ママ活したら先生が来た。年下幼馴染もグイグイ来るようになった。
爛々
第1話 幼馴染にママ活がバレた
「みー君、何このサイト? ナニコレ、何してたの?」
「勝手に人のスマホいじるのはいくらさくらでもちょっとヤダな。悪いけど返して」
放課後の部室、トイレから帰ってきた僕―
「話し逸らさないで、まずこれの説明! 何このサイト、何で登録してるの? そしてなんであほどりなの、プロフ画! 名前もオーシャンブルーってホテルかよ! 素直に岡島拓海にしとけよ! この年上好きの料理上手で家事上手で私が大好きで水が苦手なイケメンさんが! 私の事いっぱい甘やかしてくれる優しくてカッコイイ便利屋と美食好きの変態さんが!」
ぷりぷり怒りながら僕のおでこをぺちぺちするさくらとは家が近所で生まれた時からの大好きな幼馴染。
まぁ正確にはちょっと違うみたいだけど、でも物心ついたときからずっと一緒にいて、高校もさくらがついてくる感じで⋯⋯いや、僕がわがまま言って同じ高校に通って。
そう言うわけでさくらに無理やり部活を作られて今の時間。部活というかただの遊びの時間なんだけども。そしてそのママ活はイタズラなんだけど。
「それは友達に勝手に登録されたの。ママ活のサイトだよ、個人情報晒すのバカじゃん。それにさくらも知ってる通りあほどりじゃなくてこれはペロロ様です、可愛いでしょう?」
「ママ活のサイトだよ、じゃないよ! ダメに決まってるでしょ、こんなサイト! 個人情報よりもっとダメ! あとあほどりじゃん、全然可愛くない、ヒフミちゃんは可愛いけど! 何考えてんのみー君! 私と言う女の子がいながら! さくらが居ながら何してるの!」
ぷくぷく怒りながら、サッとスマホを隠すさくら。
もうちょっと話聞いて欲しいな、そそっかしいのもさくらの可愛いところだけど。それにママ活はいかないし。
「どうかなー、みー君年上大好きだし! お姉さん大好きだし! さくらのこともだけど実は年上大好きだし!」
「確かに年上好きだけど一番はさくらだよ。本当にさくらは可愛くて愛おしい素敵な女の子だよ」
「ぷぇっ、みー君真顔でそんな、私もみー君の⋯⋯ってそう言うのいいの! ううう、嬉し、じゃなくて、その……ダメ! バカ! バカバカみー君、バカみー君! この年上好きのじゅきゅ……熟女好き!」
じたばたと駄々をこねるように暴れながら、きっと僕の方を泣きそうな目で睨みつける。
そんな可愛く睨んでも結果は変わらないよ、普通に本心だし、いつも言ってるし。
「うりゅー、うみゅみゅみゅ! み、みー君そう言って、私も「なに~、楽しそうなことしてるね、二人とも!」
相変わらずドタバタ動くさくらの攻撃をかわしていると、ガラガラと扉が開き、背の高いシルエットがひょこっと顔をのぞかせる。
我らが部活の顧問、自称みんなのアイドル家庭科教師の
美人で気さくで優しくて、同期の変人ダリアちゃんとぽわぽわ穂乃果先生とともに大人気な、ってそんな話じゃない。ママ活の話を聞かれるてはいけないでありんす。
「あ、先生お疲れ様です。さくらと動物園のパンダとかお魚さんが可愛いな、って話をしてたんですよ。でもやっぱりパンダよりさくらの方が可愛いなって。さくらは本当可愛いからやっぱり最高って話してました」
「み、みー君!? そ、そのだからそう言うのは、えっと⋯⋯あ、せせせ先生! そ、そのみー君が……ふがっ!?」
「ん、さくらストップ。ダメって言ったでしょ。すみません、先生ちょっと待っててください」
「う、うん? 大丈夫?」
「大丈夫です。ほらさくら、こっち」
ママ活のことを先生に話そうとするさくらの口をがばっと塞ぎ、ぺこっと先生に頭を下げてそのまま部室の奥の方へ。
「ふがっ!ふががっ!」
「よしよし、いい子いい子。落ち着いて、落ちついて。可愛くていい子だよ、さくらは」
「ふがっ、もががっ!!」
よーしよし、この辺までくれば⋯⋯ふふふっ。今日のさくらはいつもより元気だな。
「ふぁふぃふふふぉふぁ!」
「んふふっ、暴れすぎたよさくら。指噛まないで、痛いよ。さくら噛み合わせいいから噛むのはベッドでだけがいいな」
「ふぁふぁふぁふぃふぇ! ふぁふぁふぃふぇ!!!」
「わかってる、今回のは確かに僕が悪いよ。もう直ぐ楽にするから。よし、これでよし。小声で話してくださいな」
「がぶがぶ、うみゅ。また首にもつけてやる、この前みたいに⋯⋯そ、それでみー君が悪いんだからね! みー君が、私の事⋯⋯み、みー君のせいだよ!」
「いや、確かに僕のせいかもだけど話すのはやめて。もしこの事が先生にこのことがバレたら絶対怒られるて最悪退学だから。さくらに学校であえなくなるの、僕は嫌だから」
R18のサイトに登録していたという事実を学校は結構重く受け止めそうだから。
だからダメです、言わないで!
