第2話

 告白する、と一言で言ってもいろんな方法がある。

 デートの終わりに告白するとか、どこかに呼び出して告白するとか、家で遊んでるときに告白するとか、ラブレターなんてものもありかもしれない。

 しかし、まずはアポイントメント

 春香は人気者だ。

 ということは、ここひと月くらいは用事などで動けないかもしれない。

 ※彼は幼馴染が毎日放課後に遊びに来ることも週末はともに過ごしていることも忘れています。


 そして、告白できるような空気とヘタレな俺が動かざる負えないような状況にすることが必要だ。


「今年のクリスマスにしよう。」


 短期のバイトや両親の手伝い、お年玉などのおかげでそこそこ貯金もある。

 素敵なお店でディナーを食べて、綺麗なイルミネーションの中で告白なんてロマンチックでいいかもしれない。

 そのためには、予定を入れなければならないのだ。


「真一?さっきからぶつぶつ喋ってるけどどうしたの?」


 俺は、部屋に春香がいることも忘れて考え込んでしまっていた。


「いや、独り言。なんて言ったか聞こえた?」


「いや、あんまり聞こえなかったけど。」


 それなら大丈夫。

 サプライズなほうがいいらしい。でも、半年後に彼氏ができていたら意味がないので、匂わせることも必要なのかもしれない。


「春香。今年のクリスマスの予定をあけといてほしいんだけど。」


「いいけど。てか、毎年一緒に過ごしてるでしょ。今年はうちでやる予定だよね?」


 そう、毎年交代で互いの家で甘江田家と思井家で集まってクリスマスパーティーをしている。

 そして、春香の言う通り今年は思井家に集まる予定の年。

 しかし、そういうことでは困ってしまうのだ。まさか、両親や相手の親の前で告白するのは難しい。


「いや。今年は二人クリスマスを過ごしたいんだ。

 二人でご飯食べに行って、イルミネーション見ながら春香に告白するから、二人で出かけるって和真さんと一花さんに言っておいてほしいんだよね。」


「ん?二人?告白?イルミネーション?」


 理解できて内容で、春香がオウム返しをしてくる。

 基本的に一度言えば伝わるし、なんだったら会話しなくてもアイコンタクトで伝わるのに、今回はまったく伝わっていないらしい。

 しかも、顔が赤くなっているので体調も悪いのかもしれない。

 でも、きちんと予定を伝えて、クリスマスの日程を開けておいてもらわないといけないのだから、春香がわかるまで言わなければならない。


「俺と春香の二人でクリスマスを過ごしたい。そのうえで、デートの終わりに告白したいから、クリスマスの予定を開けてほしいんだ。

 俺さ、昨日、愛原君と出かけてた姿を見たって話を聞いて、春香のこと取られたくない。

 だから、ちゃんと告白してお付き合いしたいんだ。

 そのために、準備してクリスマスに告白するから、予定あけといて。」


「あ、あの、わかったから。

 予定も明けとくし、両親にも言っておくから。

 きょ、今日は帰るね。」


「あ、うん。隣だけど送ってくよ。」


「いや、いい!

 大丈夫!ほんとにすぐだから。

 ね?大丈夫!

 ま、またね!」


 春香の反応が変だった。

 風邪でも引いたのかもしれない。

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