連れて行ってから戻ってきますね」
「はい。では冒険者ギルドでお待ちしておきますね」
「お願いします。では、転移!」
盗賊ギルドの五十人をカヤッツに引き渡し、街に引き返しました。
ちゃんと門前に戻り、入門をした僕達は、そのまま冒険者ギルドへ向かい商人さんと合流。
そこで依頼完了報告をして、ついに!
「ライ、テラ、プシュケ、リントの四名はふむ、盗賊も倒しているわけだ、ランクアップで問題ない新しいギルドカードになるぞ」
やりました! ついにと言うか、僕とテラは元々上がっているはずでしたが、海に行くため冒険者ギルドによらず出発したので上がっていないだけでしたが、今回みんなで揃ってランクアップができて良かったです。
さあ新しい銀色のギルドカードになりますよー!
そしてついにその時が来たようですが······。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます