第4話 人の正しい殴り方×取り引き


 与野本町駅で降り、ロータリーから遊歩道を歩み、ファミレスと中華屋の見える横断歩道を渡った涼介は中華屋の脇を通り過ぎて電車が忙しなく走る高架の日陰になってる道を歩き出す。

 5分ほど歩いて保育園やインドアテニススクールが見えて来ると、反対側にある高架下に作られた小さな公園へと入った。

 そして、滑り台の上に登った涼介はリュックサックとサブバッグを滑り台の上に下ろすと、滑り台の錆の浮いた柵に寄り掛かってポケットから銀色のシガレットケースを取り出す。

 茶色と白のマーブル模様のフィルター部が目を引く煙草を1本抜き取ると、それを咥えてトレンチライターで火を点し、紫煙を燻らせながら待ち人を待った。

 煙草が半分燃えて積もった灰が地面に落ちた頃、待ち人が公園に現れる。

 待ち人……芦屋 里奈とガブリエラ・ファルネーゼは警戒心を顕に身構えながら、煙草を吸う涼介の一挙一動を見詰めていると、涼介は口を開いた。


 「ふぅぅぅ……さっきからコソコソ付いて来たのは何でか? 教えてくれるか?」


 紫煙を燻らせながら問い掛ける涼介に芦屋が口を開く。


 「先ずは昨日、助けてくれた事を感謝するわ」


 「礼を示したいなら態度で示してくれねぇか? そんなに警戒心と敵意を見せられたら、恐くて話が出来ねぇよ」


 煙草を吸い、マイペースに返す涼介にガブリエラは苛立ちを見せる。が、直ぐに深呼吸して芦屋と涼介のやり取りを見守る。


 「でも、二人の霊を使って私から聞き出した事は頂けないわ」


 「アレは二人が勝手にやった事だ。なぁ、教えてくれよ……生贄を求める九尾の狐とやらの事をよ」


 「生憎とソレは我が芦屋家の秘中の秘。おいそれと話す訳には行かない」


 「だよなぁ……で、そっちのエクソシストさんは何の用だ? 明らかに殺意と敵意が剥き出しだけどよ」


 急に自分に話題を振られるガブリエラ。

 だが、彼女は平然と告げる。


 「2体の悪霊を操り、邪神に仕える邪教徒に答える口は無いわ」


 ガブリエラの言葉に涼介は……


 「クッ……クククッ。クックック……アッハッハッハ! コイツは傑作だ! 俺が邪教徒? 邪神に仕える? 笑える冗談だぜガブリエラ!!」


 噴き出し、腹の底から笑い出した。

 そんな涼介の態度に腹が立ったのか苛立ちを隠す事を止めたガブリエラは、再び口を開く。


 「気安く名前を呼ぶな下郎」


 「ヤル気無かったが、その愉快な一言でヤル気になったぜ。そんなに俺を殺してぇか? ロリコンショタコンゼニゲバの巣窟カトリックのシスターさんよぉ!」


 その一言と同時にガブリエラの姿が消えた。


 「なっ!?」


 芦屋は驚き、涼介の方を見ればガブリエラは滑り台へと跳び上がって涼介を殴ろうとしていた。

 しかし、涼介は……


 「幼稚園いらーい」


 と、嘗め腐った言葉と共に滑り台を滑り降り、ガブリエラの攻撃を躱すと共に地面に降り立つや否や……


 「バン! バン!」


 地面に着地したガブリエラの頭に指鉄砲を向け、口で銃声を上げればガブリエラは怒りに顔を歪める。


 「アンタ! ヤル気あんの!?」


 「ねーよバーカ」


 その涼介の一言と共にガブリエラは拳を振り上げ、突っ込んで来た。すると、涼介は両手を天高く上げる。


 「降参のつも……な!?」


 金属製のガントレットで覆われた拳がハンマーの如く打ち込まれようとする寸前、ストンと腰を落としてしゃがむ涼介の上から振り落とされた両手によってガブリエラの拳が叩き落された。

 それと同時に、立ち上がろうとする涼介の顔面目掛けてガブリエラの左膝が打ち込まれようとした。


 「この程度、お見通しよ!」


 「チッ!」


 しかし、舌打ちと共に煙草を吐き捨てた涼介は脇に倒れ込む様にして転がって躱すと、ゴロゴロと地面を横に転がってガブリエラから土や砂にまみれながら距離を取って立ち上がる。


