第6話 盗賊に捕まりました
「ふあぁぁ~、良く寝てしまいました、うふふ、テラったらムルムルベッドですね、物凄く気持ち良さそうです」
朝ごはんの準備をしましょう。
テント外に出るとまだ火が
すぐに火が着き、少し大きめの木を加えて、お湯を沸かしてお茶にしましょう、
歯磨きして、顔も洗えばスッキリしましたね。
テントに戻ると、まだまだテラは寝ていましたので、そ~っとムルムルごと持ち上げ外に連れ出しテントを収納しちゃいます。
「ムルムルとテラは全然起きないね、ご飯も終わったからそろそろ出発です」
心なしか
火を消し、王都に向かう道とは別の道を進みます。
「ふあぁぁ~、良く寝たわ、あら、ライおはよう、ムルムルもおはよう」
「おはよう、今日も良い天気だよ、今日はたぶんだけど峠の手前の村に到着予定です」
テラはムルムルベッドのの上で伸びをしながら朝の挨拶をした後ぽんぽんとムルムルを
「そうなの、ところでライ、あなた昨日から気になっていたんだけど、常時魔力をぐるぐるさせているの?」
「え? だって普通でしょ? 何かしていたり、歩いているだけなんて勿体ないよ、寝る時は流石に止まっていると思うけど普段は回しっぱなしだよ、おかしな事言うね」
後々気付いたのですが、魔力をぐるぐる回していると体の調子が良いのですよ。
「いやいや、ライ、普通の人はそんな事すればすぐに気絶しちゃうわよ」
「ああ、そうだろうね、生まれてしばらくはすぐに寝ちゃってたから知ってるよ、あれってぐるぐるしている内に魔力が外に出るだけになるからだよね? だから回りにも魔力があるんだもの、取り込めば解決するじゃない」
そうでしょ、回りに沢山あるんですから、やらない手はないのですよ!
「あなたそれ、その理屈おかしいから、それ出来る生き物はドラゴンとムルムルの様なスライムだけよ」
「え? そうなの? フィーアもお兄さん達も出来るよ? あっ」
「お兄さん達も? お兄さん達も出来るって言うの! フィーアはまぁ、先に古代魔法を使えるらしいからなんとか納得しましょう、それがお兄さんも?」
あっ、内緒にするつもりだったのに口が滑ってしまいましたね、あはは。
「そ、そうだよ、僕が土いじりで色々やっているのを見て、聞いてきたからやり方教えたら、すぐに出来るようになったかな、あはは」
「って事は古代魔法は!」
「え? えっと、少しは?」
今もぐるぐるを続けていたなら、フィーアと同じくらい使えるように、お兄さん達ならもっと使えるようになっているかも······。
「はぁぁ、じゃあ四人は使えるものが居るってことね」
「たぶん」
父さんと母さん、メイドさん達や、屋敷の人達は使える可能性はあるけれど、覚えるの難しいならたぶん無理だよね?
「たぶん?」
「屋敷の皆には教えたけれど、難しいならたぶん使えない、はずだよね?」
テラのジト目はちょっと可愛いですね。
「はぁぁ、まあ良いわ、ライのレベルで使えるって訳でもないでしょう、常にぐるぐる回している様な変なヤツは見たこと無いもの、フィーアって子を見てみないと分からないけれど」
フィーアはたぶんぐるぐるしているだろうなぁ、相当厳しくそこは教えたから。
「あはは」
天気の良い街道を遠足気分で歩きます。
遠足行ったこと有りませんが、そんな気分です、木の枝を拾い、ずりずりと引きずって歩くのが、何が楽しいのか分からないのですが、お昼休憩以外は歩き続け、まだ日は山にもかかっていない時間に丘の上から村が見えました。
日が山にかかりそうになった時、木を組み合わせて作られた外周の三メートルほど高さがある壁に囲まれた村に到着。
門番さんにギルドカードを見せて、中に入り、道行く人に宿がないか聞くと、一軒だけあるとの事で、場所を教えてもらい、今夜はベッドで寝ることが出来そうです。
僕が出ていく側の門近くにあった宿屋の食事は、大人の人が食べるには少し量は少なかったのですが、僕が食べる分には調度良い量で、味は抜群に美味しかったです。
特にお肉がオークで、ホロホロになるまで煮込まれたシチューは、お皿をパンで拭き取ってしまい、シチューが入っていたの? と思えるほど綺麗に完食してしまいました。
明日の出発前に、オークを宿屋に売って見ようかと思います。
食事も終わり夜も更けて、ムルムルをむにむにと感触をテラと共に楽しんでいると、
ムルムルとテラは僕の胸の上に陣取りテラのお腹が冷えないようにハンカチを布団代わりに掛けておきました。
もちろん僕もテラ達の手前までお布団を掛け眠りにつきました。
翌朝、これまた美味しい朝食を頂いた後、オークを二体宿屋さんに売って、村を出発しました。
ここからはしばらく坂道を登ることになりますので、馬車を走らせる方達も、早めに出発して中間点、夜営地があるの山の中腹を目指します。
僕は歩き用の夜営地を使いますので登りだけで数日掛かる予定です。
「ライ、そこのお花のところに私を下ろしなさい」
「どうしたの? よいしょ」
僕はテラが乗るムルムルごと肩から下ろし、街道脇に咲く、小さな黄色い花の近くに下ろしてあげます。
「ん、ありがと、ん~っしょっ!」
テラはムルムルから飛び降り、街道脇に咲いていた黄色い小さな花を掴むと、“ずるるっ” 根ごと引き抜き頭に乗せる。
え? そういう物なの!
