王子様になれなくたって君を幸せにはできるだろ?

三愛紫月

聞かれちゃった、秘密

「待って、美陸みろく。ちゃんと愛してるって。わかってるから、大好きだよ。チュー」


プー、プー


はぁー。疲れた。


毎度、毎度、昼休憩にこの電話。


する為に、わざわざこの階段でかけてる。


でも俺は、美陸みろくが大好きで鼻血でるくらい好きだ。


あっ、なんだ。


いたのですか……。


「聞きました?」


「お疲れ様です。」


声、ちっさ。


「いや、その聞いてましたよね。今の電話」


「いえ」


いや、いや、いや、嘘だろ?


「嘘だよね」


「いえ」


なんで、いっつも栄養ないもの食べてるの?


今日、いないと思ってたからスピーカーで話しちゃったよ。


ダイエットの話ばっかりされてるから、ここで食べてんの知ってるよ。


「職場で、痩せれる方法言われたから、そのご飯か?栄養ないだろ?そんなん」


「誰もわかってくれない。」


泣かしちゃったな、俺


「何を、わかってくれないの?」


「努力しても一キロも痩せないって、誰もわかってくれない。」


「痩せない体なんだね。」


「わかってくれるの?」


「少なくとも俺は、あなたがこんなご飯を毎回食べてるのを知っていますよ。」


「そうですか…。」


「秘密聞かれたついでに、俺と遊ばない?明日休み?」


「はい」


「じゃあ、決まり。スマホ貸して」


「はい」


「はい、番号いれたから鳴らして」


「はい」


そう言って、鳴らしてくれた。


「俺の名前は、崎谷一道さきたにかずみちよろしくな。そっちは?」


「私の名前は、葉月梨華はづきりかよろしく」


「じゃあ、明日な」


俺は、階段を降りていった。


やっぱり、あの人だ。


「リカちゃん人形って、スタイルバツグンなのにあいつはないよな。」


「掃除の新しい人、太りすぎだよな」


「邪魔なんだよ。デカくて」


「おまけに足も悪いだろ?引きずっててさ。余計に邪魔」


酷い事を、若いバイトが言ってるなって思ってた。


誰か知らなかった。


学生に毛がはえたぐらいのクソガキが言ってんじゃねーよって思ったんだよ。


複合施設にあるスーパーで働いてる俺。


「崎谷さん、お疲れ様です」


「お疲れ様」


「もう、あがりですか?」


「うん」


「気をつけて帰って下さい」


「ありがとう」


学生時代のアルバイトから、正社員になった。


夢なんか何もなかったし


希望なんか何もなかった。


そんな俺が、見つけたのがさっきの人だった。


美陸みろくに告白するか悩んでた。


こんな小さな街じゃ、すぐに噂になってしまうって…。


だけど、あの人が声に出して呼んでたものを聞いてしまった。


俺は、決断した。


美陸みろくに告白しようと、38歳なのに、10歳も下の美陸に告白をしました。


あの人が、読んでいた話が少し耳に入った。


「愛しています。どんな姿でもあなたを愛しているのです。お姫様は、王子様の求婚にこう言いました。あなたと私じゃ釣り合わない。年齢的にも、容姿も、それでも私といたいのですか?王子様は、お姫様の言葉に私はあなたを愛しています。あなたの愛を受け取れない私など生きてる価値もないのです。」


その物語は、何なのだ?


?マークは、たくさん飛んだけれど…。


でも俺は、それを聞いて美陸に告白をできたのだ。


間違いなく真実だ。


店長とかになれたら、あの人を守ってやれんのかなー。


って、そっから見る度思ってたな。


太っていて、足が悪い、それだけで嫌われて文句を言われる。


そんな必要があるのだろうか?


太ってると価値がないみたいな言い方をするやつがいるけど、俺はそんなやつが嫌いだ。


見た目だってそう、綺麗じゃなきゃかっこよくなきゃ、価値がないって言ってるやつがいたな。


俺は、大嫌いだった。


見た目で人を判断するなと思った、そのせいで俺は、どれだけ遊び人扱いされた事か…。


彼女は、あの見た目で何を言われてきたのだろうか?

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