 「邪教徒の癖に中々やるじゃない」


 「褒められたって嬉しくねぇよ」


 そこで漸く涼介は両の拳を軽く握り、両踵を軽く浮かせ、構えた。


 「漸く真面目にやるみたいね」


 「こーゆーのは不真面目な方が勝つンだ」


 「減らず口を」


 「ッ!?」


 刹那の時も掛からず、文字通り涼介の目と鼻の先にガブリエラが迫り、振り上げられた左の拳が勢い良く突出されて再び涼介の顔面へと迫らんとする。

 だが、涼介は既の所でガブリエラの左ストレートを躱した。が、躱した先にガブリエラの右拳が迫らんとした。

 しかし、涼介は後ろに入身スウェイバックして躱す。と、同時にガブリエラが迫り、涼介の脇腹に左フックが打ち込まれようとする。

 涼介は再び後ろへ入身スウェイバック

 それから直ぐに前へ入身スウェイ

 ガブリエラはそんな涼介を迎え撃たん為に《カウンター》右ストレートを打ち込もうとした。

 その瞬間……


 「なっ!? アガッ……」


 ガブリエラは地面に崩れ落ち、動かなかった。

 それは一瞬の出来事であった。

 ガブリエラの渾身の右ストレートは虚しく空を打つどころか、涼介の右腕に蛇の如く絡め取られた。

 それから程無くしてガブリエラの右足は涼介の右足に踏み潰され、更には右膝でガブリエラの右膝を横から砕きながら背中合わせになる様にして、背中と首の後に涼介の左肘が容赦無く打ち込まれた。

 そして、意識を手放してしまったガブリエラは地面に崩れ落ちたのであった。

 しかし、涼介は構えを解く事無く動かないガブリエラへ残心したまま、芦屋の方を見詰める。


 「殺したの?」


 「首の後ろに強烈なのを打ち込まれて気絶してるだけだ。本来なら倒れた所に組み付いて首の骨をへし折るか、頭を踏み潰す所なんだけどな……で、お前も相手してくれるのか芦屋?」


 戦いを目で追う事すら出来なかった自分に勝てるか? 解らなかった。

 だが、悪霊を操る死霊使いを放置する事は出来ない。

 それ故……


 「おいおい、意識不明のクラスメートを無視すんのか? 冷たい奴だなぁ」


 その言葉と共に撃鉄を起こした短銃身のリボルバーを抜き、銃口を芦屋へと向ける。

 芦屋の顔に恐怖が浮かんだ。すると、涼介はリボルバーをホルスターへと戻し、身体中に付いた砂埃を叩き始めた。


 「何のつもり?」


 「カッとなってコイツをボコったけどよ、俺はお前等の敵じゃねぇ……説得力無いだろうがな」


 実際、話し合いだけの筈だった。

 しかし、涼介にとってのNGワード、地雷を思い切り踏み抜いたガブリエラに対して憤怒に呑まれてしまってこの結果。

 涼介にすれば一杯やって忘れたいくらい最低の気分だ。

 それ故に涼介はリュックサックを背負い、サブバッグを持って公園を後にする。


 「待ちなさい!!」


 「そこのバカ女を頼んだー」


 そんな事を言われると、芦屋は未だ動かないガブリエラを見てしまう。

 再び、涼介の方を見るが、涼介の姿は無かった。目を離した隙に逃げたのだ。

 独り残された芦屋は少し考えると、ガブリエラの元へと駆け寄り、首元に手を当てる。


 「脈拍は……良かった、ある。呼吸は……」


 口と鼻の間に腕時計を近付け、文字盤を映すレンズが曇る。

 それは呼吸もしっかりしてる事を意味していた。


 「良かった。死んでない……」


 「人を勝手に殺さないでくれる?」


 見ると、ガブリエラが目を開けていた。意識を取り戻したのだ。


 「アイツにしてやられたわ」


 「だ、大丈夫なの?」


 「この程度、傷のうちに入らないわ」


 そう言うや、膝の脇から股の内側へ飛び出している骨を無理矢理中に戻し、反対方向に曲がった右腕も無理矢理戻す。

 それから程無くして手や腕、足の指等の動きに問題が無い事を確認すると共に自らの骨に貫かれた皮膚が再生した所でガブリエラはヨロヨロと立ち上がり、全身の砂埃を叩き落とし始めた。


 「私は帰るわ。貴方はどうする?」


 「私も帰るわ。なんかどっと疲れたし」


 芦屋はそう言うと公園を後にし、来た道を戻る。

 ポツンと独り残されたガブリエラは涼介が消えたであろう方向を睨み付けると、ブレザーのポケットからスマートフォンを取り出し、何処かへと電話するのであった。





 「ホント、どいつもこいつも暴力で解決しようとしやがって嫌んなるわ……野蛮人共め」


 「一番の野蛮人が言うと笑えますね。しかし、相変わらず見事な技ですね……人を殺そうとする技術は今も衰えてないと見えます」


 アリスからの嫌味に「うるせぇ」 と、返した涼介は自宅に居た。

 あの後、脱兎の如く走って脇道から脇道へと入って芦屋からは見られない様にして走って帰った涼介は周りを見回し、普段なら居る母親が居ない事に気付くとスマートフォンを取り上げて日にちを確認する。


