第63話 海賊退治です 一島目
コンコンコン
『誰だ』
ん? 王様でしょうか、部屋の中から返事がありました。
「サーバル男爵家三男ライリール様がお越しです」
『おお! 早く入ってくれ!』
「失礼いたします」
カチャ
侍女さんは目の前の扉を開け、前回王様と会った部屋に一緒に入りました。
「ご苦労。ふむ、
君が案内をしてくれたのだね。ありがとう、妻の元に戻ってやってくれるか」
「はっ、失礼いたします」
侍女さんが出ていった後、海賊と人攫いの資料を待っていた父さん母さん、王様に宰相さんが座るソファーのところまで進み父さんへ渡しました。
「ライありがとう。この後はどうせお前の事だ海賊をやっつけに行くつもりなのだろう?」
「はい♪ そして捕まえてサーバル男爵領の開拓をしてもらえばと♪」
「くっくっく。なあサーバル男爵。この国、私にはこんな頼もしい未来の親戚がいる。早く息子に当主の座を渡して私の近衛騎士団長にならぬか?」
おお! 父さんが近衛騎士団長ですか!
「あはは。まだまだ息子達は幼いです。それに領地を王よりいただいてまだまだ開拓も進まずこれからなのですから、もうしばしお待ちを」
「ふむ。仕方がないな。どれ資料をテーブルへ」
「はい。パッと見ただけでも島が三島ですね。捕らわれている者は百と少しです」
「海賊どももそこそこいるようだな。ライ、やれるのか?」
「はい。お任せ下さいませ。この後すぐに行って終わらせてきますのでご心配無く」
「くっくっく。王子にも見習わせたいものだな宰相」
「私からはなんとも」
くふふふ。本物の王子様も兄さん達には勝てないでしょうね。この前チラッと見ても数段は魔力も少なかったですし、僕だって負ける気はありませんよ♪
でも、勉強の方は分かりませんね、もしかして物凄く賢いのかも知れませんし。
「では皆様、僕は海賊退治行ってきますね♪ 早くしないとお昼ごはんはバーベキューですから間に合わなくなっちゃいますので」
「うふふ♪ ライったら。でもバーベキュー良いですわね、あなた。王様をお誘いはしませんの?」
「なにやら、ライがそんなに楽しみにするような昼食なのか?」
「はい、バーベキューと言うのはですね······」
ん~、長くなりそうなのでこっそり行っちゃいましょうか。
一応父さんにだけ伝え、お宝をいただいた島に転移しました。
「さて、貰ってきた地図だと、このお宝島がこれで、東の森があっちだから~、一つ目の島は東の~、ちょい右方向ですね~どれどれ」
だいたいの方向が分かりましたので、そちらに範囲を絞って広げていきます。
ほどなくして五十人いるかいないかの集まりが見つかりました。
「テラ、くふふふ。まだ寝てますね。ムルムル少し戦闘になるかもしれませんからテラを落っことさないようにお願いね♪」
するとムルムルは、ぷるぷるする代わりに手を伸ばすように体から突起を出して手を振るようにゆらゆら。
「おお♪ ムルムル凄い! そんな事できるようになったんだね♪」
ゆらゆら
「ムルムルって普通のスライムなのに賢いわね♪」
「うんうん。僕もそう思うよ。じゃあプシュケ転移するからね。いくよ~、転移!」
パッ
到着すると、そこには突然現れた僕達を見つけた海賊達、ほんの少し『え?』って顔をしましたが、僕達が子供二人と見てニヤニヤしながら武器を手に近づいてこようとしています。
「プシュケは僕の後ろにいてね♪ じゃあぐるぐるです! ほいっと!」
プシュケの前に出て海賊達がゆっくり歩いて近付いてくるのを見ながらぐるぐるを加速させていきます。
残り十五メートルほどでしょうか? 直接やっつけないとダメみたいですね。
「プシュケ、テラとムルムルを預かっていてくれる?」
「は、はい。流石にこう武器を持たれて近付いてくると、こ、怖いですね。さあムルムルこっちに来て下さいね」
僕の肩からムルムルが離れたのを感じ、弓などを持っている者はいないようです。これなら大丈夫そうですね。
「じゃあオーク村を攻めた時の肉弾戦をやってみましょうか······シッ!」
僕は一気に加速して、歩いてくる先頭の海賊に近付き、僕が手に持っている木の棒を突きで攻撃します。
ちょうど良い高さのおちんちんを狙います!
