おじさんの幸せのカタチ

くおん

第1章 あ~~~上手くいかねぇな

トントン。。。ジャァァ~~~

ザッザッザッ


「3番テーブルのアーリオとトマトよろしくっ!」

「そこ!何やってんの!パスタ冷めちゃうだろ!早く持ってけよ!」


平日の昼12時過ぎ。。。

大概の人々は昼ご飯を食べる時間。


包丁で野菜や肉を切る音。

ホールスタッフの声とシェフの罵声にも似た

掛け合いが飛び交っている。


アルミパンで調理する音や色々なハーブやソースの香りがまじる場所。

その厨房とは裏腹に店内は静かなジャズが流れ厨房とは違った静かに会話がなされ食事をする音が混じっていた。


ここはとある街にある小さなイタリアンレストラン。


小さなお店ではあるがランチタイムになれば14時までは戦場のごとくいろいろな料理が作られていく。

そのお店でチーフとして働いている一人の中年男がいる。世の中では中年男🟰おじさんといわれる人種である。


戦場のごとくランチタイムが終わると

料理長から

「タケシ一服行ってきていいぞ」


「ういっす」

と簡単に返事をするタケシであった。


彼の性格は基本物静かではあるが自分の性格とは裏腹に人を喜ばすことが好きである。


ある時期から天涯孤独になり自分の幸せをあまり考えることなどなかった。


身内や友人、彼女など心から信頼してきたが

いつの間にか利用され騙され続けて人を信用出来なくなっていた。

ただそれでも人が喜ぶ姿を見るのが心から好きだった。

だからシェフとしての仕事が好きだった。


街は車の音やいろんな人々が行き交いしている。ある一角に喫煙所がある。

彼らの一服する場所はそんな片隅にある。


彼はポケットからくちゃくちゃのタバコの箱を取り出す。

銘柄はKENTロング6mm。もう数十年このタバコにお世話になっている。

1本を箱から取り出しそれを口に運ぶ

そしてライターで火を着ける。

一口目を肺に深呼吸するように

すぅ~っと吸い込む

「ふ~~~っ」吸い込んだタバコの煙を

空に向かって吐き出す。


「なんかな。。。世の中って上手くいかかねぇな。。。」


ポツリと呟くタケシであった。






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