 「今日は結婚記念日か……道理どうりで母さんが留守にしてる訳だ。て、事は明日の夕方まで帰って来ねぇなコリャ」


 「どう言う事です?」


 「もしかしたら、来年の3月頃に俺の弟か妹が出来てるかもしれねぇって事だよ……言わせんな恥ずかしい。って、事は……あった」


 リビングのダイニングテーブルを見ると、その上にはクリップで留められた5000円札と書置きが置かれていた。


 「やっぱり結婚記念日で父さんと出掛けたのか……夕飯の時、気兼ねなく酒飲めるな」


 「でも、その前に着替えたらどうです? 後、制服を洗ったらどうです? そんなに汚して、後で怒られますよ」


 アリスの言う通りであった。

 それ故、涼介はポケットの中身を出してからブレザーとズボン。それにワイシャツ、下着や靴下を全て脱いで全裸になると洗濯機に放り込み、洗剤と柔軟仕上げ剤を入れてスイッチオン。

 洗濯機が注水を開始すると、涼介は浴室へと入る。


 (さて、アリスの事だから回収班とガブリエラの隠れ家つか、前哨基地を発見してくれてる筈。肘と膝を折った甲斐があるってもんだ)


 あの戦闘でやり過ぎと言われても文句の言えぬ所業をしたのはひとえにガブリエラのバックアップチームを引き摺り出す為であった。

 物理的に動けない状態にした上で、左手だけ動けば、嫌でも味方を呼んで回収して貰わなければ動きようがない。まぁ、今回の場合、大激怒した事もあってアレだけの事をしたが……

 いずれにしろ、アリスがガブリエラの携帯電話から特定してくれる。


 (コレで敵……妖魔とやらを除いて、プレイヤーの拠点を特定出来た。後は展開次第で奴等とも戦う支度を進めれば良い)


 只々冷徹に合理的に思考を働かせ、展開を、状況を掌握する。

 それが涼介……否、ロウの戦いの展開の進め方であった。

 シャワーを浴びながら思考を巡らせた涼介は頭と身体を洗うと、温かな湯で満たされた湯船へと浸かる。


 (だけど、今回の件でエクソシスト側が報復に動く可能性が高い。最悪の場合、機関銃やらRPGやら持ち出して来そうだが……そこら辺の武装はどうなってんだ?)


 懸念材料が大き過ぎた。

 向こうは涼介を邪教徒、邪神の信奉者と見做してる。その上、涼介自身、エクソシストであるガブリエラを殺してないとは言え、右の肘と膝を圧し折ってしまってる。

 これ以上無い報復理由と言えるだろう。


 「ま、世の中なる様にしかならねぇ……殺し合いてえならトコトンやってやるだけだ」


 『敵ならあらゆる手段を用いて殺す』


 それこそ、涼介の異世界での生き方であった。

 だからこそ、たったコップ一杯の水を求めて殺し合う様な世界を生き延びる事が出来た。

 風呂から上がった涼介は雫を拭い去り、下着を着て洗い終えたばかりの制服等の衣類を窓を開けて物干し竿に干していく。

 それが終われば、荷物を持って部屋に戻り、煙草を1本吸って一服。


 「安っぽい月並みなセリフだけど、この為に俺は生きてんだな」


 「そんな事より、ガブリエラ・ファルネーゼの拠点とバックアップチームの居所が解りましたよ」


 「北浦和にある教会と、浦和にある教会だろ?」


 「知ってたんですか?」


 答えを言う前に答える涼介にアリスは驚きの声を上げる。が、直ぐに納得する。


 「この街は俺の地元だぞ」


 さいたま市は涼介の地元である。ならば、カトリック教会に属するエクソシストが利用するだろうさいたま市内のカトリック教会の場所を知っていても可笑しくはない。

 そんな涼介の言葉を補足する様にアリスは報告を続ける。


 「ピックアップチームと思わしき者達は北浦和の教会でガブリエラ本人を降ろし、教会の居住区と思われる場所へと入ったのを確認してから、浦和にある教会へと向かいました」


 「て、事は北浦和が前哨基地。浦和と大宮が後方支援並びに補給を担ってると見るべきだな。当面はその3箇所を重点的に監視……妖魔は余程の事が無い限り無視して構わん」


 アリスの補足から大まかな事を予測すると、当面の敵となるであろうと推測した涼介は監視を命じる。と、同時にピックアップチームの武器が何か? 問う。


 「ピックアップチームは武器を持っていたか?」


 「持ってました。機種はSIG553並びにMINIMIのパラトルーパーモデル。何れもサプレッサーを装着しています」


 その言葉に窓際で煙草を吸っていた涼介は渋い顔を浮かべてしまう。


 (確か……ヴァチカンを守護するスイス傭兵部隊がSIG550シリーズ愛用してたな。と、なるとバックアップチームはスイス傭兵部隊から引き抜かれた連中って所か? ガチのプロじゃねぇか!? つか、あんなガキの為にスイス傭兵部隊から部隊を日本に派遣するとかどんだけ力入れてんだ?)