その僕の説明を聞いて、さくらはうみゅっと口を揺らがせて。
「……わかったよ、みー君と学校で会えないの嫌だから言わない。悪いことしたのはみー君だけど、私は言わない。だからみー君も揶揄わないでね」
「揶揄ってないよ、本心だって。でもありがと、さくら……という事ですみません、先生! お待たせしました、今日もゲームしましょう! 今日何持ってきたんですか?」
いい感じに話もまとまったので振り返って改めて少し先生の方を振り向く。
よし、ひとまず停学のピンチは消えました、後は先生に悟られないようにするだけ!
「相変わらず仲良しだねぇ、二人は! そして今日持ってきたのは王道のこれ! カタンだよ~、今日はこれで遊ぼう!」
ぷくーっと一瞬ほっぺを膨らませた先生だけど、でもすぐにいつもの柔和な笑顔に戻って、ばーんと机にボードゲームを置く。
この部活は先生の趣味であるボードゲームで遊ぼう、って言う部活と言うか僕がたまに先生と放課後遊んでたのを勝手にさくらが部活に昇格させたやつ。さくらがついてきたって形になります。
その当のさくらは先生の持つゲームにキョトンと首を傾げる。
「むー、みー君のバカ。そう言うのは人前では⋯⋯え、カタン? 何ですかそのゲーム、私知らないです」
「ふふっ、さくらは全然知らないな」
「みー君! その言い方は酷い! 私だって知ってることあるもん、色々知ってるもん! 例えばみー君の恥ずかしいヒミツとか! 例えばみー君は狭いところとか水が怖くて小さい頃私に」
「そう言うのは知ってても言わんでいい! ていうか言うな! そんな話先生の前でするな、二人の時だけにして!」
「あはは、二人とも喧嘩しないの。大丈夫、先生がちゃんとルール教えるから安心してよ、初めての相沢さんも出来るように! みんなでやった方が楽しいでしょ!」
そう言って優しく微笑む先生。
やっぱり笑った顔も普段の顔も可愛くて、それにスタイルも良くて優しくて……でもなんだか同級生感が強いんだよな、福田先生は。
「……痛っ!? 何?」
「今みー君悪いこと考えてたでしょ?」
「……考えてないよ。さくらのこと考えてたよ、今日の夜の事」
「⋯⋯本当に? 今日はオムライスだよ、その後は映画見る」
「そっか、楽しみだね」
まぁ、本当のことは言えないし。
さくらにそんなこと、言えるわけないし。
「……ならいいけど! すみません先生、ゲーム始めましょう!」
「ふふふっ、本当に仲良しだね、二人とも!」
そう言ってまた微笑む先生。
「⋯⋯何、みー君?」
「んんっ、なんでもないよ」
やっぱり素敵だけど、さくらの機嫌と脇腹の健康のために考えない事にしよう。
「⋯⋯ママ活かぁ」
☆
「それでね、今日みー君がママ活のサイトに登録してて!」
「さ、さくら余計な事言わないで……おじさんおばさんも本気にしないでくださいね! 罰ゲームで! 罰ゲームで登録されただけですから!」
夜ご飯の席でおじさんおばさんに余計なことを言おうとするさくらを全力で止める。
やめてやめてそんな事言うな、僕の立場が……ああ、おじさんおばさんもそんなニヤニヤした目で見ないでください!
「へ~、拓海君がねぇ……拓哉さんに報告しちゃおうかしら?」
「そうだな、これは由々しき問題だね! 拓哉に報告しないと!」
ニヤニヤした表情のおじさんおばさんが僕を見ながらからかうようにそう言ってくる。いや、怖いです、それ!
