第2話  なんだ?このお子様を勇者なんぞに選んだバカは。あ、私女神でございましたか…。



「おぉ〜。ハローニューワールド?」


「おぉ〜。まじかよにゅーわーるど…」



 ハロー。女神です。現在絶賛絶望のこの状況。変な勇者とともにこの異世界の地を踏みしめております。



「なぁ?自称女神。ここどこ?」



 そんな私の絶望など知らない勇者。名を根瀬 魄斗(ねせ はくと)。彼はテキトーに選んでそこら辺にポイッと放り投げる予定だった勇者。


「こ、ここは異世界ですわ」


「変な奴が1人っと…」


「お前に言われたくないですわ!!」


 寄りにもよってこんなに、何考えてるか分からない変な奴にそんなことを言われ腹が立ちますが、まあ、許して差し上げましょう。女神は寛大なのです(ドヤァ)


「キモイ顔になってるぞ?」


「うるさいですわ!おだまり!」


「なぁ、女神〜。結局ここどこよ?」


「異世界だと言っているでしょう!貴方は勇者に選ばれました!!!魔王倒せ!以上!!」


「本気で言ってるのか?ここが異世界って…」


 ガチトーンで質問してくる勇者ハクト。


「さっき貴方ここに降り立った時ハローニューワールドと言っていたではありませんか…」


「いやー。ノリで」

「ノリって…」


 結構軽い勇者ハクト、何より考えて悲惨な現実から私、女神は気を逸らしつつ。勇者に何とかここが異世界だと信じて貰う路線に切り替えます。



「ここは異世界。剣や魔法が飛び交うファンタジー溢れる世界。貴方はそんな危機に瀕しているこの世界を救うために選ばれた勇者なのです」


「じゃあ、パスで!」

「パスゥゥーー?」


「だってめんどくさいじゃん?見知らぬ土地の見知らぬ世界で、自ら関係ない戦争に首突っ込んで死にたくないでしょ?」


「あ、貴方は勇者。普通の人間たちとは卓越した力があるのです。そこら辺の魔法が直撃した程度では死んだりしませんわ!」


「お金も出ない慈善事業なんかしたくないぞ?俺になんの関係がある?」


「そ、それは…」



 な、何とか異世界という情報は理解したのかな?したよね?してなかったら女神泣きますわよ?ともかく、今のうちに、俺TUEEEE!的なことに憧れみたいなものがあるはず!その心を刺激して、何とか魔王を倒させるように仕向けましょう!


「世界中の人があなたに感謝し、永遠の富を約束するでしょう!!そう!お金も宝石もあなたの望むままにできるのです!」


「嘘くせ〜。新手のドッキリか?」


 

「ド、ドッキリではありませんわ!貴方は正真正銘の勇者!そ、そうです!ステータスです!ステータスを見てみましょう!そうすれば実感がもてるはずですわ!」


 何とか、意識をそちらに…。



「なんだ?小さいお子様みたいに叫べばいいのか?」


 お!意外と興味をお持ちで?やっぱり男の子はいつになってもガキですね!ちょろい!


「そうです!そうです!「ステータス」と、言って見てください」

「やだ」

「やだァ〜?」


 なんでぇ〜?そういう流れじゃん!


「俺反抗期中だから支持されたくねー」


「それ自分で言う!?」


 なんなんですの!?この勇者。バカ!?バカなのですか!?


「どうしてもと言うなら聞いてやらんことも無い」


 グッ!なんか偉そうにしてむかつきますね?し、しかしこんなのただのガキの戯言です。何となくそれとなく合わせてあげれば言うことを聞くはず。


「お願いします。どうしても言って欲しいのです」


 全力女神お願いです。これで落ちない男はいない!!



「キモイからやだ!」


 そういえばクソガキでしたわ!!



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