里子

連喜

久保寺さんの家

第1話 里子とは

 世の中、子どもが欲しくてもできない夫婦がいる。


 養子をもらえばいいんだとみな簡単に言うけど、今は少子化だし、親戚を見渡しても養子に出せるほど子どもは余っていない。特別養子縁組という制度もあるけど、児童相談所に頼んでも何年経っても打診がない場合もあるとか。民間の団体を利用すると、依頼者に数百万もの費用がかかる場合があるそうだ。この場合は主に、実母のケアに使われるようだが、費用の高さに不安に感じてしまう。そこから利益を出しているのではないかと、普通は勘繰ってしまうだろう。


 養子として人気があるのは、物心つく前の子どもたち。赤ちゃんや幼児だ。年齢を重ねるにつれて扱いづらくなっていくから、希望者から人気がなくなるし、需要と供給に不均衡が起きてしまう。


 里親制度というものもある。これは、養子にすることを前提とせずに里親家庭で一時的に生活するという制度だ。これもすぐには依頼があるわけでないそうだ。東京都だと里親登録している家庭に対して、受託している家庭は35%くらいしかない。だから、独身で昼間就労している人などはほぼ無理だ。


 しかも、里子の養育は一般家庭の子どもとは勝手が違う。過去に虐待を受けていたり、ネグレクトの状態だったりする。

 調査によると四分の一に障害があり、その大半は精神疾患だ。実親が持て余してしまったケースが多いと推察する。そういう子どもを他人が預かって、育てるのはかなり大変だと言わざるを得ない。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る