円環を断ち切る剣
Enju
神の去った地
「はらいたまえー、きよめたまえー……」
神主さんが独特のイントネーションで唱える
ここは、とある山の中腹あたり。山とはいっても全長1kmにも満たない
そんな山の中の、人通りのある辺りから少し離れた場所に、小さな神社があった。神社といっても鳥居と小さな本殿、それを繋ぐ石の道がある程度で、僕は「お
何を
そんな感じで1年前くらいまでは、僕もおじいちゃんも頻繁にここを訪れていたけれど、僕が中学生になって野山を駆け回って遊ぶことも少なくなり、おじいちゃんも腰の病気であまり動けなくなると、このお
僕はお
「……かしこみーかしこみーまをーすーー」
「ここにいらっしゃいました神様は、今ここを離れています。これから
そう神主さんが説明してくれる。
「じゃあ、お
僕は隣にいるおじいちゃんに聞く。
「いや、崩れたりしたら危ねっから取り壊しだ。このあと田中さんが来っから。」
田中さんは建物を解体したりする、近所の工務店のおじさんだ。神様がいなくなっても建物が残れば……なんて淡い期待をしていたけど、仕方ない。自分はもうほとんど来ないくせに、無くなってほしくないなんて、わがままな事だとは分かってる。
「じゃあ、僕も壊すところを見ててもいいかな?」
ならばせめて、お
「あん?いやーどうかな、邪魔だし危ねえと思うが……」
「いいんじゃないですかね、桑原さん。」
おじいちゃんが難色を示す所に助け舟を出してくれたのは、実際に取り壊しの工事をするという田中のおじさんだった。正装で来ている他の人たちとは違って、いつも通りの作業着姿だ。
「お、田中さん。早かったね?」
「午前の仕事が無くなってね。んで、友也くん、もし良かったら、神社を解体するのを少し手伝ってくれるかな?」
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