僕の事件回想録

@watamimi

第1話 僕と蒼二さん。

僕は一咲。これでイッサクと読む。狛犬大学の一回生で特技は周りの空気に溶け込むことだ。何をやっても平々凡々、趣味は散歩。周りが驚くことといえば下に四つ子の兄弟がいることだろうか。

「おーい、イチ!!!!!!」

僕を呼ぶこの人は蒼二さん、通称ソウさん。僕のことをイチと呼ぶ。そしてこの街の一角にひっそりと佇むこの猫又探偵事務所の長だ。僕はこの猫又探偵事務所でとある事情がありアルバイトをしている。

「イチ!!!返事してくれー!!!また物置きの扉が壊れた!!!」

ところで僕はまだ事務所に到着していない。なのになぜソウさんが僕を呼べるのかというとひっそりとはいえ、この事務所、なかなかの丘の上にあるのである。つまり周りを一望できるわけだ。いつも事務所の庭の部分から呼ぶが…あ、ほらいた。

「おはようございまーーーーす!!!」

「おはよーーーーーーー!!!!!早く事務所に来てくれーーー!!!!二丁目のばーさん家の物置きの扉が壊れたんだってよーー!!すぐ出るから準備してくれーーー!!!」

探偵事務所といっても普段の仕事は迷子のペット探しとかのなんでも屋だ。すごーーーーく稀に浮気調査なんかが依頼されるが。

「いまいきまーーーす!!!」

2人そろって近所に人がいたら注意されるのではないかというくらいの大声をだしながら僕は坂を駆け上がった。


これは、平々凡々大学生の僕と良いところが顔と飯をうまそうに食うことだけの蒼二さんとの回想録。奇天烈な街ならではのわけがわからん事件を探偵っぽく解決していったことを書いた事件回想録である。

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