僕の初めて。
海原シヅ子
四時間目、教室にて。
保健体育の授業など心底どうでも良い。
正直、こんなのは常識を再確認しているだけで、授業を受ける必要性を感じない。
教室内では、精通だ勃起だと男子どもがくすくす笑っているのを、体育教師が叱っている。
正直寝てしまいたいが、成績は落としたくない。オールAを目指しているんだ、どうでも良いことで今までの努力を潰したくない。努力と言ってもただ睡魔と戦っただけだが。
教科書から顔を上げると、前の席の男子が声をかけてきた。名前は覚えていない。
「なぁ比嘉、お前こういうこと興味ねぇの、」
にやにやしながら問いかけてくる。気持ち悪い。
「ないな。全く。」
ばっさりと切り捨てると、あっそ、とまた別の男子に声をかけに行った。馬鹿馬鹿しい。
僕は義務教育に縛られ中学生なんかをしているわけであって、天才なんだ。父さんが言っていた。
天才の父さんが言っていたのだからそこに偽りはないだろう。
そんな僕が性教育だ?時間の無駄だ。
体育教師は宥めるのを諦めたようで、授業を続行していた。
性器のつくり、射精のメカニズム、月経とは何か、淡々とノートに書き写していく。
学校から配布されたノートはワークシートみたいなものが巻末にあり、それを用いて学習していく。
性器の図に名称を書き込んだり、虫食いになっている表に語句を書き込んだり。
周りでは、ちんちんだ何だと騒いでいるが、どうでもいい。放っておこう。体育教師は頭を抱えていた。
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