ズンズンズンズンズンと手前の五人に突きを喰らわせました。
「ぎゃっ」「ほごっ」「くぴゃ」「なぎゅ」「ほげっ」
近付いてきていた手前の海賊達は前のめりに『く』の字になり、内股でぷるぷる震えています。
「ぎざま! なんでごどじやがる!」
「ぐぼぉぉ! づ、づぶれだがも!」
「うわぁ。止めておけば良かったですね······オークなら少し動きが悪くなるだけでしたが······うん。この技は封印しましょう」
そしてその様子を見た残りの海賊達はその場で股間を押さえながら止まりました。
そして魔力切れになる者が一人、また一人と次から次へ魔力切れで倒れ、十五人ほどいた海賊は全員気絶しました。
「ライ! まだいるわよ! 気を抜かないで!」
「うん。魔法使いだよね······流石にそこそこ魔力が多いのですね。もう少し時間がかかりますからプシュケはこっちにおいで」
「うん。魔法使いはどこにいるの?」
プシュケはテラを乗せたムルムルを胸に抱えて走り寄ってきます。
「あの船に五人だよね?」
「ええ。それで海賊は終わりよ。残りは、
なら船の中は海賊の五人だけですし~。
「ぬふふふ。収納!」
「ぬあっ!」「なに!」「なぁ!」「どわっ!」「げっ!」
バシャンバシャンと高さ数メートルのところから海に落ちる海賊達。
「はぁぁ、遊んでる場合じゃないでしょ! さっさとやっつけちゃいなさい!」
怒られちゃいました。
船を
「転移!」
パッ
「いらっしゃいませ! 少し痛いですよ!」
ドスドス
今度はお腹を棒で突きお腹を抱え跪いて、ちょうど良い高さに顔が来ましたので顎を狙い回し蹴りを一発!
ガッガッガッガッガッ!
一発の回し蹴りで五人の顎を蹴り抜き、五人を
「はわぁ~ライってぐるぐるだけじゃなくて、普通の攻撃力もあるんだね♪ 今のクルンって回りながら蹴るのカッコ良かったから教えて欲しいな♪」
目をキラキラさせながらプシュケ。
「そうね。その前の動きも良かったわよ。あの早さで動かれたら普通の人は避けられないわね♪ じゃあ次はお宝を」
やっぱりお宝が気になっていたテラ。
「テラそれはまた後でね♪ まずは鍵を探して捕らわれてる人達を助けなきゃ」
「そ、それよ、それを言おうとしたのよ! あ、当たり前じゃない! さあライ! さっさと屋敷に連れていくわよ!」
みんなを連れていく前に、この島にある鍵を探すために魔道具を探し、魔道具はもちろん海賊達が装備している物も収納していきます。
その時見つけた宝箱を見て、テラはもちろんプシュケも凄く嬉しそうな顔をしていたのを僕は見ていましたよ♪
そしてやっと見つけた鍵で三十人の拘束用の腕輪を外していきます。
「はい。あなたで最後ですね♪」
「ああ。本当に助かったよ」
「いえいえ。それと今から王国のサーバル領に一度向かい、その後元の町や村に戻れるように手配してくれますので安心して下さいね♪」
そして残りの船や武器を防具も収納してしまい、一島目が終わりましたので屋敷にみんなを連れて転移しました。
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