背中を押す理由 屋上

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 私は勇気を出せない彼女の背中を押したかった。


 彼女は何をするのにでも臆病で、すぐには行動できない。


 見ている人間はとてももやもやしてしまう。


 それは私も同じ。


 私は今まで見ているだけで、彼女を手助けしなかったけれど。


 いい加減反省したわ。


 今度という今度こそは、彼女を助けてあげないといけない。


 だから私は、彼女の背中を押す事にしたのだ。


 この、両手で。


 どんっと強く。


「いつまでぐずぐすしてんの? はやく死ねよ」


 背中を押された彼女は、どんと突き飛ばされて、そこから落下した。


 この場所は校舎の屋上。


 きっと生きてはいられまい。


 ずっとあんたの背中を押したかったんだよね。


 毎日こんな場所にきて、うじうじ悩んでたのは知ってたんだから。


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背中を押す理由 屋上 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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