 「どうしました? そんな大きな溜息を吐いて?」


 「あー? 敵にガチの軍事専門のプロ連中が集まってると思うと頭痛くてな……って、待てよ。夜中に芦屋をピックアップした連中も銃を持ってたか?」


 「えぇ、持ってました。何故か、自衛隊と警視庁しか使ってない筈の89が」


 アリスの報告に涼介は胃に痛みを覚えてしまった。


 「畜生……退魔師とエクソシストより、そいつ等の方がヤベェじゃねぇかよ!? 完全に官が絡んでやがる。こりゃ、あのクソアマ《千雨》が嫌な顔する訳だぜ……」


 「敵の規模が大きい上に練度も高く、エクソシストに至っては砕いてから凡そ数分で治ってるからですか?」


 「エクソシストや退魔師より、銃持ったプロ連中の方が恐いに決まってる。て、おい? アイツ、折れた所治ったんか!?」


 「スマートフォンから会話を傍受した所、その様です」


 アリスからのとんでもない報告に涼介は益々、頭を抱えてしまう。


 「エクソシスト側はアンデルセン神父実装済みかよ……面倒くせぇ」


 「貴方の事ですから倒せるでしょう」


 「今の装備じゃ出来ないと言わねぇけど、早めに武器調達せんとアカン」


 フィルター近くまで燃えた煙草を空き缶の灰皿に棄てた涼介はボヤく様に言うと、また大きな溜息。

 それから、また煙草をシガレットケースから取り出して咥え、トレンチライターで火を点すと紫煙を燻らせるのであった。







 榊原 涼介のクラスメートでもある時逆 千雨は殺し屋だ。

 それ故、キンバリープロセスと呼ばれる原産地を証明する制度を通さず、宝石を取り扱うバイヤーも知っていた。

 時逆 千雨はそんな違法なバイヤーであり、宝石コレクターでもある人物が経営する銀座の宝石商に来ていた。


 「お久しぶりです、澤木先生」


 「ええ、久しぶりね千雨ちゃん……アイツに連れられて以来かしら?」


 流石に銀座の一等地に置く宝石商に尋ねる事もあって、千雨は仕立ての良い上等なオーダースーツに身を包み、身嗜みをキチンと整えた姿であった。

 そんな千雨ににこやかに対応する和服の女性は穏やかな笑みを崩さず、話し掛けて来る。


 「私に売りたい品があると聴いたけど、その前に尋ねるわ……ソレ、キンバリープロセスを通してる?」


 千雨は何も言わず、静かに首を横に振る。


 「だとしたら、価値は期待出来ないわね」


 「コレを見てもですか?」


 千雨は上等な生地で作られた布製の小さな袋から件の品を出して見せる。

 ソレを見た瞬間、澤木と呼ばれた宝石商のマダムの表情が一瞬だけ固まる。が、そこは銀座の一等地でやっている宝石商。

 直ぐに顔色を戻した。


 「……見ても良いかしら?」


 「お好きにどうぞ」


 澤木はそう言われると、白い絹製の手袋を両手に嵌め、目の前に置かれたダイヤモンドを手に取り、目にモノクル型のルーペを嵌めて見詰め始める。

 10分近く見た澤木はルーペを外すと、真剣な眼差しで千雨を見詰める。


 「コレを買取って欲しいのね」


 「私に持ち込まれましてね。ものが物ですから、恩人である貴女へ最初に持ち込んだ次第です」


 「……3億なら直ぐに払えるわ」


 「6億。と、言いたい所ですが、僕に宝石鑑定を教えてくれた貴女への礼も兼ねて5億でお譲りします」


 「5億とは吹っかけた物ね」


 「サイズは3.7カラット《約10ミリ》でカラーは見ての通り文句無しのS。その上、最も貴重なレッドダイヤモンド……他のバイヤーなら最低でも10億払っても元は取れる代物です。寧ろ、安いくらいでしょう?」


