第58話 海に到着?
森の木々を跳び移りながら海を目指していると、ほのかに塩の香りがしてきました。
「塩の匂いですよね? 僕は初めてなのでよく分かりませんが」
「私も初めてです。これが海の匂いですか?」
「そのようね♪ さあもうすぐよ泳ぎ方は任せて! しっかり基本から叩き込んであげるから覚悟しなさいね!」
「ぬふふふ。僕はこの間お風呂で教えてもらって五メートルは泳げましたよ♪」
「凄いです! 村の近くの池は入っちゃダメだって言われてたから水に入るのも初めてです♪」
「くふふふ、ライ。お風呂と海では全然違うわよ。まあそこも
そして森の途切れる場所が見え、その向こうはキラキラ輝いています。
「海だよね! よっしゃぁー!」
そして勢いよく森から飛び出したのです······
が!
「あぁぁぁぁぁぁー! 崖になってましたぁぁぁぁー!」
「なにやってるのぉぉぉぉー!」
「いやぁぁぁぁぁー! おちてるぅぅぅぅぅー!」
ザパン!
意図せず命がけのスイミングスクールが始まりました。
「テラ、ムルムル大丈夫! 流されてない! プシュケも大丈夫だよね!」
僕は収納から大きな丸太を出して掴まり、みんなの安否を確認します。
「あなたねー! ちゃんと確かめてから飛び出しなさい! ムルムルがライに引っ付いて私を包んでくれたから流されなかったけれど!」
「そうですよ! 物凄くビックリしましたよ! ちょっと漏らじゃなくて! もうー!」
「ごめんなさい! 良かったみんなが無事で。だけど戻れないよね? 見た感じずっと崖になっているし」
「そのようね。右に行けば帝国側だし、左は王国が続いているはずだけど」
「ん~、物凄く先まで森が続くんだよね~、だとすると帝国側に行くしかないですね」
ぷかぷか浮かびながらそんな事を呟きます。
あまり行きたくはなかったのですが仕方がないですね。
「このまま丸太を抱えていても駄目ですし、これで
今掴まっている丸太にロープを出してくくりつけ、二本目の丸太を出して引っ付けて結んでいきます。
それを数本繋げたところで筏の上へ。
上がってプシュケの拘束をほどき、背負子を収納そして辺りを見渡すとさっきより落ちてきた崖が遠くなっていました。
「ふう。だいぶ流されて沖に来ちゃいました」
「流れが沖に出る引き潮みたいね。とりあえずこれ以上陸から離されないようにしないと駄目よ」
「そうだよね。でもどうしようかな? そうですここは帆を立ててみましょう♪ こう言うのもあったら良いなくらいには想像はしていましたからん~と、ありました! じゃじゃ~ん!」
木を組み合わせて作った四角い木枠をを出して筏の前にくくりつけ固定します。足下は三脚にしてガッチリ固定します。
次はそこにシーツです。木枠にそって張り付けて~完成です♪
「どうでしょうか! 中々の出来映えですよね。そしてそのシーツに風魔法を当てると~」
木枠に張られたシーツが風を受けピンっとはらむと筏が前に進み出すのが分かりました。
「すご~いです! 動いてますよ!」
「ひゃっほ~い♪ ライやるじゃない! 崖に近づいているのが分かるくらい早いわよ!」
ぷるぷる
「ところでライ、舵取りはどうするの?」
「え?」
「「
「ライ、もしかして真っ直ぐしか進まないの?」
「う、うん。方向転換は全然考えてなかったです」
進む速度を少し落としました。
このまま進めば崖にぶつかるだけだしね。
「はぁぁ、まあ進む事ができたのだからよしとしましょうか。ライ板は持ってないの?」
「ん~と沢山あるよ。そうですついでに床を貼っちゃいましょう。ほいっと!」
ドサドサと板を筏の上に出して並べて行きます。
釘(町の鍛冶士のおっちゃんに大小沢山作ってもらいました)も出して打ち付けていこうとしたのにてらが。
「ライ、気持ちは分かるけれど今は先に舵取りをしなきゃね。それが終わったら床でも何でもやって良いから」
「そ、そうだよね、分かっていましたよ。あは、あは、あはは」
ジト目のテラに舵がどんなものか聞いて作ってしまいましょう!
長さは三メートルくらいで僕の腕くらいの太さ、細めの丸太の片側に板をくっ付けて海の中に入れると舵になるそうです。
最初に作った舵はロープでくくりつけただけでしたので、あっという間に板のところが流されて壊れました······
今度はガッチリ釘とロープも使って頑丈に固定します。
すると外れることもなく舵として使える物ができました······たぶん大丈夫。
「よし完成です♪」
「まあまあね。ほらほらまた流されてるから風魔法よ」
「ライ頑張って下さい!」
「うん。じゃあいっくよ~、ほいっと!」
風魔法で帆に風を当てどんどん進みます。
走らせながら筏の床を張っていきましょう♪ まずは全面ですよね~♪ それから操舵をする時用のベンチに~♪ 壁と屋根はどうしましょうか?
駄目ですね。囲ってしまうと景色が見えませんし、止めておきましょう。
それから時々舵を操作しながら進んでいると砂浜があるのが見えました。
「砂浜がありますよ! でも島でしょうか?」
「本当です♪ 島っぽいですね♪ よってみますか?」
「そうね。ずっと波に揺られていると疲れるから今日はあそこで夜営にするのが良いわね」
遠くに見える少しだけ緑のある島に向けて舵を操作します。
三十分ほど走ってその島に到着しました。
「よ~っし上陸だ! ロープをくくりつけて~♪ じゃあプシュケはそのまま待っててくれたら筏を引っ張るからね」
「はい。私では、ドボンと落ちちゃいますからね♪」
「あはは♪ んじゃ~せ~の!」
ダッ
筏からひとっ飛びで浜辺まで。綺麗に着地してロープを手繰り寄せます。
「よしっと。先にこの岩で良いかな。くくりつけましょう」
浜辺に引き上げた筏を一応岩にロープでくくりつけておきます。
「ねえライ。収納しちゃえば?」
耳たぶをクイクイっと引っ張りながら教えてくれた事は······。
「ああっ!」
「くふふふ。忘れてましたね」
「うん。完全に、よし収納!」
筏を収納して、一応島全体を確認してみる事に。
「魔物もいませんね、小さな動物でしょうか、ネズミ?」
「私が見てあげるわ。
テラは何か見付けたようですが。
「何かあったの?」
「海賊のお宝かしら。島の真ん中に小規模、目隠し結界の魔道具があるわよ」
「ほお、どれどれ~本当だ、あまり大きくないですが魔力がありますね。確か海賊のお宝は見付けた人の物になるのですよ♪ くふふふ♪ じゃあ島の探検にいきましょう!」
探検と言いましたが、直径百メートルほどの島なのであっという間に目隠し結界がある場所に到着しました。
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