第18章始まりの歌
宮古島への着陸準備が始まった。
シートベルト着用のアナウンスとランプが点灯した。
雲海からやがて地表、海が見えてくる。
その海を見てタケシは思わず感動に包まれた。
「すげーな。。。写真で見たようなエメラルドグリーン。。。こんな場所が日本にもあったんだ。。。」
壮大に広がる海の中に島が見えてきた。徐々に
滑走路に近づく。
海は白波が岸壁に打ち付け見たこともない
景色に圧倒されたタケシだった。
何かはじまる。。。いや、何かを変えたい。
少しの期待と不安がタケシを襲う。
しかし、全てを変えるしかないんだと心に決めたのであった。
空港ロビーに出ると正面上には長方形のモニターがあり、観光の案内が流れてる。
タペストリーにはようこそ宮古島へと書かれてあとあった。
沖縄民謡がながれ、かりゆしウェアを着た空港関係者や観光関係者
11月末のこの時期であるのにも関わらず気温は
20℃。
本土を出発する時は寒かったから、厚着をしていたが汗が出るくらいであった。
湿度はあまりなく上着をぬぐことによって心地よい暑さに変わってゆく。
観光で来る人々はホテル関係者やツアー関係者が迎えに来ていたが、タケシは移住目的であった為、迎えに来る者はいなかった。
指定されたホテル本社までタクシーで行くしかなかった。
知らない土地であるため、バスの乗り方も知らない。ネットで調べて見るもののスーツケースとキャリーバッグ二つを持って歩くのにも約2時間はかかる距離であった。
宮古空港玄関を出てタクシーを探した。
やっと見つけて乗り込み運転手が声をかけてきた。
「ようこそ宮古島へ。どちらまで?」
「シギラリゾートブリーズベイオーシャンまで」
「お客さんは旅行ですか?しかし、大きな荷物二つだからさ、リゾバかなんかかな?」
「いや、リゾバと言うより移住です。」
「そっかそっかー、移住かね。今は宮古バブルだからいい暮らしできるし、島人はみんな人見知りが多いけど懐に入ってしまえば住みやすい場所だからさー。よくいらしたねー」
沖縄県民特有の方言とイントネーションな話し方がタケシには心地よかった。
滑走路を横に走りながら街にはいり
街にはドンキーやイオン系のスーパーなどがあった。
「へぇードンキーやBIGがあるんですね。あれ?
コンビニはファミマしか見当たらない。。。」
「本土と暮らしはほとんど変わらないよ。コンビニはね?沖縄本島にセブンが来たみたいだけれど
宮古にはファミマしかないんだよ。でも、雨風、台風が来たら物資が届かないから、何もかもなくなるんだよねー」
「何もかもなくなるって。。。」
「海や空が落ち着くまで品物がなくなるわ」
「マジっすか。。。」
「マジやマジ」
そんな会話をしながらやがて街を抜け
サトウキビ畑ばかりある道に差し掛かった
所々に建設中のホテル、二階建てのアパート、
この島には3階以上の建物は非常に少ない。
と言うか、台風などの関係で高い建物は風の影響があるからなのだそうだ。
もし3階建になると風の通り道を作ったりしなければならないそうで建設費も掛かるから高層ビル群はないようだった。
サトウキビ畑から少し丘に登ったあたりから隙間から見える海がとても印象的だった。
エメラルドグリーンに映る太陽の光がキラキラと
アニメやドラマの特撮のように見えた。
煌びやかな景色とはこういうものなのだろう。
やがてドイツ村と言う看板が出て来た先に行先のホテルはあるとのことだった。
シギラリゾートは7棟のホテルから出来ており
シギラセブンと言われている。このホテルはユニマットグループの一つだと言うことであった。
事務所があるホテルに泊まり諸手続きを終え
タケシが所属するホテルはブリーズベイオーシャンと言うホテル。まもなく新ホテルが出来るそうでタケシは料理主任としてその新ホテルに配属される予定であった。
それまでの間はこのホテルの朝食ブッフェで従事することになる。
事務員に案内され料理長やスタッフ挨拶をしなければならないのでそのレストランへいった。
レストランに行くと白と木目に統一されたレストランだった。
海が一望でき、テラスにはプールがあった。
リゾート特有のホテルの景色に感動を覚えたタケシであった。
「ここから始まるんだ。。。0から始めたい。。。」
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