 通常のダイヤモンドならば百万円行けば良い代物である。

 しかし、今この場に居ない涼介が千雨に担保として渡した代物はカラーダイヤモンド。

 しかも、世界に30とないとされるレッドダイヤモンドだ。

 過去にオークションで出品された最大級のサイズと品質の物で22億円の値が付いた事もある。

 涼介が千雨に渡した代物はそう言うレベルの品なのだ。


 「嫌なら、僕はコレを貴女の嫌いな香港人に売りに行きます。彼なら何も言わずに10億以上払ってくれる筈ですから……」


 「6出すから……今この場で頂戴」


 「なら、この口座に振込んで下さい」


 千雨から差し出されたメモを見ると、澤木は直ぐにタブレット端末を手に取って操作。

 タッチパネルをポンポンと押せば、千雨の指定した口座に6億円の振り込み手続きが完了。

 千雨は自分の指定したペーパーカンパニーの口座に6億円が振り込まれた事を確認すると、にこやかに告げる。


 「確認しました。コレでソレは貴女の物です」


 「えぇ、良い買い物もしたし、生徒が優秀なバイヤーにもなれる面も見せてくれたからご祝儀よ。貴女、今の仕事辞めて私の下で働かない?」


 「そうしたいのは山々なんですけど、しがらみが多過ぎて無理なんですよ」


 千雨はそう言うと立ち上がり「お忙しい所ありがとう御座いました」 そう礼を告げると、オーナールームを後にする。

 そして、宝石商から出て地下鉄……東京メトロ日比谷線に向かい、私物のスマートフォンでレッドダイヤモンドの本来の持ち主へメッセージを送る。


 『2、3日中に用意する』


 直ぐに返信が来た。


 『今日中に欲しい』


 『無理言うな』


 『短いの《ショートカービン》と小さいの《拳銃》だけでも良い。その分持って行って良い』


 (どれだけ切羽詰まってるのさ……放っておけば勝手に死ぬ。でも、そうなると僕の正体をバラそうとしやがるからなぁ……)


 「あぁ、面倒臭い」


 ボヤいた千雨は溜息を漏らすと、自分の地元である広尾へと向かうのであった。

 銀座から広尾駅へは直ぐに着いた。

 駅を後にし、とある高層マンションに入ると、カードキーでエントランスのロックを解除。そのままマンションの中へと入り、エレベーターに乗り込む。

 そして、28階で降りると幾つもの扉を通り過ぎて行き、目的の扉の前に立った。

 扉をカードキーと暗証番号で開けると、中へと入る。

 フェラガモの靴を脱いでシューレストを入れ、さる人物が仕立ててくれたオーダーメイドスーツとワイシャツを脱いで専用のハンガーに掛け、クローゼットに収めた所で浴室へと入ってシャワーを浴び始めた。

 10分ほど浴び、身体と頭。それに顔等を念入りに洗うと浴室を後にして身体を拭いて着替える。

 念入りに雫をバスタオルで拭い落とし、未だ濡れる亜麻色の髪をドライヤーで乾かすと、スポーツブラとパンツを履く。


 「さてと……癪だけど、アイツの為に武器を用意してあげるか」


 そうボヤくと両手に革製の手袋を嵌め、部屋に似つかわしくない金属製の重厚なロッカーの前に立った。

 ポチポチと暗証ロックのキーパッドを押し、暗証番号を入れるとカチャッと鍵の開く音がする。

 そのままロッカーの分厚い金属の扉を開けると、中には複数の自動小銃と拳銃。それに弾薬や手榴弾類に防弾ベスト等の戦闘用品が多く収まっていた。

 千雨は指紋を付けぬ様に嵌めた革手袋越しに何丁かの拳銃と、ショートカービン。弾倉等を取り出し、テーブルに並べて行く。

 それが終わると、とある所へと電話。


 「部屋を予約したい」


 『畏まりました。いつものお部屋でよろしいですね?』


 「それで構わない。後、ディナーも一人分予約したい」


 『畏まりました。御時間は?』


 「7時半にフーチャオ」


 『御待ちしております』


 其処で電話を切ると、千雨は大きなスーツケースを取り出して支度する。

 スーツケースに銃床を折り畳んだ状態のショートカービン……SIG553を6本の弾倉と3本のシュアファイア製のサプレッサーと共に収めると、サプレッサーを取り付ける為にネジが切られた延長銃身を装備したGLOCK19Xと呼ばれるオーストリア製の拳銃を、4つの弾倉とセミジャケットのホローポイント仕様の9ミリルガー弾200発と共に通常の円筒状とは異なるオスプレイ9と呼ばれるサプレッサーを3本収める。

 それからその上に着替えや制服。それに帰って来るまで着ていたスーツとワイシャツをカバーに入れ、勉強道具一式も収めてからスーツケースを閉じると、パンストを履いてから白いワイシャツを纏い始めた。

 そして、ワイシャツのボタンを留めてスーツのズボンを履いてベルトを締め、上着を纏ってボタンを留める。

 最後にGLOCK26を手にし、10発の9ミリルガー弾が装填された弾倉を叩き込んでスライドを引くと、ズボンの腰辺りに差し込んで上着の裾で隠した。そうして、支度を終わらせた千雨はスーツケースを引きながら隠れ家である高層マンションの一室を後にするのであった。