「よし、うんうん、今日はこの子で良いわね、行くわよライ、早く肩に乗せるのよ!」
何か満足そうですが、気になるので聞いてみましょう。
「テラ、なぜ頭に花を乗せてるの?」
「ん? 栄養を
んと、テラから栄養を吸い取っている花は最初見た時より瑞々しくなっているように見えるのですが、まあ可愛いお花を頭に乗せているテラが、ニコニコなので良いことにしましょう。
「それより、ムルムルの朝ごはんは無いの? 無ければゴブリンでも倒して用意しなきゃね」
「え? ムルムルは外にある魔力でみたいな事を言わなかった? まあ、魔石もゴブリン本体も沢山あるけど」
不動在庫が腐るほど収納に入ってます、それこそ冒険者ギルドで薬草採取のお仕事をやりだした頃からの在庫なので、オークは数体我が家の食卓にも上りましたが、ゴブリンはそのまま残っております。
「魔石ちょうだい、本体はお昼休憩にムルムルにあげるから」
「了解、じゃあ籠を出してっと、魔石いくつもいるの?」
「一つずつで良いわよ、ほら早く籠に乗せなさい、ムルムルがお腹すかせてるんだから」
一つで良いのね、って急かされましたので早くやってしまいましょう。
「うん、了解」
昨日の籠を出して魔石をコロンっと出し、テラが乗ったままのムルムルを籠に肩から乗せ替えました。
ムルムルは魔石を包み込みぷるぷると御機嫌そうに揺れています。
「うんうん、た~んとお食べ~♪ 沢山あるからムルムルのごはんはいつでも言ってね」
つんつんと優しくつつくとぷるぷる返事をしてくれている様です。
「じゃあ、気を取り直して出発再開しましょう♪」
「うむ、ライよ進むのよ!」
あははは、旅の仲間が増えるのって、一人で旅をするより良いですね、歌って踊っては、恥ずかしくて出来ませんが、あははは。
緩やかな坂道をすいすい上り、何台もの馬車に追い越され、お昼はムルムルのゴブリンの丸飲みは凄かったですよ! ゴブリン村長を出してあげたのですが、お腹の上に乗せると、みにょ~んと伸びたムルムルはゴブリン村長を包み込んだと思ったらシュルシュルっとほんの数秒で元の大きさに戻って、ぷるぷる震えて終わりです。
見た後数分はマシューさんに作って貰ったスープを掬い上げたまま止まったほど驚きましたです。
っと、語尾がまだ安定していない様ですが、順調に今日の夜営場所に到着しました。
この夜営地は、馬車も数台止められる、中規模な広場です、でもここは宿屋の女将さん情報では盗賊が出ると言われる夜営地の一つ手前、明日、その夜営地は跳ばすために今夜は早く寝て、早朝出発にする予定です。
食事をささっと終わらせ、今日はテントは張りません、朝から畳むには日が昇ってからでないと難しいからです。
大岩を背に焚火を少し大きく作り、地べたに座り、大岩にもたれながら眠ることにしました。
深夜、甘い匂いがするなと、確か眠り薬がこの匂いでしたね、お母さんが前に作っていましたので知ってます。
狩りの罠に使うって言ってましたね、お母さんが間違って吸ってしまって寝ちゃったのには驚きましたが、くふふふ。
僕は、【健康】のスキルを神様に貰ったので毒や薬は効かないのですよ、なので眠り薬が充満した部屋に誰も入れ無い時に、僕が家の人の代表でお母さんを部屋から引きずり助け出した事を思い出しました。そんな事をおもいながらそのまま僕は寝てしまいました。
ガタガタガタガタ
「ふぁぁぁ、あれ?」
馬車に揺られているようですが、いつの間に乗ったのでしょうか? 夢? あと凄く柔らかな枕ですが僕、枕は持ってきてましたっけ?
「良かったやっと起きましたわ、大丈夫ですか?」
「え? おはようございます?」
「はぁぁ、薬を嗅がされ眠っていたのですものね、仕方ありませんわ」
きちんと整えればさぞかし綺麗な金髪で、大きな青い瞳、汚れていなければ真っ白な肌なのだろう女の子が覗き込んでいました、いえ、眠り薬は効かないのですが。
「あなたも盗賊に人攫いの犠牲になりましたのよ」
冒険デビュー二日目で盗賊イベント発生の様です。
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