俺の秘密

「お帰り、かずくん」


「ただいま、美陸みろく


俺の秘密。


それは、彼氏がいる事です。


何か世の中的に、受け入れられつつありますが…。


俺の親は、絶対に許しません。


「あんた、お見合いどうなっとるんや?行かんとすっぽかしたやろ?馬鹿たれがー。」


何か、どこの言葉がわからない言葉を最近喋る母。


電話以外で一度もお会いしていません。


「かずくんママの留守電ヤバイね」


「そうだね」


毎回、留守電いれてくるけどお見合いばっかの話でダルいわ。


「カミングアウトしてないんだよね。僕も、言えないけど…。」


「言えないよ。頭固いですから」


「だよねー。」


美陸は、俺に抱きついた。


「今日の仕事疲れたから、よしよししてよ。」


「よしよし」


美陸の仕事は、あまり知らないけれど、俺より稼いでるのは確実である。


「収入、多いよな。美陸」


「また、それ?収入の多さは関係ないでしょ?僕は、かずくんを愛してるんだから」


「ごめん。スーパーで働いてる俺を選んでくれるなんてありがとう。」


「あの日、スーパーで探し物してた僕に声をかけてくれたのはかずくんで、かずくんの見た目に一目惚れしたのは紛れもない事実です。」


「美陸が、あんなに通ってくれるから俺も告白しちゃったんだよ。」


「何ヵ月も通ってよかったよ。」


美陸は、キッチンに行って冷蔵庫を物色してる。


「ほれ、惣菜」


「ありがとう、買ってきてくれて、ありがとう」


「うん」


皿にうつしかえてくれるんだよ。


俺も美陸も、料理が全くできない。


「はい、できたよ」


「いただきます。」


毎日、惣菜が俺達のご飯だ。


「ねー。かず君はさ、何でスーパーで働いてるの?」


「理由はない。バイトして働いてて、そのままスライド方式だな」


「アハハ、何それ?スライド方式」


「俺、夢も何もなかったから。ただ、真面目なのは取り柄だったから…。しっかりバイトこなしてたら、前の店長さんが正社員にならないかって言ってくれた。」


「そっか」


「そうだよ。」


そう言いながら、唐揚げを食べてる。


「美陸の仕事はなんだっけ?」


「いやー。いいの、いいの。気にしない気にしない。」


「不動産関係だよな?書類見えたから、前」


「そうだよ。でも、気にしないでよ。僕は、今の職場大好きだから…。仕事をプライベートに持ち込みたくないから」


「そうだったな。聞かないよ」


俺は、ビールの缶を開けて飲む。


「かずくんは、明日休みだよね」


「うん」


「どっか行くの」


「わかんないけど、その予定」


「じゃあ、僕もなるべく早く帰ってくるよ」


「ああ」


俺は、トンカツを手に取った。


揚げ物が、多いよな。


「もう、一年付き合ったら一緒に住まない?」


「そっか、二年以上続いたことないんだったな。」


「かずくんは、一年以上ないんでしょ?もう、とっくにクリアしたでしょ?」


「そうだな。じゃあ、来年も一緒にいたら住もうか」


「うん」


美陸が嬉しそうに笑う。


綺麗な顔してるんだよ。


女の子みたいな綺麗な顔


身体のつくりは、ちゃんと男なのに、そこがすげー好き。


見た目だけじゃなくて、美陸は、とにかく何にでも、誰にでも優しい。


「こないだの人、無事に送れた?」


「目が見えなかった人ね。うん、ちゃんと家まで送ったよ」


「なら、よかった。」


「うん」


屈託のない笑顔で笑う。


俺は、この顔が一番好きだ。


美陸は、障害があるとかないとかの見た目はもちろん。


太ってる、痩せてる、不細工、綺麗。


何にも気にしない。


俺は、そこが一番好きなんだ。



テレビ見てて、俺が最近この人太ったよね?って言うと美陸はいつもそうかな?太ってないよって言って笑う。


「見た目気にしない、美陸が俺は、一番好きだな」


「見た目なんかどうでもいいよ。そんなの自分で選べるものじゃないのに、そんなものに自分の人生を振り回されたくない。」


「そうだよな」


俺と美陸は、飲んだ。


酔っぱらって寝てしまった。


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