 勿論、客にメッセージを送りながら。





 「マスター、奴からメッセージが来ました」


 スマートフォンから響くアリスの声に制服上下とワイシャツをアイロン掛けしていた涼介は、アイロン掛けを一時中断。

 スマートフォンを見る。


 『1830ホテル トゥーレ東京』


 スマートフォンの上部にある時計を見れば、今は16:19であった。

 涼介はアイロン掛けを続ける。そうして、黙々と湿った制服やワイシャツを自衛隊宜しくプレスし終えると、ハンガーに掛けて吊るす。

 アイロンとアイロン台を片付けた頃には26分になっていた。

 パンツとシャツだけと言う下着姿のままであった涼介は二階に上がり、自分の部屋に入るとベッドに座って煙草を吸い始める。


 「トゥーレって確か、超高級ホテルだよな……やっぱり、元々金持ちなんかアイツ? それとも、殺し屋って儲かるんかね?」


 「トゥーレグループを調べる一環で支配人達のスマートフォンを覗きましたが、彼等は裏社会に生きる者達へ安全な隠れ家を与える役目を担ってる様です」


 「マジかよ……ジョン・ウィックの世界じゃん」


 先んじて調べてくれていたアリスの報告に涼介は驚くも、意外と面白そうに感じてしまう。

 しかし、殺し屋達の巣窟へ行くとなるとゾッとしてしまう。


 「着いた瞬間、ハチの巣にされたりしねぇよな? ジョン・ウィックみたいにホテル内での戦闘はNGだったりするよな?」


 「普通に考えれば、ホテル内での戦闘を許せば警察……司法の介入は免れません。それに表向きは真っ当なホテルとして商売してるみたいですからね……ホテル内での戦闘は禁止。した場合、制裁として処刑されるンじゃないでしょうか?」


 「益々、ジョン・ウィック染みてきたな……でも、冷静に考えればその通りだよな」


 アリスの言葉に納得した涼介はスマートフォンで時間を確認。

 未だ16時32分であった。が、涼介は万が一の事を踏まえて直ぐに出れる様に支度し始めた。

 靴下とジーンズを履き、上衣には半袖の麻製のサファリシャツを着ると、腰の辺りにダガーナイフを差し込む。

 裾でナイフを隠すと、家の鍵と春休みに免許を取得し、バイトして購入したバイクの鍵とフルフェイスのヘルメット。そして、大きなリュックサックを背負って部屋を後にした。

 履き慣れたトレッキングシューズを履き、フルフェイスヘルメットを被ってバイザーを下ろすと、ポッカリと空いた駐車場の奥へと歩み始める。


 「久しぶりに乗るけど、燃料とか大丈夫やろか」


 「不安なら途中で給油したらどうです?」


 「それもそうだな」


 他愛の無い遣り取りと共に黒いバイク……カワサキのニンジャ 250Lにキーを挿し込んで捻り、スターターを蹴飛ばしてエンジンを始動。

 バイクスタンドを蹴り上げ、前後のタイヤを地面に着地させるとニンジャに跨って、クラッチを入れてアクセルを握り込んで走り出す。

 与野本町駅方面へ走り、芦屋達の拠点でもある円成院の脇を通り過ぎると、県道215号線を3分ほど走る。すると、上峰から国道17号線……またの名を新大宮バイパスを通って東京へと向かう。

 その後は浦和南のインターチェンジから、美女木びじょぎジャンクションに入って首都5号線を通って板橋から熊野町。

 熊野町から竹橋ジャンクションから首都都心環状線に入り、一ツ橋ジャンクションを通過して神田橋ジャンクションから首都八重洲線に入ると丸の内で高速道路を降り、都道406号線と東京国際フォーラムのある都道402号線を通過。

 途中、セルフのガソリンスタンドに立ち寄ってハイオク燃料を満タンにしてから晴海通りを通って銀座に着くと、涼介はそのままホテル トゥーレへとニンジャを走らせた。そうして、ホテル トゥーレの地下駐車場にニンジャを停めるとキーを捻ってエンジンを黙らせた。

 そして、バイクスタンドを立てると、涼介はホテル トゥーレの中へと入る。


 「未だ17時27分……予定より1時間余ったけど、どうするか?」


 「カフェで時間を潰したらどうです?」


 「そうするか……何階だ?」


 「エントランスフロアです」


 エレベーターのボタンを押し、直ぐにやって来たエレベーターに乗り込んだ涼介はE……エントランスフロアを意味するボタンを押し、扉を閉める。

 程なくしてエントランスフロアに着いた。


 (ウワァ、俺の場違い感パネェ……周りの連中、明らかに真っ当な気配じゃねぇ癖にパッと見は仕立ての良いスーツ着てたりするから傍目から見れば、金持ちのビジネスマンにしか見えねぇし、俺のドレスコード最悪なの草生え散らかすわ)


