いつだってヒーロー。ヒーローだった俺が異世界転生したのだが、中々うまくはいかないらしい。
@unkno-wn
第1話 ヒーロー大往生
俺の名は龍之介。ヒーローをやっていた者だ。
昔は凄かった。5人のヒーローのリーダーとなり世界を何度も救った。
一人でも凄かった。ヒーロー解散後一人でも活躍しなんども世界の危機の訪れを未然に防いだ。
ああ、昔…70歳くらいまでは何とか覚えている。70歳過ぎた頃から体が思った様に動かなくなり、記憶も悪くなり家族を人質に取られることを恐れ作らなかった俺は一人介護施設に入居したんだ。
後進に道を譲り、完全な引退となった。
自分の身を偽り、元ヒーローだと言う肩書は誰にもわからないまま、あっという間に時間が過ぎた。
何もしていない時間は本当にあっという間に時間を奪っていった。
そして97歳、今日俺は死ぬ。
自分の意識が自分の体を見下ろしている。魂が抜けてるって状態だろう。
そうこうしている内に、施設員が慌ただしく動き回り出した。ヤバい状態なのだろう。
戦い続きの毎日だったが、満足している自分がいる。もう良いだろう。
そうこうしていると、「ピー」っと言う大きな音と共に心臓が止まったのだろう。
機械で電気ショックを与えているが、一向に回復する兆しはなし。
一時繰り返してはいたが、戻らないので医者が一言「御臨終です。」との一言を発した。
その後隠された身分が世間に暴かれ、英雄死すとデカデカと新聞に掲載されていた。
ここまで、見続けた俺はそろそろあの世に行くべきだろう。
意識を上へ上へ上がって行くと道が出来ている。
沢山の魂に揉まれながら、あの世と見れる場所へと、来た。
順番に、並び通されていく。
自分の順番だ。
「龍之介様ですね。龍之介様はこちらへ。」
そう言われると白い何もない、部屋へと連れて来られた……。嫌な予感がする。
「龍之介、前世の活躍ご苦労で様でした。その活躍に免じて頼みたいことがあります。」
「却下で、普通に転生して、普通に生活出来ればそれ良いと思う。」
「私は別世界の女神なのですが、その世界に危機が来ています。何度も世界を救ったあなたにしか頼めないことです。変身機能もそのまま付けてあります。どうかこの通り頼みを聞いてはくれないでしょうか?」
深々と頭を下げられる。俺は慣れていない。
しょうがない。俺の人生は人助けの為の人生なのだろう。
「わーったよ!嬢ちゃん。記憶は残ったままの状態での、転生ってことで、オッケー?」
「一応その様にしておきます。生まれはどうしますか?」
「その世界は自分達の世界並みに機械やパソコン機器兵器類が、普通に有る世界ですかね?」
「あなたの前生きていた機械文明とは違い、魔法や魔物が闊歩するあなた方の世界で言う異世界魔法文明と言う世界です。」
「そうか。それなら生まれは貴族とか王族とかは却下だ。めんどくせぇ。自由に生きたいんで村人とかの生まれで良い。前の俺もただの普通の親の生まれだったしな。」
「ただの普通に生まれたあなたがどうしてヒーローになったのでしょうか?」
「無力な自分への逆襲だ。地球外生命体が攻めてきたとき、親妹全てを失った。そこから地球防衛軍に入り、ヒーローの資格を取り、自分の人生をかけて地球を守ってきたんだ。」
「そうだったんですね。生まれ次第では楽に生きられるかもしれませんが、本当に村人の子として生を受けて良いんですね。」
「何度も言うがそれで良い。しつこいぜ。俺はもう腹をくくっている。」
「それでは、彼の者を転生致したまえ。わからないことがありましたら、私の石像があるのでそこで私に声を出さなくても良いので語りかけてください。あなたを導きます。」
「わかった。それじゃそろそろ時間みたいだ。またわからないことがあったらその時は宜しく頼む。」
光に包まれ消えていく。
次に目を覚ますと俺は母の腕に抱きかかえられ泣きながら生を受けたのであった。
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