第4話 村人に転生するっていったじゃないか

拝啓、リュウです。時間が過ぎるのも早い様で遅く、4ヶ月後……首がやっと座りました。


このまま赤ん坊を満喫し、過去の記憶が消えてしまいそうな程、暇でした。


実際は消えてはいないんだけどさっ。


首が座っていないのは危ないと前世で聞いていたから、その間は首が安定するまでレッツ赤ん坊エンジョイ。


高い高いをしてもらったり、村を抱っこして貰って見て回ったりしてさ、ただう○こくらいは自分でやりたかった。


まあ、前世で介護受けてた身だから、自然と恥ずかしさはなく受け入れていた身ではあるが、やっぱもう少し成長してトイレくらいはしたいね。


後は村人希望って言ってたが、ここの村人普通の村人じゃない。


村人達でモンスターをハントしてそれで生計を立てている様なのだ。


俺が望んだ村人ってのはこう…畑仕事して、おう!今日も良い仕事したなってみたいなのを思い描いていたんだ。


村人じゃなくて戦闘部族じゃないか。嘘つき女神め!女神像に行くことがあったら即クレームだ!こんちきしょうめ!


まだ町人と言った方が安全だったかもしれない。

もう遅いがな。生まれ出ているからな。


ちくしょう!前世の俺もいい人ぶって気前良く面倒事引き受けちまいやがって。


まあ、助けてくれって言われたら断れないのが、ヒーローのさがだからしかたないんだが。


まあ、悔やんでも仕方ない。もう少し大きくなるまで鍛えることも世界を知ることも出来ないから、ただ時間が過ぎるのを待つしかないのであった。


「リュウ、赤ん坊なのに目が据わってんな。」


父…ラウが俺を見て感想を述べる。えー、体の成長時間待ちな状態な訳で、不機嫌になって目が据わってしまう状況な訳で。


今の自分に何ができるか。多分自分が昔読んだことのある異世界転生者の本の主役だったら、魔法があるって言ってたから魔法の練習をする話になっていただろう。


魔法、覚えてみたいけど、我が村人達は魔物をシバいただの、剣で真っ二つにしてやっただの、脳筋な話しかしていない。


父親に至っては若干色黒のガチムチ筋肉って感じで魔法のイメージがない。


母…リコ、これぞ脳筋。内臓処理したでっかいモンスターを片手で持ち上げ、素手で火で炙り焼けた肉を身の丈もする肉厚の包丁でブッタ切る。


それを皿に山盛り盛り付け、家族のご飯となる。


魔法のファンタジー要素が抜けてるよ。何が魔法や剣の世界だよ。力こそ全てパワーの世界じゃないか。


こんな世界に危機が来ても、この人達さえいれば何とかなるんじゃね?。前世の世界では戦える人は限られていた。だが、この世界の人達は最初から牙を持っている。


まださらなる危機が訪れようならばそれに備えるしかないではないか?と今更なが、ふんどしを締めてかからなくてはと活をいれ、今はこの穏やかな時を過ごすのであった。




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いつだってヒーロー。ヒーローだった俺が異世界転生したのだが、中々うまくはいかないらしい。 @unkno-wn

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