 周りは仕立ての良いピシッとした上品なスーツや制服に身を包み、気配も剣呑な物であった。

 それに対し、涼介はサファリシャツとジーンズと言ったラフな姿。

 明らかに場違い感が凄かった故に、涼介は内心で笑ってしまう。が、そんな事を気にせず、ロビーにあるカフェテリアの席に座ってメニューを眺める。


 (コーヒーや紅茶が1杯1500円てボリ過ぎだろ、サンドイッチは2500円にステーキサンドは3000円て……まぁ、コレも一つの経験として愉しんでおくか)


 涼介は静かに手を挙げる。すると、ギャルソンが静かに脇へと早足に歩み寄って来る。


 「御注文を御伺い致します」


 「アールグレイを一つ。それとステーキサンドを」


 「畏まりました」


 ギャルソンは直ぐに去った。

 涼介は目の前に灰皿が置かれている事に気付くと、シガレットケースから煙草を取り出し、ソレを咥えて火を点す。


 「ふぅぅぅ……」


 煙草を3本ほど吸い、時間を潰してると注文の品がやって来た。


 「御待たせ致しました」


 目の前に置かれた4つに切り分けられたステーキサンドと、湯気の立つミルクティー。

 涼介はアールグレイの注がれたティーカップを手に取り、縁に鼻を近付ける。


 (良い香りだ。ティーパックとは違って濃厚なベルガモットの薫りがする)


 アールグレイの独特な薫りを一頻り愉しむと、一口飲む。


 (美味い。味が濃厚でありながらも、スッキリとした味わいだ……この茶葉欲しいなぁ。割と真面目にカルディとかで売ってねぇかな?)


 そんな事を想いながら白磁のティーカップを置いた涼介はステーキサンドを一つ手に取り、齧り付いた。


 (メチャクチャウメェ! 肉は火は通してあるもののレアな焼き加減なのに柔らかいし、肉のソースのオニオンの風味も相まって後味も良い。あぁ、コレなら3千円払っても惜しくない)


 涼介は満足気に1つ目のステーキサンドを平らげると、フレンチフライを頬張る。


 (ポテトもポテトでマックとかと違って塩を少なめにして芋そのものの味を引き立ててる。マックだと塩でベタベタ、しょっぱ過ぎるんだよなぁ……)


 ゆっくりとステーキサンドとポテトを頬張り、アールグレイを飲んで至福の時を過ごしていると、近付いて来る気配があった。


 「こんな所で暇潰しかい?」


 其処に居たのはスーツに身を包んだ千雨であった。

 千雨は呆れながら前の席に座ると、ギャルソンにダージリンを注文する。


 「よぉ、ここのステーキサンド最高だわ……お前も食うか?」


 「生憎と僕はディナーを予約してるから余計なのは食べたくないんだ」


 3つ目のステーキサンドとポテトを平らげた涼介は口の周りをナプキンで拭うと、千雨に問う。


 「で、迎えに来てくれた訳か? 未だ時間じゃないだろ?」


 「単に紅茶を飲みたくなっただけさ……」


 「御待たせ致しました」


 千雨はギャルソンからダージリンの注がれたティーカップを受け取ると、涼介の様に薫りを愉しんでから一口飲み、用件を切り出した。


 「ブツだけど、カービンと拳銃は僕が一番良いのを選んで用意した」


 「誰かに聴かれたらどうすんだよ?」


 「君の優秀な"秘書"がとっくに此処の正体を調べ上げてるんだろ? だから、気にしなくても良い」


 千雨はアリスの存在を知っていた。

 理由は単純……涼介と千雨は過去に殺し合ったからだ。


 「お前から連絡来た時に知ったばかりだ。しっかし、殺し屋御用達のホテルなんて実在するんだな」


 「需要ある所に供給ありって奴さ……あ、君の担保は現金に変わった。約束通り、僕の取り分として三分の一を貰った」


 「幾らで売れたん?」


 「6億」


 流石の涼介も驚き、アールグレイを噴き出しそうになった。が、直ぐに気を取り直してティーカップを置いた。


 「……マジ?」


 「大マジ。だから、取り分的にお釣りが来るレベルだけど約束は約束……2億は貰った」


 「そりゃ構わねぇけどよ……しっかし、6億か……あの遺跡から盗んだブツがそんな高値になるとは思わなかったわ」


 「だって、アレはレッドダイヤモンドだよ? 物によっては10倍の値が付いても可笑しくない代物だしね……」


 「……アレ、ダイヤモンドだったのか。てっきり、ルビーかと思ってたわ」


 「素人目から見たら、ルビーとレッドダイヤは同じに見えるからね……さて、お互い飲み終わった事だし行こうか。あ、ここの払いは僕が持つ」


 そう言うと千雨は2枚の伝票を持って、レジの方へと赴く。

 涼介は後を追うように立ち上がると、千雨と共にホテルの中を歩み進む。そうして、千雨の部屋へと入ると、千雨は早速と言わんばかりにベッドに置いたブツを指し示して言う。


 「先ずはショートカービン。SIG553……照準器にリューポルドのHAMRとデルタポイントを装着してるから遠近で対応可能。チークピースも取り付けてあるから狙いやすい筈だよ」


