お弁当
朝の5時目覚めた私は、幸せで満たされていた。
「お弁当作ろう」
起き上がって、顔を洗う。
見慣れた肉の塊に、愛しさが
人にわかってもらうと言うことがこんなに幸せだと思わなかった。
「ふふふふーん。ふーん」
鼻歌まで、歌ってる自分に驚いた。
あっ!!!
恥ずかしくなってしまった。
甘い玉子焼きが、焼けた。
唐揚げ、昨日帰ってきて仕込んでたんだ。
それをあげる。
二人は、3つぐらい食べるよね?
私は、2つにしとこ。
お野菜もいるよね。
レタスを拭く。
ご飯を冷ますのに、お弁当箱にいれて置いておく。
保冷剤代わりに、小分けに冷凍庫してるきんぴらいれよ。
はあー。
楽しくて、幸せだ。
自分の為に作っていた時より、かずさんと
私は、両親の仏壇にお茶を持っていく。
「素敵な人と、友達にしてなれました。これからも、見守ってね」
手を合わせた。
用意しなきゃ
私は、お弁当を冷ましてる間に用意をした。
おかずをつめて、袋にいれる。
さあー。行こう
いつも、歩く道がキラキラして見える。
足が痛いのも、好きになれる。
スーパーの前についたのは、七時半だった。
「おはよう、りーちゃん」
美陸君は、私を見つけて走ってきた。
出勤してる人が、私達を見ながらコショコショ話してる。
「おはよう」
「また、声小さいね」
美陸君は、私を人がいなさそうな場所に引っ張っていってくれた。
「ごめんね、大きな声出しちゃって…。明日からは、メッセージするから」
気を使わせてしまった。
私に幸せをくれる美陸君に気を使わせてしまった。
「大丈夫です。私が、自分に自信が持てないだけですから…」
「こんなに綺麗なのに、自信持ちなよ」
美陸君は、ポンポンって頭を優しく叩いてくれた。
「ありがとう」
「その笑顔が一番だよ」
「はい、お弁当です。」
「ありがとう。じゃあ、僕は行くね。」
「頑張ってね」
「りーちゃんも、頑張ってね」
私は、美陸君に手を振った。
昼休憩に入るときに、かずさんにはお弁当渡そう。
私は、更衣室に入る。
「あんたさー。自分に綺麗な彼氏がいるって、わざわざ自慢したいの?」
誰か知らない人に、更衣室でそう言われた。
「何の事でしょうか?」
私は、ロッカーにお弁当をいれる。
「だから、あんたみたいな豚が、イケメンの彼氏いますってアピールすんなって言ってんの」
ドカッ…
「いたっ」
私は、床に座り込んだ。
「ほんと、目障りな豚ドブス。」
森ノ宮さんも、居たんだ。
「崎谷さんに言ったら、殺すから」
その目は、本当にやりそうな目をしていた。
怖くて、全身が震える。
「行こう」
「はーい。」
声色がかわった二人が出ていった。
怖かった。
私は、服を着替えた。
開店前に、掃除をしなくちゃいけない。
「崎谷さん、おはようございます。」
「おはよう」
崎谷さんは、私に近づいてきた。
「あの、葉月さん、階段に、ガムついてた。あそこの。一緒に行こうか?」
「いえ、大丈夫です。片付けてきますので」
「よろしくね」
崎谷さんは、誰の目も気にせず笑ってくれた。
私は、階段に向かった。
あー。
これか…。
ドンッ…。
バランスを崩しそうになって、恐怖心が襲ってきた。
階段の手すりにうまく掴まって、落ちずにすんだ。
怖い、怖い、怖い。
『葉月さん、転けたら二度と歩けなくなる事を覚えておいてください。』
先生に言われた言葉を思い出していた。
誰かが、ぶつかってきたのに気づかなかった。
「葉月さん、大丈夫?」
崎谷さんが、手を伸ばしてくれた。
「器用に片足で、よく止まれたね」
「歩けなくなるから」
「えっ?」
「転んだら、二度と歩けなくなるから」
崎谷さんに安心して、泣いてしまった。
「そうだったんだね。気をつけなきゃね。」
崎谷さんは、私の腕を掴んで自分の元に引き寄せてくれた。
「怖かったね。次からは、俺がガム取っておくから」
暫く、私は、動けなかった。
落とされそうになりました。なんて、口が裂けても言えなかった。
「もう、大丈夫です。」
私は、崎谷さんから離れて、ガムをヘラで取り除いた。
「あー、時間だわ。じゃあ、行くね。」
そう言って、崎谷さんは戻っていった。
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