異世界での生活はゲームの様に甘くありませんでした
@katarea
第1話 プロローグ 異世界へ
あ、死んだ。
地面に転がった俺は死にゲーの如く理不尽な終わりを迎えようとしていた。
この状態に至るまで話は数時間前に戻る。
----------------------------------------
名前は神崎佑太、物語の主人公からは遠く離れた例えるなら周囲の雑踏Aのような存在が的確に俺と言う存在を言い表している。
しかし人は誰しも自分という物語の中では主人公を演じると言う、冴えない奴がある日突然・・・なんていうのは物語の中ではよくある事。
ならばその冴えないやつに分類される俺だって少しは希望を持ってもいいんじゃないか?
否、ハッピーエンドに向かって調整された物語と先行き不明の人生を同一視するのは間違いだ。
断言しよう、全人類の大半が迎えるのは納得いかないノーマルエンドであってハッピーエンドに行けるのはほんの一握りだろう・・・クソゲーめ。
結局人は持つか持たざるか、雑踏Aである俺のスペックは全てにおいて平均点、しかし、悲しいことに運動神経は驚くほどに無く友達もいない、運動会という糞行事をただひたすらに憎み続ける学生生活。別に人と話すのが苦手という訳では無いが積極的に話しかけるタイプでもない、高校に入学してすぐの頃なんとなく周りとなじめずにいるといつのまにかぼっち、中学時代の数少ない友人も新しい友達ができ、いまでは時々話しかけてくれる程度、そんな田舎の高校に通う高校1年生だ。
まぁ、一人でいるのが寂しいという事は全然ないのだが・・・・・・・・別に強がってるわけじゃ無いんだからね!。
さて、そんな俺は目が覚めるとあたりは夜なのだろうか暗かったがかろうじて月の光でそこが木々がうっそうと生い茂った森の中だというのは分かった。
「・・・・ここは、何処だ?」
なぜこんな場所にいるのか全く思い出せない、たしか、学校が終わって友達同士馬鹿騒ぎする連中を尻目に俺はさっさと家に帰って趣味に興じようと意気揚々と足を弾ませていたのだが。
「どうなってる?」
状況が全く把握できず、しばらく辺りを歩き回ってみる、しかし、家はおろか道路のような人によって舗装された道すらも見つからない。草木だらけの獣道。
誘拐でもされたのか? だとしたらなぜこんな場所で放置されているんだ。それ以前に俺なんかを誘拐して何の得になるのだろう、別に親が大企業の社長という訳でもない、一般的な家庭の一般的なお子さんなんだが。
混乱してオロオロしている俺の視界が突然光に包まれた。
「うっ・・・・ちょっ眩しい」
一体どんな高性能な懐中電灯なんだ!と恐ろしい光から瞼を閉じて眼を守る。暫くして光が落ち着いたところでふざけた光量を向ける誰かの姿を確認、視界に映ったのは端整な顔立ちの黒縁眼鏡で黒長髪の美しいお姉さん。
上下ともに紺のジャージで飾り気が無いのが少し残念だがそれを補って余りある美を持った女神がいて暫しうっとり見惚れていた。
「ようやく見つけた」
どうやらこの女神は俺を探していたらしい。
切れ長の目が真っ直ぐこちらに向けられる。
「あなた死にました」
どうやらこの女神は少しあれらしい・・。
「そうですか、死んじゃいましたか、ははは・・・」
笑って誤魔化す。
いきなりこんな訳のわからない事を言われて上手い返しができるほどコミュニケーション能力は優れていない。
「理解しているなら結構、時間もありませんので次にこの場所についての説明ですが有り体に言ってここは異世界、あなたがいた世界とは別の世界です」
まさかの異世界登場。
どうやらこの女神こちら側(アニメやゲームに傾倒した側)の住人らしい。
「異世界ですかそれは凄い・・・で、ここは何処なんです?」
何県だとか具体的な地名をお聞かせ願いたい。
「ここは通称夜喰いの森、昼と夜で様相を変える場所。昼間は雑魚しか湧かず奥まで簡単に進めてしまうのですが夜は恐ろしいものが跋扈する、調子に乗って昼間入り込み過ぎてここで夜を迎えてしまうと翌朝には食い散らかされた死体として発見されるそんな様からその名が付けられました・・・・全く、よりにもよってこんな場所だなんてあいつ本当性格悪いんだから」
後半ぼそぼそと何言ってるか聞き取れなかったがどうやらここは夜喰いの森というらしい・・・・日本昔話? そういう伝承が残ってる場所なのかな?
「いや聞きたいのはそんな昔話みたいなのじゃなく県名とかいう詳細な情報なんですけど」
「あなた話聞いてました? ここは異世界、あなたがいた世界とは違うんです」
「本気で言ってます?」
「本気で言ってます」
答える女神は確かに本気の顔をしている。
本気、本気?、本気!?
「いやあり得ないでしょ!」
「これでも?」
女神の右肩から黒い翼が生えてきた。
「いや、コスプレか何か━━━」
「じゃあこれはどうです?」
女神は翼を羽ばたかせ飛んだ。
「マジか・・」
「理解して貰えました?」
「・・・ええと・・はい」
何やらとんでもない事態の模様。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます