『 連載版始まります! 』
「ふぁぁぁ。やっぱ夏休みはサイコーだぜ」
「もぉー。今日もずっとダラダラしてる。たまには外に出ようよ」
「ムリムリ~。こんなクソ暑い日に外なんか出たくなーい」
僕らはただいま夏休みの真っ最中。
アマガミさんも学生にとってのオアシスを思う存分満喫していた。
「夏はクーラーの効いた家でだらけるッて相場が決まってるだろ」
「そんな相場決まってないよ」
「いいじゃんかべつに。ボッチだってクソ暑ぃ外に出るよりも、涼しい部屋の中でゲームしてるほうが好きだろ?」
「そりゃそうだけど……でも、ずっとお家デートっていうのも飽きない?」
「お、お家デートなんかしてないだろ⁉」
アマガミさんがむせた。
「ケホッ、ケホッ。……急に変なこと言い出しやがって」
「変じゃないでしょ。こうやって一つ屋根の下で一緒にいるんだから、見紛うことなきお家デートだよ」
「そういう意味だったら毎日家でデートしてることになんだろ」
「ふふ。僕はそのつもりだけど?」
「~~~~っ⁉」
悪戯な笑みを浮かべる僕に、アマガミさんはしゅぼっと顔を真っ赤にする。
「あ、あたしを揶揄うな⁉」
「揶揄ってないよ。……揶揄ってないけど、やっぱりアマガミさんの照れた顔は可愛いね」
「ええい離れろ! 今すぐあたしから距離を取れ! あたしの顔見るな⁉」
「アマガミさんの可愛い顔、もっとみせて欲しいな」
「顔が熱い⁉ クーラーが効いた部屋にいるってのに、顔が超熱い⁉」
アマガミさんが悶絶する。その様子を僕は笑いを堪えながら見ていた。
僕らが付き合ってからそれなりに時間が経つけど、未だにアマガミさんの可愛いは絶賛更新されていくばかりだ。
「あぁくっそ。あんまりあたしを揶揄うと怒るからな?」
「ごめん、ごめん。でも、せっかくの夏休みなのにデートしてくれないから」
「自分で毎日お家デートだ! って言ってただろうが」
「それは別腹。僕はもっと、アマガミさんと色々な場所に行きたいんだ。カフェでも遊園地でも、あ、アマガミさんの水着を見にプールも行きたいかも。海でもいいよ」
「んな恥ずかしいもの見せられっかよ」
「アマガミさん初心だもんね」
「あ?」
「ごめん失言だった。アマガミさんは初心じゃありません」
アマガミさんからの凄まじい圧をはらんだ瞳に気圧される僕。
慌ててソファーの上で平伏すれば、アマガミさんは不服気に鼻を鳴らした。
「言っとくがあたしは初心じゃねえ。お、お前が積極的過ぎるだけだ」
「僕は恋人としていたって普通の行動してると思いますけど?」
「全然普通じゃねよ! 付き合ってから毎日愛の言葉囁いてくるわ……」
「大好きだよアマガミさん」
「いつもあたしを甘えさせてくるわ……」
「それだそれ! 息を吐くように好きって言ってくんな⁉」
「アマガミさんを好きって気持ちを抑えられなくて」
えへへ、と照れながら言うと、アマガミさんは呆れた風に嘆息した。
「お前は付き合う前からそうだったよな。事あるごとにあたしに絡んできやがって」
「思えばあの時からアマガミさんに惚れてたんだろうなぁ」
「また恥ずかしいセリフを息を吐くように……はぁ。どんだけあたしにゾッコンなんだよ」
「そりゃもう自分の人生を捧げてもいいくらいに」
「あたしのこと大好きだな⁉」
顔を真っ赤にして叫ぶアマガミさん。
それからアマガミさんはガシガシと頭を掻くと、
「はぁ。こんなに愛されてるのに何も返さないのは無粋か」
「あ、お返しくれるならキスがいいな」
「まだ何も言ってねえだろ⁉ つーか昼間からキスなんてできるか⁉」
「え、でもお家の中だよ?」
「誰も見てからってキスできるって訳じゃねえだろ⁉ 心の準備があんだよこっちにも!」
「じゃあ夜になったらしてくれるの?」
「だああああああ⁉ 分かったよ⁉ してやるよ! キスすりゃいいんだろ!」
「よしっ! 言質取ったからね! 絶対キスしてね!」
「分かってるよ! あたしに二言はねえ! するといったらする!」
僕は昼夜構わずアマガミさんとキスしたいんだけどね。
それはそうと、夜が楽しみだ。
「ふふ。なら来る夜に向けて、いろいろ準備しなきゃだね」
「……たくっ。まぁ、そんな嬉しそうな顔されたらあたしも満更じゃねえな」
「じゃあ、今年の夏休みの目標はたくさんキスするってことで」
「なんでだよ⁉」
「だって今、満更じゃないって」
「だからって毎日したらあたしの精神がもたねえ⁉」
「大丈夫だよ。キスする度に精神力が一つ上がっていくはずだから」
「ゲームみたいに言うな! あたしの精神力はそう簡単には上がらねえんだよ!」
「楽しみだなぁ。今日から1日1回アマガミさんとキス」
「なんか勝手に決められてる⁉」
「あ、僕は何回でもウェルカムだからね」
「1回で勘弁してくれ!」
アマガミさんが顔を真っ赤にして懇願する。
これが僕の最高に可愛いカノジョこと、アマガミさん。
これから始まる物語は、僕とアマガミさんがこうして付き合う前までお話。そして、それからの物語だ――。
***
てな訳で本日12日。夜8時30分より連載版スタートです!
最高に可愛いアマガミさんをお届けできるよう頑張りますので、ぜひご拝読ください。
【お試し読版】学校では怖いと有名なJKヤンキー。家ではめっちゃ可愛い。 結乃拓也/ゆのや @yunotakuya
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