 涼介はSIG553にシュアファイア製のサプレッサー……モンスターをセットしてかはグリップを右手に取ると、左手は短いフォアエンドに軽く添える様に持ち、グリップを折り畳み式のスケルトンストックを右肩に軽く押し当てて構える。すると、上部に取り付けられた小型のスコープ……HAMRが覗き難かったのか、涼介は一旦構えを解くとスコープの位置を調整し始める。

 何度もスコープの位置をズラし、丁度良い位置を見付けると其処でマウントを固定。再び構え、スコープを覗き込みながら千雨に尋ねる。


 「このスコープの倍率は?」


 「倍率は4倍で固定」


 「レティクルに刻まれた数字は4なら400メートル。6なら600メートルを狙えるって事か?」


 「そうだよ。100から300メートルはその赤い点に合わせて撃てば大概は当たる」


 スコープ……HAMRを覗いた時に見える数字の意味を確認すると、今度はHAMR上部に取り付けられたリフレックスサイト……デルタポイントを覗き込み始めた。


 (覗き込んだ時に見える三角形に標的を合わせれば当たるって所か……コレは至近距離で接敵した時専用だな。距離開いてるならスコープ《HAMR》本体で狙うのが一番だ)


 一頻り構え、照準の具合を確認した所で今度はSIG553を構えたまま千雨に頼んだ。


 「チャーハン引いてくれ」


 「良いよ」


 その一言と共に千雨がチャーハン……チャージングハンドルを引くと、涼介は引き金に指を掛け、軽い力をゆっくりと込めて行く。すると、少ししてガチンと撃鉄が開放され、撃針が勢い良く前進する。


 「もっかい引いてくれ」


 「はいよ」


 再び、千雨の手によってチャージングハンドルが引かれると、今度は引き金をゆっくりと戻し始める。そうして、戻して行く内に固くなり始めた場所で指を止めた涼介は、再び指に力を僅かながら込める。

 小枝がポキっと折れる感触と共に撃鉄が開放され、撃針が勢い良く飛び出してガチンと金属音を響かせると、涼介はサプレッサーを外してからSIG553をベッドの上へと戻した。

 そして、1丁の角張った樹脂製の拳銃を手に取る。


 「オススメの拳銃がコレか? 何か、玩具っぽいし妙に軽いな……反動キツそうだ」


 「GLOCK19X……2018年に製造された最新のモデルだよ。装弾数は通常なら9ミリ ルガーが17発。延長マガジンを使えば19発、GLOCK18のロングマガジンを使えば33発入る。反動キツく感じたり、銃自体重く感じるなら筋トレして身体作りするしか無いけど、その身体を見るに君に必要無い」


 身も蓋もない事を言う千雨を他所に何度もスライドを引いては戻して調子を確認すると、弾のない状態で何度も引き金を引いてSIG553の時と同じ様に引き金の調子を確認しつつ、両手や片手で何度も狙いを定める。そうして、確認が終われば、今度は脇に置かれていた角張ったサプレッサー…|オスプレイ9をネジの切られた銃身にセットして再び構える。

 サプレッサーを取付けた状態で何度も構え、具合を確認した所でサプレッサーを外すと、背負って来たリュックサックにGLOCK19Xとスケルトンストックを折り畳んだSIG553をサプレッサー等のオプションと共に収める。

 しかし、肝心な物が抜けていた。


 「弾は何処だ?」


 「ホテルのクロークだよ……流石に渡したと同時にズドンとか嫌だしね」


 「信用ねぇな」


 「この世界、ウッカリ信用したら裏切られるか、利用されるかが世の常だから仕方ないね」


 「それもそうか。あ、俺の金は暫く預かっててくれ……俺が死んだ後なら45%は赤十字に寄付して、残り45%はバーキー財団。残った10%はお前が好きに使って良いから」


 そう言うと涼介はブツを収めたリュックサックを背負い、千雨からクロークの引き換え用コインを受け取って部屋を後にした。

 残った千雨は一仕事終わったと言わんばかりに椅子に深く座り込むと、ジタンを1本シガレットケースから抜き取って火を点して仕事後の一服に勤しむ。

 そして、時間になれば最上階にあるチャイニーズレストラン……福州フーチャオ飯店へと赴くのであった。



 

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