「マジでやめてください、本当に冗談なんで! だからお父さんに言うのはやめてください!」
「冗談でもみー君行くでしょ! キレイなお姉さんが来ることになったら行くでしょ、ママ活! みー君年上好きだもん! 年上大好きだもん!」
「さくら余計なこと言うないで! 行かないって言ってるでしょ、何回も! 年上好きでもそれくらい弁えてるって!」
「どうかな~? 例えばさ、競馬が好きでお料理大好きで猫ちゃんいっぱい飼っててむちゅき大好きなキレイで巨乳なお姉さんとマッチングしたらどうする?」
「それは、まあ、その……行くかも、だけど」
「ほらー、行くじゃん! やっぱり行くじゃん、みー君のバカ! さくらがいるのに! バカバカバカ!」
「そりゃそんな人いないからね、って違う違う! 行きませんからね! 本当に行かないですからね!」
さくらの安い挑発に乗ったことを後悔しながらおじさんおばさんの方を見ると、やっぱりニヤニヤからかうような表情。
「えー、そうなんだ。そうなんだ拓海君!」
「へー! へー!」
ああ、もう色々しまった! これ明日とかもいじられるやつ! 半分居候なのに!
「みー君のばかばか……ぷぅ」
あ、そうだ、忘れてた。説明すると現在僕は一人暮らし。
お父さんは去年から単身赴任、お母さんは僕が物心つく前に病気で死んじゃったらしい。だから一人暮らし、夜ご飯とかは自炊もするけどさくらの家でごちそうになる場合が多い。
だからあんまりそう言う話してほしくない、僕の立場無くなっちゃうから。
「でもそう言う行動するみー君が悪い! 反省しろ、みー君が悪いんだから! 私ほっといてママ活行くみー君が悪い!」
「だーかーら、僕じゃなくて友達が勝手に登録しただけだって」
「でも行くんでしょ! キレイなお姉さんいたら行くんでしょ! キレイなお姉さんにデレデレしながらママ活するんでしょ! みー君のバカ!」
「行かないって、本当に。安心して、僕はさくら……大丈夫だよ、さくら」
さすがにお義父さんお義母さんの前で好きとは恥ずかしいけど、本当に僕の一番はずっとさくらだから。
だから大丈夫、さくらもそんなぷくーっと拗ねた顔しないで、可愛いから。可愛すぎるって、何だこの可愛い生物。好きすぎる、本当に。
「……みー君! 話聞いてる?」
「うん、聞いてるよ。さくらが一番だよ!」
「そ、そんな話してにゃい! お父さんお母さんの前だよ!」
うん、照れてる姿も可愛すぎる。やっぱり大好きだ、さくらが。
「孫の名前何がいい、お父さん?」
「う~ん、二人の名前合わせて桜海とか?」
「……日本酒?」
☆
キレイな星空、澄んだ空気。
「みー君嫌だなー。みー君がママ活しちゃうの嫌だなー、お姉さんのところ行っちゃうの嫌だなー」
そんな中、「アイス食べたい!」と隣を歩くさくらは相も変わらず嫌味をぴしゃり。
行かないし、そんなに心配しないでよ、さくら。
「……でもさ、みー君本当に年上好きじゃん。ずーっと年上大好きって……なんでそんなに年上好きなの? 年上のどこがそんなにいいの?」
「う~ん、色々あるけど頼りになったり安心感があるところかな? あとは包容力があったり、一緒に居るとポカポカしたり、甘えれたり……そういう所、好きなのかな。あんまりそう言う事体験したことないから、だから年上に甘えたい気持ちが強いのかも。お姉さんに甘えたくて、ふわふわしたいのかも」
小さい頃からお母さんがいなくて、お父さんも忙しくて。だから人に甘える、って事あんまりしたことなくてそう言う事に憧れてるのかも。
その言葉を聞いたさくらは、ふらふら小さな声で、
「……それってさ、別に年上じゃなくてもよくない? その、別に……年下でも、みー君の事、甘やかせるし。安心感とか、頼りになるとか……そう言うのも年下でもできるもん。みー君の事、甘やかせるもん」
「……ん?」
「だからさ、その……年上だけにこだわる必要ないんじゃない? ほら、ここに、その……ちょ、ちょうどいい女の子、ここにいますよ~。みー君の事いっぱい知ってて、歳も一緒くらいで、その……みー君の事だ、大好きで、いっぱい甘やかせる女の子がここにいますよ~だ」
「……さくら?」
「みー君の事いっぱい甘やかせて、みー君の事大好きで……そ、そんなちょうどいい女の子がここにいますよ~、だ。みー君にちょうどいい女の子がここにいますよ~だ」
☆
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